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ワンサイドゲームに愛をこめて

低空を巨大な黒い戦艦が不気味なほど静かに、ゆっくりと前進している。


遠くから(かなり遥か遠くから)見るとまるで超巨大なマッコウクジラといった感じだ。


が、クジラと違うところをあげるとすれば、背中にあたるところに無数の機銃、大砲が備えられ、

さらに後ろのほうには巨大な塔が突き出ているところだ。



ここは超巨大空中要塞『モンストロ』。

の上に突き出てる塔。

の中のブリッジ。


そこは薄暗く、窓はない。ただ無数の計器類とモニターが淡い光を放っている。


機器やモニターの前には、よくアニメで見るような美人さんが座っている。


彼女たちはいま矢継ぎ早に『モンストロ』各所に指示を出している。


「敵、こちらの射程内に入りました。」

「前面下部20ミリ魔導バルカン開放。」

「各銃座、迎撃を開始してください。」


『こちら銃座。了解した。攻撃を開始する。』




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




『モンストロ』の巨大な前方部分(縦140キロ横200キロ)の下部に直径2メートルくらいの穴が次々に開き、そこから銃座が姿を現す。


それは漆黒に輝く半球体にキラリと光る二連バルカン砲の付いた、武骨ながらも美しい兵器だった。


そのひとつひとつに入っている砲撃士が各々迫り来る敵に狙いを定めた。


その数400。


ちなみに各銃座のレベルは300くらい。


完全なオーバーキルである。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「デケェ・・・」


彼の名はドルス。


このレッサーデーモン部隊の隊長である。突然現れたこの巨大な何かを調べるよう言われてきた。


(調べろったってよぉ・・・)


彼は目の前の物体を見上げて思う。あまりにも巨大で首が痛くなる。


(こんなまどろっこしいことしてねぇで、魔王軍全軍で攻撃しちめぇばいいのによぉ・・・ん?)


よくみると巨大なソレの底辺部分、真ん中ぐらい(端が見えないのでおそらくだが)入り口のようなものが見える。


・・・いや周りが黒かったからそう見えただけのようだ。そこには白い壁に黒い線でギザギザが書いてあるだけだ。


(しっかしデケェぜ。遠近感狂っちまう。・・・(カシュウッ) ん!?)


「な、なんだ!?」


突然その白い部分の周りに黒い穴が次々に出現し、黒い半球体が突き出てきた。


その半球体には黒光りする棒の様なものが着いている。


驚いている間にもその半球体は増えていき・・・


突然、唸り声をあげながらすべての棒の先端がこちらを向いた。


「やべぇ!!全員さんか・・・」


それが彼、ドズルの最後の言葉になった。





400の銃座が火を吹いた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「・・・あっけないですね・・・。」


ラヴはモニターを眺めながら呟いた。


「せやね・・・」


「まさかアレだけで殲滅できるとはネ。」


「いやいやレベル100前後に300レベル銃座ぶつけたんやろ?当然やろ。」


「だけどよぉ、まだ実弾しか撃ってねぇんだぜ?せめて光弾くらいまでは耐えるかな~て思ってたのに。」



『ワールド・オブ・ロード』にはあらゆる武器が存在する。というか、生産系ジョブなら武器の形まで<クリエイト>できるので、作ろうと思えば(限界はあれど)何でも作れるのだ。


そんな中、『銃火器』は少し特殊である。


実はこのゲーム、レベルをあげれば弾丸くらい切り落とせるのだ。


これは、装着型仮想空間体験装置によるセ(中略)であり、さらに『五人の天才たち』が提唱したニューロン・ト(中略)のである。これによって五感を遥かに底上げできるのだ。


