鰯(いわし)てもらいます。
無愛想な店員は、おいておいて。
さらに、店内を見渡せば。
本棚が、沢山ならんでいた。
そして、その本棚にはたっぷり収納してありそうな本たちがいた。
上を見上げてみれば、ぐるっとめぐらされた回廊。
その回廊にどうやって辿りつけるんだろう、と注意深く見てみる。
すると左奥に、回廊へ昇る階段を見つけた。
右奥には、またカウンターがあるのだろう。
なかなか、自分の目線には入らなかったが。
金色に染めてある、髪型が目に入った。
ほぅ、と息をつくと。
ドアがしまる音がして、後ろから、"とん"と、背を押された。
くるっと、首をひねれば、先ほどの彼が、にこにこ笑っていた。
「ゆっくり、ごらんくださいね。って、ちゃんと挨拶したの?零児!!」
奥にいる、金色の彼にゆったのだろう。
自分をつかつかと追い越して、彼は奥に向かった。
ゆっくりと、なめるようにみて回る。
きれいに整頓されている。
絵本もあれば、コミックや文芸書、雑誌、専門書、文庫。
選定も、なかなか。
流行どころも、きちんと押さえつつ。
且つ、書店の売りも忘れてはいなかった。
下にあるのは、比較的発売されて2週間ほどの作品だろう。
それ以降を、回廊のほうに収納されているのかもしれない。
その仕事のなんとマメなこと。
ポップも艶やかに飾られており。
なかなか、興味がそそられる。
回廊にあがるのは、なかなか緊張するものがある。
とおもいつつ、左奥を目指す手前に。
また、重厚な扉が現れた。
右奥カウンターのすぐ近くだった。
右奥のカウンターでは、なんだか、金色の"れいじ"くんと、先ほどまで、にこにこと笑っていた彼が、いた。
何故か、金色の"れいじ"くんが、一方的にせめたてられていた。
それでも、れいじくんが、手を動かしてシュリンクしているさまをみて。
怒られているときは、きちんと相手の話を聞こうよ、と思った。
ま。
斯くいう自分も、怒られているときにボールペンをかちゃかちゃやって怒られたけど。
きっと、どうでもいいことなんだろう、仕事に支障をきたすことでなければ。
逆に、日常業務に毒にならず、能率が上がるのであれば、改変していけばいいのにと自分も思う。
最近、自分も上司からの理不尽な因縁のつけられ方をしたことがあるのでなおさら、思う。
そんなもんなんだろうなぁ、とくつくつ声を押し殺して笑ってしまった。
そのやり取りに夢中になっていたら。
目の前の重厚な扉が、開いた。