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鬼畜外道より愛をこめて  作者: キノコ飼育委員
幕間のベ(ザッ……)鳴りまし(ザアッ……)りますの(ザアアア……)点に注(ザアアアアアアアアアア)
48/77

経過を観測中……

青い空、白い戦艦、深く蒼い海。


広大な海に白い戦艦126隻が並んでいる。


白く塗られた船体に最新式のキャノン砲50門。

ライフリングの刻まれたその最新式のキャノン砲は、ドングリ型の砲弾を回転、加速させ、海竜にすら有効なダメージを与える。

さらに前方にも6門の大砲が備えられた軍艦。

帆には紅い十字架に天使の輪が掛かった、“聖連”の印。


そんな戦艦の大艦隊がずらりと並び、たった一隻のボロ船を取り囲んでいた。

それも奇妙なことに離れた所からぐるりと円の形に。まるでそのたった一隻を恐れるように。


そのボロ船は見るからにボロく、どう控えめに言ってもボロく、ボロい以外に表現のしようがない程ボロかった。

木造の船体には苔やカビ、ふじつぼが生え、さらに無惨な穴が幾つも空いている。

帆は雑巾のようにマストに引っ掛かっているのみ。

船尾に記された、苔やカビに覆われ辛うじて読むことのできる船名は『全竜の冠』号。


幽霊船のごとき船体。

いや、事実幽霊船なのだろう。

甲板や割れた見張り台まで眩い金銀財宝が無造作に転がされ、光を反射している。船体に空けられた穴からも財宝が見えている。

零れないのが不思議なくらいだ。


その幽霊船の前方、船首に男女の二人組が立っている。


二人とも“いかにも”な海賊ルックで、黒い刈り込みの男は白と水色のしましまのバンダナ、シャツ、さらに茶色い半ズボンの筋骨隆々としたいかつい顔の眼帯野郎。

女は括れた腰やメロンのような巨乳の身体を紅い船長服でキメており、赤髪が垂れる大きな羽根つきのキャプテンハットも、朱で揃えている。


女は望遠鏡で艦隊を眺めながら艶のかかった感嘆の声を漏らす。



「んー……こりゃ驚いたねえ」


「レディ? 何が見えるんで?」


「そりゃ、スゴいもんさ」


「それ、『素材チェッカー』っすよね……アレっすか? アダマンタイト製っすか?」


「いんや、もっとスゴいもんさ」


「じゃあまさかオリハルコン製……?」


「もっともっとスゴいもんさ」


「……あと思い付くのは成金野郎の売ってる超合金Zか、イカれ歯車の合金くらいっすけど?」


「んー、スミーくん」


「へい」


「RPG」


「へい」


「よいしょ……〈射程強化〉〈結界貫通〉……っ(カキン!)」


片手に渡されたロケットランチャーを望遠鏡を覗いたまま見もせずに肩に固定し、引き金を引く。


RPGの赤い弾頭が煙の尾を引きながら飛んでいき、呆気なく白い戦艦の結界を叩き割り戦艦に着弾、爆発。


木造の船はそれだけで木っ端微塵に吹き飛ぶ。



「ん、やっぱ木造だわ」


「マジっすか……ビックリっすわ」


「んあー、こりゃ囮かね」

がしがしと頭を掻く女。


「でも数揃えたって足止めどころか囮、餌にすらならないのはフツー分かりやすぜ?」


「だよねえ」


「れ、レディー!!」


と、船首に少女が飛び込んできた。


……エビのコスプレをした。

一言で言えば赤い二足歩行の伊勢エビ。

しかし全身甲殻に覆われているのではなく、足や腕は白い生身が剥き出しで、手はバ○タン星人のようだ。

顔立ちはエビの被り物がフードの役割を果たし、口元ぐらいしか見えない。




「ん? あらエビちゃん! 今日も相変わらずプリティねえ!!」


ぴょーんと飛びつきそのまま己の豊満な胸の中に少女を埋める。


「んぷ! むー! むー!」


息が出来ないのかばたばたと少女は暴れるが、女は意にも介さず抱き締める。


「レディ、話聞いてやらねえとまた拗ねるっすよ」


この言葉でようやく少女を放し、


「ぷはっ! それどころじゃありません! 敵です! 下から浮上してきます!! 魚雷接近!!」


その言葉を聞いた途端スミーと呼ばれた男が首に掛けていた貝殻に叫ぶ。


「防御態勢!!」


さらに彼方に展開していた艦隊の50門キャノン全てが火を吹き、砲弾の嵐を浴びせてくる!!