このシステムにより動体視力の高いプレイヤーは飛び道具をほぼ無効にできる。


が、もちろん対抗策はある。


それが光弾と魔弾だ。


光弾は簡単に言うとビームだ。これは同じ光剣(つまりライト・セイバー)でないと弾けないし、耐久値の低い剣なら溶けてしまう。


つぎに魔弾は使用者のMPを消費して撃ち出すものだ。これが最も高威力である。


基本ガンマン系ジョブはこれらの弾丸を使い分けて戦う。



「賭けは私の勝ちですね、ルリ。あとでステキな罰ゲームです♡」


「うげぇ・・・。」


「いつのまにそんなことヲ・・・。」


「しかし、ここまで弱いとやりたかった試験がほとんどできませんね。」


「仕方なイ。機兵投下試験を終えたら我々が直接でて叩こウ。」


「だな。全武装の試し撃ちしたかったけど、それしたらこの城跡形もなくなっちまう。」


「えぇ、そうしましょうか。・・・おや?わんさか出てきましたね。」




モニターに映る城から大量の影が黒い洪水となって押し寄せてくる。




「敵の拠点より新たな敵反応多数出現!!・・・600、700、・・・1000を超えています!!」


「敵の平均レベルと最高レベルは?」



「アナライズ・アイの解析によると敵平均レベルは300前後。最高レベルは480です。モニターに出します。」


オペレーターの一人が言うと、新たなモニターが出現する。


そこに映ったものを見て彼らは驚く。


「へぇ、ブラックドラゴンですか。」


「めっずらしぃ~。」


「レベル高い調教師(テイマー)召喚士(サモナー)がおるんやろな。」



「ま、なんにせよラッキーだネ。これで武装のチェックができル。」


「ええ。では、航空戦力を出しましょう。ミサイルを300発ほど発射。その後、副砲を前面下部に用意し機銃と合わせて迎撃。ついでにAI戦闘機50機ほどを出撃させてください。」


「了解!」

ミサイル兵弾(・・・・・・)スタンバイ。・・・一斉発射。」

「三連魔導キャノン、開放!各員、射程距離に入り次第撃ってください!!」


『こちら砲座。任務了解。砲撃を開始する。』





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





『モンストロ』の巨大な前方部分の下部には今、直径2メートルくらいの半球体の銃座が等間隔に規則的に並んでいる。


その銃座と銃座の間に今度は6メートルもの穴が開く。


そこからまたも黒光りする半球体が現れる。今度のは銃座よりも大きく、長い筒|(電柱半分に切ったような)が三つ付いている。


この砲座のレベルは500。


またもオーバーキル。



と、銃座と砲座の間に今度は30センチほどの穴が次々に開いていく。


それぞれの間に縦に三つずつ。


そこから、



バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ!!!!!!!


次々にミサイルが飛び出していく!!




ミサイルには顔が書いてある。鋭い眼光に獰猛な笑顔。


その眼は前方の獲物を見据え、笑みを深くした(・・・・・・・)




それに続くように、今度は『モンストロ』底面部で異変が起きていた。



ガコンッ、イイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!ブシュウッ!!



黒い、ただただ漆黒の装甲に覆われていた底が細長く開き、幾本ものカタパルトが出現していた。


ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、ドシュウッ、


そこから次々に無人戦闘機が飛び出していく。


不気味な沈黙とともに編隊を組み飛行するそれらは、例えようのない威圧感を出していた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







その城の上空では、一人の女将軍が指揮を執っていた。



「伝令!!敵魔導戦艦より何か来ます!!」


「ガーゴイルどもを前に出せ!!」


彼女はこの空軍を指揮する将、六魔将が一人、『斬風』のエージェンヌ。


艶やかな蝙蝠の翼と尖った尻尾。額にちょこんと生えた二本の角。腰には長剣を差し、紫紺の外套をはおる。


いわゆる『悪魔』である。



彼女の指揮する軍は、盾となるガーゴイル部隊が200、突撃兵レッサーデーモン1000、後衛の邪妖精部隊200、主力の竜騎兵が400と魔霊騎兵が500、そして切り札ブラックドラゴンが5。


つまりは全軍がここに出そろっている。



彼女の下、つまり地上では地面から1700ものスケルトン部隊が現れ、弓をつがえ、バリスタを用意し、魔法を唱えている。



城を守る『バラ』が危険を察知したのかツタを持ち上げくねらせている。


城壁の内側にゴーレムが配備される。


ここまでのことをしているのに彼女はこの未知なる敵に勝てる気がしなかった。




なぜなら彼女の目の前、視界すべてを塞いでもまだ足りないほどの巨大というのもバカらしくなる戦艦がたたずんでいたからだ。





それでも彼女は指揮を執る。それが六魔将ある自分の責務だと信じて。




彼女の指揮のもとガーゴイル部隊200が前に出る。


3メートルの巨体、筋骨隆々の悪魔の石像。手には盾と鎚を持っている。



「ガーゴイル部隊、撃て!!」



魔法によって拡声された声が戦場いっぱいに響き渡る!!



