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鬼畜外道より愛をこめて  作者: キノコ飼育委員
幕間のベ(ザッ……)鳴りまし(ザアッ……)りますの(ザアアア……)点に注(ザアアアアアアアアアア)
51/77

ザアアアアアアアアアアアアアアアア…………

時計を深夜に進めますか?



Yes.

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…………ブンッ……




再起動


システム98%破損


本体94%破損


リカバリ不能


修復不能


システム、本体ノ破損率ガ9割ヲ超エマシタ


命令通リ、らすとふぁいるヲ開キマス


映像資料ガヒトツト計画資料ガ42


映像再生



......コレハ――――――




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




灰色のローブを着た■性がいた。


その■性はパタンと読んでいた本を閉じ、立ち読みしていた棚に直して別の棚に向かう所だった。


しかしふと、何かに気づいたのか、上、天井ではなくそのさらに向こうを眺めるように眼を細める。




「ん?……これは」


「…………くっくっくっ」


「ハハハハハハハハハ!!!」


「なんともはや、呆れたな」


「まさかこんなことになるとは」


「まさにカオスだ」


「ふむ、存在期間が伸びたか?」


「いやこれも筋書き通りか?」


「……だがどちらにせよ、」


「無主なる私にとっては、」


「無論のこと」


「無意味だな」


「くっくっく……」


「……さて、」


「私、カンニングペーパーによる」


「これで安心テスト対策の時間だ」


「ポコポコポコポコと新キャラがご登場だな」


「まあたくさんいすぎて面倒だから」


「ギルド紹介だけで勘弁してくれたまえ」


「あ、そうそう」


「前回主要なギルドをタロットで表すと言ったが」


「諸事情によりあれは中止だ」


「何故なら」


「何回やっても」


「どうシャッフルしても」


「どう組み合わせても」


「最終的には」


「『法皇』に」


「嫉妬団がくるからだ」


「ない」


「それだけは」


「ない」


「たとえ無意味だろうと」


「拘るときは拘りたい」


「……それでは」


「授業を始めよう」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「まず今この世界にいる勢力は三つ、ある意味四つ」