しかし


「シールド既に張りました! 迎撃魚雷、機銃の用意万全です!!」


その言葉と同時に船の周り20メートルに入った砲弾から何かに当たって爆発し、透明な壁がチカッ、チカッと断続的に現れたり消えたりした。


「迎撃完了! 被害皆無です!」


「さっすがエビちゃん、頼りになるぅ!!」


再び抱きしめ少女の頭をなでなでする女。


「えへへ……じゃなかった、現在すっかり囲まれました。どうしますか?」


「そりゃ決まってんじゃないの……の前に、この辺に大規模な罠とか仕掛けられてる?」


「い、いえ。あの激痛の正体は依然不明ですがわたしの探知範囲内には何も無いです。ステルス機の存在も現時点では確認してません」


「てことは無いってことね」


「その、信頼して頂けるのは嬉しいのですがあまり過信は「いいのいいの!」」


弱気な発言は聞きたくないとばかりにエビちゃんを遮り女は言う。


「仲間を信じるのが船長の役目よ! さ、仕事仕事!!」


カチャリと自分の首元の貝殻型無線を取り、


「あー、あー、艦内放送艦内放送」


一度区切って大きく息を吸い込んで――――――



「野郎共!! 敵だ! 獲物だ!! ブッ殺せ!!!」


開戦を告げた。


―――ウオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!!



艦内全てから反響し、海底から(・・・・)響いてくる雄叫びは、正に飢えた獣達の歓喜の咆哮だった。




「浮上開始!」


最後にそう告げると、『全竜の冠』号が上昇する。


正確には、エレベーターのように持ち上げられる。船の下から海水を押し上げ、海を裂くように姿を現すソレ。



黒光りする鱗のような装甲。

艶やかな葉巻のような巨大楕円体。

海を逆巻かせる巨大スクリュー。

艦橋の上にちょこんと幽霊船が乗っている。

幽霊船は船体の下半分が無く、割れた船体からはみ出した財宝が光を反射し、まるで冠のよう。

艦橋に描かれたマークは『地球の入れ墨の入った髑髏に巻きつく冠を戴いた竜』。


その巨体が浮上しただけで上にいた船も側面に潜んでいた潜水艦も持ち上げられ、陸に上がった魚のように横倒しになる。

さらにその浮上時に起きた波が津波のように残りの戦艦を拐う。


全長122キロ、全高22.8キロの超巨大潜水艦『全竜(リヴァイアサン)』号。




「さあ! 蹴散らしちまいな!!」



山海空賊ギルド代表、『賊世界』。


ギルド長キャプテン『レディ』フック。


異界の大海原に浮上。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





天を突くほどの山脈。

山肌は白い岩に覆われ、常に黒雲のかかったこの山脈は内側、つまり中にドワーフの王国を抱いている。


その山脈の名はゼブレスト山。

古くは千年の歴史を持ち今なお衰えぬ城である。



の麓。




ヤギのような生き物が歩いていた。

白い岩肌に僅かに生える草を食もうと、首を伸ばした時、小さな振動を感じた。

細かな揺れはすぐに大きくなり、余りの震動に岩山が崩れ始めヤギは走り去った!


そして――――――



グギャアアアアアン!!!!


凄まじい破砕音とともにたった今までヤギの居た岩肌を宙へと吹き飛ばし、何かが飛び出した!!


「フッフーン、開通でR!!」


飛び出した何かは宙を飛び、ジェットファイアを切って地に降りる。


地面に打ち下ろした四本の円錐形に鋭く尖った足が岩肌を容易く砕く。


全身メタリックシルバーカラーで腕はなく、代わりに樽のようなロケットブースターが上向きに、まるで肩パッドのようについている。

頭は……ドリルだ。

縦ロールだとか、リーゼントだとか、そんなチャチなもんじゃ断じてねえ。

もっと恐ろしい、三角コーンクラスのドリルが頭にくっついてやがる。


「まったくセンスの古いモグラどもでR。折角この吾が輩が腕を振るってやろうと言ったのに」


口もないのに呆れたように喋り、やれやれと肩パッドをすくめ、軽く首を振る。



「ま、いいでR。仕上げに入るでR」



グググッと槍のような足の一本を高々と振り上げ、


「―――〈グランドシェイクスピア〉」



黄色いオーラを纏った足をピッケルのように振り下ろした!!