同時にガーゴイルの目が赤く光り、



ビュイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!




真紅の破壊光線が発射される。


その光は飛んでくるミサイルに当たり・・・、



そうなところで躱された(・・・・)


そう、ラヴは『ミサイル』といったが実は違う。ミサイルの形に<クリエイト>したモンスターなのだ。


ちなみに『砲台』も『銃座』も『無人戦闘機』も、すべて<クリエイト>されたモンスターだ。





<ダンジョンクリエイトルール>


・ダンジョン内にはモンスターの湧くポイント(以下湧きポイント)を一階層ごとに5つまで置けます。

  なお、このとき湧きポイントは入り口から10メートル以上離し、湧きポイント同しは20メートル以上離さないといけません。


このルール、ダンジョン内(・・・・・・)と書かれている。


つまり、ダンジョン外(・・・・・・)ならばいくらでも置くことができるのだ!!


そこから出現モンスター設定で出てくるモンスターを設定し、今にいたる。


これは『ラヴァーズ』が誇る『ホール・テクノロジー』のひとつだ。





300発のミサイルはレーザーを躱しきると次々にガーゴイルに接近、<自爆>していく。


物言わぬ石像たちは苦悶の表情を浮かべて粉々に砕けて、地に落ちる。


それでもまだ余るミサイルは、後ろに控えていた軍に着弾する。





「伝令!!ガーゴイル部隊全滅!!突撃部隊も120ほどやられました!!」

「伝令!!敵魔導戦艦より正体不明の敵多数出現!!突撃部隊より応援要請!!」



甘かった!!まさかこれほどとは・・・・!!



「落ち着け!!長引けばこちらが不利だ!!全軍で一気に敵艦に取り付く!!後衛は高速化の大規模強化呪文をかけろ!!」



その号令とともに後衛が一斉に動き出す。


200もの邪妖精が魔力を集め、高速化の呪文を全軍にかける。


「後衛とブラックドラゴンはこの場で待機!城を任せた!!残りは私に続けぇ!!!」



言うなり先陣を切って飛び出す。それに続いていく軍勢。



だが彼女は分かっていた。



このまま、帰ってこれないんだろうな・・・、と。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「いや〜すごい気迫ですねぇ」



彼ら四人はモニター越しに突撃してくる彼女を見ていた。




「うれしそうだナ」


「えぇ、ここまで真剣に来てくれるプレイヤーは久しぶりですから、うふふ」


「でもよぉ、あれだけのNPCを動員できるってことはさぁ、うちの迎撃装置とおんなじホルテク使ってんじゃね?」


「せやな、そのあたりも聞いてみたいわ」

「あ、そうだ!」


「あ、ろくでもないこと思いついた顔だ。」「今度はなんや?」「嫌な予感ガ・・・」


「あそこで指揮を執ってた彼女、ひとつ招待してあげましょう!」


「あ?なんで?」


「もちろん会ってお話ししたいからです!人間やっぱりいついかなる時もコミュニケーションが大切です!

会って話すことによりお互いの仲が深まったり、一生殺し合う運命だと理解できたりするのです!」


「せやけど、この混戦の中どうやって(あ、当たったぜ。いヤ、まだ生きてル)迎えにいくんや?」


「ん〜、だ・れ・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・う・と・う・り!はい、黒蟻に決定!!」


「え〜・・・ありなん?それ?」


「ありです」


「まぁ退屈しとったから、体ほぐしにいこか」


そういう黒蟻の雰囲気が徐々に忍びのソレへと変化する。


「いってらっしゃ〜い!!」







こうして『ワールド・オブ・ロード』最凶PKギルド『ラヴァーズ』の一角、




『過剰のブラッディ・ブラック』黒蟻がブリッジから出て行った。



い、今起こったことをありのまま話すぜ・・・。

『テスト勉強をしていたら小説を投稿していた』。

眠くなるとか掃除がしたくなるとかそんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ!

もっと恐ろしい勉強のへ(ry


・・・自重しよう。

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