「ひとつめ」


「異世界の人達」


「あらゆる物語で『俺TUEEEEEE!!』の犠牲になる人々だな」


「いいものだな、『俺TUEEEEEE!!』」


「例え無意味な行為でも」


「スカッとするのだろうな」


「私は興味ないが」


「さて、この異世界は」


「人間界、魔界、桃界、樹界に分かれている」


「まずいろんなところがそれなりで、兵力数の上では世界一の人間界」


「最近工業化も進み、魔法と科学のハイブリットである魔科学が進んでいる」


「国家としては人間界の9割が巨大宗教国家『聖慈愛連合』略して『聖連』の下に属している」


「むしろ属してないと肩身が狭い」


「宗教怖い」


「まあ聖連があったからこそ急速な工業化、魔科学の発展があったのだから当然だ」


「もちろん、その下から出たいと思う国もあるがね」


「お次は魔界」


「高い魔力、高度な魔法、そして独自の魔法体系『魔方陣』」


「ぱわー・いず・ジャスティス主義」


「ジャイアニズム全開なところ」


「こう聞くと野蛮なイメージがあるが」


「魔族は全員ナルシストだから」


「誇りのために美しく散るのが好きな連中だ」


「欲望と美意識の綱渡り」


「いかに美しく欲望を満たすかが彼らの頭の99%を占める」


「野蛮な貴族か気品ある蛮族か」


「魔皇が倒れたら必ず戦国時代に突入」


「土地は豊かではない」


「だからいつの時代も内心人間界を狙っている」


「魔族は長寿な種族だから気は長いが」


「最近発展してきた人間界の魔科学を警戒し」


「預言のどさくさに紛れて人間界侵攻を企んでいた」


「そんな魔界の隣に海と山と豊かな大地を持つ桃界がある」


「桃界では竜と様々な種族が共存繁栄している」


「共存の意思ある生物は全て受け入れる懐深い世界」


「竜は悪意に敏感だから騙すのは無理だしな」


「だから他の界から差別されたり、馴染めなかったりした連中もここに来る」


「国家は存在するが、基本的に桃界全体をひとつの共存体として固く結束している」


「ちなみに何故魔界はこちらを攻めないかと言うと」


「理由は単純」


「竜の方が魔族より強いから」


「まず魔法に耐性がある」


「そもそもの魔法を産み出したのは竜」


「数が多い」


「デカイ」


「実はあんまり食べなくても10年くらいなら平気」


「物理攻撃で挑むとか自殺行為」


「ブレスと無詠唱大魔法を同時に使う」


「ただし何もしなければ非常に温厚」


「以上の理由から」


「桃界を攻めようと思う界は存在しない」


「最後に樹界」


「完璧な生態系が確立された、植物に覆われた世界」


「エルフや獣人、オークやゴブリン、魔獣に魔物、昆虫と甲蟲など存在する種族の多さは世界一」


「代表種は樹人(エント)