槍のごとき足は易々と岩をぶち抜き粉砕、その震動が地面を伝わり――――――



山が崩壊した。


ヒビが走り、亀裂と化して山を引き裂き、内側へとぺしゃんこに潰れた。


「おぉ! またひとつ新たな美術史を刻んだでR! すばらしいデキでR!」


喜んでいるのだろうか、その白銀の身体を妙にクネクネさせる奇人。


「それにしても新フィールドとは運営も懲りないでR。いくら端麗華美、荘厳美麗な風景を創ろうと、跡形もなく修復しようと、この『ますらを芸術家』にしてダ・ピッホがいる限り!! 尽く粉砕し、芸術へと昇華してくれるでR!!!」



そう言って軽い動作でぴょんと20メートルほどジャンプ、空中で足先を纏め大きな円錘みたいにする。


ビュンと緑のシールドがそこに展開され、螺旋描く刃が走る。


右肩ブースターが斜め前を向き、左肩ブースターが斜め後ろを向いて着火。


超速回転!!


地面に突き刺さり、掘り進み、大きく堀り回って再び外へ!



そしてあろうことかそのままロケットのように空を飛ぶ。


崩落した山を越え、しばらく行くともうひとつ、山があった。


もとい、戦車があった。


山のように巨大な戦車が大地を破砕粉砕しながら進んでいる。


凄まじい土煙を巻き上げている見上げる程のキャタピラの側面カバーには、『灰色の地球をぶち抜くドリル』が描かれた巨大看板が何枚も連続して垂れ下がっている。


車体カラーは工事車両と同じく黄色と黒の縞模様。


さらに対艦巨砲主義ここに極まれりと言わんばかりの戦車砲がパンケーキのように重なり、トーテムポールのようになったヤツが幾つも。


↑がオモチャに見えるほど巨大な砲台も幾つか。


↑を鼻で笑うレベルの超巨大砲台が五つも。


↑が土下座するくらい超々巨大な砲台がひとつ。


↑の上にちょっとした司令塔が立っている。


ミサイルもずらりと並び、滑走路、ヘリポートまである。


ただし機銃は無い。



だが何より目立つのは車体前方に取り付けられた、城も、国も、山も、山脈だろうともぶち抜けるであろう超超超巨大ドリル!!!!



これぞWoR史上最もご迷惑をお掛けした『廃世界取り壊し用要塞車両』、名を『玄武』と言った。



「おお! 相変わらず惚れ惚れとするドリルでR!」


空飛ぶドリルと化したダ・ピッホは巨大ドリルを(高速で回転しながら)眺めご満悦だ。

と、そこに近づく一機のSR(スーパーロボット)


『団長ぉー! いきなり出ていかないで下さい!!』


白いヘルメットを被った黄色と黒の縞カラー、肩キャノンに両腕パイルバンカー。


「ぬおぉ! 何故見つかったでR?!」


『ふつーに見えてますって! いいから降りてください!! あの激痛の正体もわかってないんですからね!!』


「その事なら大丈夫でR! 近くにあった拠点らしき山をぶち抜いて来たところでR!!」


『話は後です! さあサッサと降りる!!』


「……わかったでR」


叱られてどことなくションボリしたドリ男は要塞に着艦した。




建築破壊ギルド代表『ますらを建設』


ギルド長、『ますらを芸術家(アーティスト)』ダ・ピッホ。


異世界にて数日中に着工予定。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



薄暗い地下室。


そこに場違いなまでに明るい声が響く。



「はい! 今日も始まりました“マジねっと”越後屋!!」


金ぴかな男だ。


悪趣味なまでに金ぴかな男だ。


金髪金眼全身金糸で織られたスーツを身につけた、ニコニコセールススマイルの金縁モノクル男がパンと手を打つ。

ちなみに柔和なイケメン。




「本日ご紹介する商品はこちら!」



(ジャジャン!)



