完全特別番外編・11月11日
アテンション!!
・これはトリップ前のお話です。
・勢いで書きました。
・遅刻ですね。
・コーヒーに砂糖入れ忘れた。むしゃくしゃしてやった。今は反省している。
「プッキーの日だ!」
「……あぁ?」
いきなり何だ?
俺の愛しの恋人月光が、いつものように唐突に話題を振ってきた。
「だーかーらー、プッキーの日なんですってば!」
「……で?」
プッキーの日。
11月11日の『1』をプッキーの形にかけ、メイカーがいやらしく売り上げ貢献を訴える日。
んでプッキーってのは細長い焼き菓子にチョコを薄く塗った、手軽に摘まめることを重視して作られたお菓子のことだ。
馬鹿馬鹿しいことこの上ないイベントだが、頭の軽い若者を中心に流行ってやがる。
個人的な意見だが俺はこういった商業イベントが大嫌いだ。
踊る阿呆に見る阿呆。
どっちも阿呆なら無関係でいたい。
「有くんが教えてくれたイベントだけど、面白そうですね!というわけでさっそくプッキー買ってきたよ!」
「乗せられた阿呆がここにもか……」
ポケットから楽しそうに赤い箱のプッキーを取り出す月光。
……ま、楽しんでる月光は好きだからいっか。
「それじゃあプッキーゲームしようか!」
「プッキーゲーム?」
確か……そう、うちの学校の全校生徒のだいたいの人数の知識にあったな。
恋人同士が細長いプッキーを両端から食っていって最後にキスする……だったか?
口ん中パサパサの状態でキスってどうなんだ?
しかしアレか……ちと恥ずかしいな。
ちらっと周りを見る。
能力を展開して周囲一帯を観る。
……よし、誰もいない。
あと相変わらず濁流みてえな愛の叫びだな。
「ま、いいぜ」
「やった! じゃあはい!」
そう言って月光は、袋から出した一本のプッキーを、横向きにくわえてキスしてきた。
「ふむッ?!」
驚くのもつかの間、月光の舌がズルンと侵入してくる。
「ふっ……んちゅ…ちゅ……ちゅる……」
絡められた舌は甘くて、蛇みたいに口の中で蠢いている。
溶けたチョコが舌に絡まって唾液と混ざる。
唇の間に挟まったプッキーが二人を隔ててるみたいでもどかしい。
「ぷはっんむ……くちゅ」
一旦唇を離し、すぐにまたキスをする。
もうプッキーが地面に落ちようが気にならない。
お互い気が済むまで貪りあった。
しばらくしてようやく唇を離して至近距離からお互いの上気した顔を見つめ合う。
あの深い黒の瞳が細められ、その口が弧を描いて言った。
「……ふふ、商業イベントって嫌いなんだけど、こういう恋人イベントは逃がさないようにしなくちゃね」
「あ、あの……」
「ん?」
私はちょっと我慢できなくなったので、おずおずと言ってみた。
「もう一本……くれませんか……」
黒蟻「プッキーの日って知っとる?」
ラヴ「なにそれ?」
黒蟻「恋人にプッキーでエロイことしてええ日や」
ラヴ「ちょっと行ってくる」