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深海本屋。  作者: nanchin
5/5

太刀魚できません。

「いらっしゃいませ。」


扉の向こうから、ギャルソンが出てきた。

その彼がおこした風とともに。


珈琲のいい香りがしてきた。




な、なんなんだ。

この空間は。




その奥には、カフェスペースがあった。

本屋と同じく、シックな色合い。



手前には、自分で取れるように並んだパンや惣菜があった。

ガラスのケースが奥にあり、それはテイクアウトができるように、外のほうにまで、のびているようだ。


店をしめているときには、テイクアウトのショーウィンドウだけで営業し、珈琲スタンドのようになるのであろうか。



ドリンクもそろいにそろっている。


珈琲、紅茶はもちろん。

アルコールまである。

注文をとりにくるわけではなさそうなので、自分でそのつど会計をすませれば長居もできそうである。



すわり心地のよさそうなソファも見受けられる。



夜に、甘いものはどうか・・・と思いもしたが。

ふわり、とケーキの焼けるにおいまでしてきたので。



辛抱ならず、ふらふらとカフェスペースに歩みを進めた。


"クラブサンドウィッチ"も、"サンドウィッチ"も可能。

しかも、ベーグルもいろいろトッピングあります、と書いてある。



エスプレッソマシンは、手動式なのか、おしゃれな道具が煌びやかに置かれている。



ぐぬぬ、と唸りながら迷う。

スコーン、クロワッサン、おかずぱん、なんと魅惑的な。




よくよくみたら、珈琲も紅茶にもカフェイン抜きがある。

しかも、ハーブティも充実のラインナップ。

かと思いきや、ビールサーバーまである。



「いったい、ここは何屋なんだ?!」と頭を抱えて思わず吐露してしまう。



すると、ギャルソンが。


「ただの飲食店です。」とのたまった。




断言されては、閉口するしかない。



「ここにあるのが、朝ごはんになら、いいのに。」とぽつり独り言をごちる。



すると。


ギャルソンが。


「テイクアウトのみ、朝は8時まであいてます。朝は、あのショーケースにおにぎりも並びます。

 パンもありますよ。パンを購入の方は珈琲のショートサイズが、100円で追加できます。

 おにぎりだったら、味噌汁が100円で追加可能です。スープもありますし、もちろん、単品で購入も可能です。それからおかゆもありますよ、中華粥から、シンプルな梅粥、サムゲタンもおすすめです。」とノンブレスで話しかけてきた。




もう、こんなことを言われてしまえば。

毎日通います、と言い出したくなる。




いやいや、自分、だまされてはダメだ。




でも、もうすぐ心が折れそうです。








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