「“デザートイーグル:越後屋カスタム”です!」


そう言って金色のデザートイーグルを掲げる。


「ちょっと夜道を歩こうとしただけで、アベクマーがホイホイ釣れて襲われる何てこと、よくありますよね」


「そんなときはこれ一丁で大丈夫! このようにセーフティーを外し、獲物の頭に銃口を向けて引き金を引くだけ! するとこのように」


ガウン!!


ブシャッ!


『いや、イヤアアア!!』

『そんな、クリス、クリス……』

『何てことを、あぁ何てことを!!』


「50口径の大威力で男の子の頭くらいなら簡単に消し飛びます!!」


「え? 生身が消し飛ぶのは当たり前ですって? ご安心ください!!」


「もちろんこのような全身ミスリル鎧騎士も」


ガウン!!


ガッ、ゴッ、ゴロゴロゴロ…………


『あぁぁ兄さん……』

『リロイ! リロイ返事して!!』


「ご覧の通り! 壁際まで吹き飛びます!!」


「さらにさらに! 当社秘密の素材で作成されたことにより、反動が極限まで抑えられ、見てください! 生卵も潰れません!!」


「安全、安心でかつ高威力の低反動、さらに防水性もばっちりなこの商品!」


「なんと今回! 初回限定サービスとしてお値段は頂きません!!」


質問(アンケート)に答えるだけ!!」


「今なら人質に捕った貴方のご家族が付いてくる!!」


「送迎サービスもついてきます!!」


「お問い合わせなんて面倒な真似はせずに今この場でご決断を!!」



銃口を女性二人と赤ん坊に向けながらセールススマイルを浮かべた金ぴかな男は言う。


鎖で後ろ手に縛られた壮年の騎士に向けて。



「…………いったい、何が聞きたい」


「それはもちろん! 弊社に向けて使用したあの激痛の正体でございます!」


「? なんのこ(ガウン!!)待て! 本当に知らんのだ!!」


「ふーむ、ではお客様。いったいどうしてあそこで我々を待ち伏せていたのですか?」


「……預言だ」


「預言……ですか」


「左様。あれは―――」











「なるほど、アンケートにお答え頂き誠にありがとうございました! これからも越後屋をどうぞご贔屓に!!」


そう言って金ぴかな男は、金ぴかな銃と金ぴかな弾丸一箱の入った金ぴかなアタッシュケース、生き返らせた騎士の家族を壮年の騎士に引き渡した。


「お客様から頂きましたこの地図によると、お客様はこの近くの国の王家の方々のご様子」


「悪魔め、今度は私を商品にでもするつもりか?」


「いえいえ滅相もない! ただここから先はビジネスの話になるのですが……」


スッと近寄った金ぴかは壮年の騎士王に耳打ちした。



「我々越後屋の支店を、貴方の国に出させて頂けませんか?」





闇商人ギルド代表、『越後屋』。


ギルド長キャッシュ・『ゴールド』・エチゴ。



異界一号店、出店決定。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





光の一切無い空間。


そこに長方形の白が現れる。


四角い白には赤字で『Sound Only』の文字。


それが三つ、向かい合うように存在する。



『…………』


『…………』


『…………』



表示はされても何も喋らない。


緊張に張り詰められた空気が震える。




長い、長い沈黙のあと、ぽつりと滴が零れるように一言。




『……異世界なう』


『ブッ!』


『ちょ、リーダァ空気読んでくださいよぉ』


『いやーごめんごめん。ちょっとテンパってて』


『ッッククク!! ッッ〜!!』


『テンパってるのはこっちもですよぉ、あと03何がツボに入ったのぉ?』


『ククク!! いや、だって!! クククククク!!』


『はっきり笑いなよ……』


『まぁいいわぁ、状況はどぉですぅ?』


『ククク……こ、こっちは、こっちはクククだめだ喋れない!!』


『えっと襲撃受けたけど返り討ちにしたとこだよ』


『こちらはぁ、小規模な襲撃をかけられましたがぁ問題ありません〜。すでに間者を放ち情報収集中ですぅ』


『そっか、03もその様子なら大丈夫そうだね』


『ククク……は、はい! はぁ、はぁ……ふう、落ち着いた。ええ、こちらも襲撃は受けましたがなんの問題もありませんでした』


『よしよし、取り合えずこうして無事を確認できてよかった』