「生きるためのサイクルが完璧なので」


「他世界には興味なし」


「……こんなところか」


「皇席議会云々は、まあ追々」


「世界の形?」


「私が言わなくともすぐに出てくる」


「気長に待ちたまえ」


「次に移ろう」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「第二勢力」


「自由同盟」


「積極的に『俺TUEEEEE!!』するであろう勢力」


「凶悪なギルドが連合してできた、いわゆる悪側」


「山賊海賊空賊ギルド全ての代表『賊世界』」


「無差別破壊を行う建築破壊ギルド代表『ますらを建設』」


「賊世界から流される盗品から違法ドラッグ、武器弾薬に傭兵ギルド斡旋まで、金になるなら何でもする闇商人ギルド代表『越後屋』」


独り身(みなしご)達のために戦い続ける漢達、テロギルド代表『嫉妬団』」


「諜報活動を生業とする情報ギルド代表『木の虚と地の穴』」


「プレイヤーkillを至上とする戦闘狂、PKギルド代表『ラヴァーズ』」


「代表と言いつつ、実は必ずしもその下にギルドがたくさんあるわけではなかったりする」


「例えば建設破壊ギルドや情報ギルドはひとつしかない」


「ある意味言った者勝ちみたいなところがあるな」


「ようはS級ギルドであればいいのだ」


「闇商人ギルドは越後屋がほぼ独占状態」


「PKギルドは全てラヴァーズ傘下」


「賊世界は盗賊達の元締めみたいになっている」


「嫉妬団は各地各ギルドに隠れ団員がいる」


「クリスマスとかバレンタインデーイベントが来ると」


「まさにハルマゲドン」


「この時だけは『ラヴァーズ』が頼もしいともっぱら評判だ」


「……結局最後は泥沼、いや血みどろの三つ巴だがね」


「閑話休題」


「そうそう」


「実は」


「『ラヴァーズ』以外のギルドは」


「実はある秘密を抱えてたり」


「するんだが」


「……まだ秘密だ」


「次に行こう」


「ん? ああ安心したまえ」


「すぐに明かされるようなどうでもいい秘密さ」


「さ、次だ」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「第三勢力」


「私法機関」


「節度ある『俺TUEEEEE!!』を行うであろう勢力」


「上記にあげた悪辣なギルドを取り締まる目的で結成された、いわゆる正義側」


「まぁそのおかげで“自由同盟”が作られた訳だが」


「皮肉だな」


「無意味なりに意味を成そうとした結果が逆効果とは」


「滑稽だな」


「……まあいい」


「自由同盟と違い代表制という訳ではなく」


「所属するギルド全てが参加する議会制だ」


「議決を待たずに行動したりもするがね」


「さて、まず言わずと知れた法治ギルド『ホワイトナイツ』」


「初心者支援やPK狩り、周りが迷惑するレベルのプレイヤー同士の喧嘩仲裁、電子ドラッグの破壊など」


「“正しいことを正しくやる”といったギルドだな」


「ほぼ悪辣なギルド潰ししかしないが敗北知らずの法治ギルド『巨神兵団』」


「のんびりとした、巨人系種族中心のギルドだったが、盗賊ギルドや迷惑ギルドのあまりにも悪辣な行為が過ぎたため」


「キレてそういった連中がよく居を構える魔界フィールドに総出で出向き」


「焼き払って薙ぎ払って」


「火の海にしたそうな」


「別名『火の七時間』」


「ますらを建設や越後屋と対になる生産ギルド『雷屋』」


「飾りオプションからスーパーロボット、掘っ建て小屋からレジャー都市まで何でも作る」


「私法機関の補給元」


「数多の凶悪犯罪プレイヤーを収監する脱出不可能な大監獄、垢バン化施設『ザ・メテオ』」


「もどーしよーもない迷惑プレイヤーを封印するのを目的としたギルド」


「酷く独善的だな」


「初心者支援ギルド『プリンセスナイツ王国』」


「名前に期待して行くと酷くがっかりする、通称「釣り王国」」


「ビル街ということ以外特筆すべきことはないな」


「そしてWoR最悪の“正義の味方”、PKKギルド『デスペナルティ』」


「ネットにある晒しサイト『晒サデオクベキカ』を常時閲覧しそこに曝されているプレイヤーを“逮捕”し仲裁ギルド『私法裁判所』に連行する」


「抵抗するならその場で死刑執行」


「公安とか秘密警察とか“黒ムジナ”の蔑称で親しまれているよ」


「で、連れていく仲裁ギルドっていうのもひどい」


「仲裁ギルド『私法裁判所』」


「普段はプレイヤー同士のくだらない諍いを大岡裁きするだけの、何が楽しいのかわからんギルドだ」


「ただし、晒されてるプレイヤーが来ると以下三名が特別な裁判を開く」


「裁判官『オフコースギルティ』パジェロ←『ザ・メテオ』への終身刑判決以外出したことない」


「検事『マッチポンプ』TEMTEM←開口一番「死刑が妥当かと」」


「『無能弁護士』えドもラん←決め台詞は「君には弁護の余地がない」」


「ちなみにこの裁判は効率を重視し」


「まず判決から始まる」


「……『私法機関』はこのくらいか?」


「あとBランク以下の雑多なモブギルドが幾つかだ」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「で、第四勢力」


「『私法機関』でも『自由同盟』でもなく、『攻略組』ですらない少々特殊な勢力、『その他』」


「いや、勢力名のように『』つけているがようするに上の三つに分けられないだけだ」


「例えば秘密組織『戦争煽動機関』」


「例えばPK支援組織『マスカレイドパーティー』」


「例えばWoR内のあらゆる食材を調理するグルメギルド『飽食堂』」


「例えば歌手系プレイヤーをプロデュースしたり、新聞を発行している芸能ギルド『WoRスポーツ』」


「例えば様々な所に潜む地下組織『嫉妬団後援会』」


「などなど」


「『私法機関』と『自由同盟』の争いなぞ我関せず、『攻略組』など見向きもせず、ただひたすらに趣味にひた走るプレイヤー達もこちらに連れて来られている」


「まぁある意味では“関係”しているが……」


「それを言ったらあらゆることはどこかで繋がってるのだから……」


「うん、言わんとすることはわかるだろう?」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「それにしても……」


「見事な混沌だ」


「正義(笑)も悪(失笑)もその他大勢(苦笑)も」


「ぐっちゃぐちゃだ」


「彼らの主の無意味な望みが叶ったわけだ」


「ま、これにて我々の無意味な物語はめでたしめでたし」


「感動のフィナーレを迎えたわけだ」


「ここから先は我らにとってことさら無意味な後日談」


「ハッピーだろうとバッドだろうと」


「世界はエンドの先も続いていく」


「見なきゃよかった後日談」


「聞かなきゃよかった後日談」


「彼らにとってはここから本番……」


「……くっくっくっ」


「くっくっくっくっくっくっくっくっくっ…………あ、そうだ」


「ひとつ、あちらの彼らにだけ置き土産を送っておこう」


「くっくっくっ……簡単に世界の謎に辿り着けぬよう」


「簡単に彼らの助けを呼べぬよう」


「簡単にこの混沌がほどけぬよう」


「あちらだけ機能を一部停止しよう」


「ん? 何故そんなことが出来るのかって?」


「それは私が」


「この私こそが」


「いわゆるところの」


「(ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…………


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