闘争の歴史ー展示室で
メアリ・オールストンは解錠して扉を開いた。ショーケースの照明の光が玄関に漏れている。廊下を左に曲がり寝室に入るとトルコ石にしてはやけにきつい緑色が目に入る。
幾ばくかの後、コリン・マクラレンがメアリに並ぶ。
「僕がセキュリティを解除するから君はショーケースを開けてくれ。ケースの施錠機構については僕は門外漢なんだ。」
「任せてください。」
メアリは返事をしながらバッグの中から羊皮紙と鍵を取り出す。ショーケースに近づき、羊皮紙に記された設計図とショーケースの紋様のパターンや錠前の位置をぐるりと確認していく。
一通り確認を終えると慎重に解錠する。扉を両手で支え持ち、ゆっくりと床に下ろす。
台座からは簡単に石を持ち出せた。メアリはコリンにむかって石を差し出す。
「コリン、合成石をお願いします。」
しかし、依然として、コリンはショーケースを向いた監視カメラの前である。そのカメラにはパソコンが接続されており、コリンはその画面を睨めつけながらキーボードをたたいている。
「メアリ、ちょっと待ってくれ。監視カメラが通信を続けている。通信先はセキュリティ会社…じゃない!ミレイにやられた。君はその石を持ったまま車に戻れ。僕は合成石を持って奴らを誤魔化す。」
「しかし、「早くしろ!車に搭載したレーダーがこちらに向かう移動体を捉えたアラートを出している。」」
メアリはコリンに圧倒され、寝室を離れる。