『ええそうですねぇ、これが異世界ぼっちトリップなら発狂してますけどぉ〜みんな一緒ならどぉとでもなりますよねぇ〜』


『それは02だけですね、俺はこのステでトリップなら“俺TUEEEE”しますし。奴隷ハーレム目指しますよ!』


『死ね』


『死になよ』


『ちょ! ひどいですよ!! 漢の願望漏らしただけでしょう!』


『02、信じてくれ。僕はこんなんじゃない』


『わかってますよぉ、コイツがレイプ願望あるクズだってことくらいぃ』


『うわ〜お、弁解しても聞き入れてくれそうにない』


『……あ、話変わるけど』


『無視ですか? 無視なんですか?』


『どうやら“ラヴァーズ”も来てるみたい』


『『うげっ!!』』


『そう嫌そうな顔しない。ま、他にもみんな来てるっぽいよ。確認できてないのは“攻略組”だけだ』


『てことはぁ……また暗躍できます?』


『楽しそうだな02……ま、俺もありがたいですが』


『うんうん。そうだね、また暗躍の時だね』


『まずは情報とぉ』


『必要なら邪魔者の排除と』


『さらに噂の操作、だね』



『んじゃあぁ、アレやっときますぅ?』


『いいですね、やっときましょう! リーダーよろしく!!』


『では、不肖この僕が』




一呼吸置き、




『世界に』


『『『戦争あれ』』』




秘密組織『戦争煽動機関』。


異世界の影にて暗躍開始。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





荘厳な雰囲気をたたえる教会。


そこで祝福の鐘が鳴り響く。

扉が開き、男女が連れ添って出てくる。


周りには笑顔で祝福する人々。


白い鳩が飛び立ち、新たな人生の門出を祝う。


そう、これは結婚式。



男と女が永遠の愛を誓い、供に新しい人生へ旅立つ場所。


(ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!)



が、吹き飛んだ。



結婚式場は阿鼻叫喚の地獄に様変わりした!



ズシャリと土を踏む白いブーツ。

プロレスラーのような目の縁に炎の描かれた白マスク。

チャンピオンベルトを巻いた黒パンツ。


そして、残り全部筋肉。



「嫉妬マスク! この愚かな儀式を粉砕せんがため、ここに参上!!」


ビシリとポーズ決め。

飛び散った汗が光を反射しダイヤモンドの如く光り輝く。


「さぁ!! レッツハルマゲドン!!」


「「「「「レッツハルマゲドン!!!!」」」」」


「ふしだらな淫蕩にふける悪しき(アベック)たちに死の鉄槌を!!」


「「「「「オオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」


同じく黒パンツ白ブーツ炎サングラス筋肉のへんた……戦士達が次々と現れ手に持ったマシンガンを乱射し手榴弾を投げる。

更には戦車、戦闘ヘリまで辺り構わず破壊して回る。



結婚式はこのまま地獄として終わるのか。



誰もがこの突然乱入してきたへんた……悪鬼達に恐怖し、絶望した。





しかしその時!



「総統! こちらに接近する艦があります!」


「何!? どこの艦だ!?」


「それが……」


スッと空を覆う影。


上を見上げるとそこには、彼らにとって天敵であり宿敵であるギルドのマークが。



「『ラヴァーズ』の無人戦闘艦か!!」


そう、艦底に大量の機銃を備えた空中駆逐艦『ラヴレター』が変態たちに死の裁きを下しに来たのだ!!


ちなみにこの無人戦闘艦はラヴが過去何度も放った物の一隻。


瞬く間に撃破される戦車、戦闘ヘリ。


「フッ、ここは戦略的撤退だ!!」


蜘蛛の子を散らすように逃げようとした嫉妬団。


しかしさらに、


『NOT』


ふわりと彼らを取り囲むソレたち。



純白の翼、清廉な白のワンピース、連射式爆裂矢装填ボウガンを装備した、天使達が降臨した。


ただし、血の涙を流していたが。



『INFORMATION……KILL!!』


秒間70射×45体分の矢の裁きが、嫉妬に狂った亡者達に降り注いだ。




テロギルド代表、『嫉妬団』。

ギルド長、『嫉妬マスク』(キャラ名不明)。



異界に散る。


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[一言] 他のギルドも大概狂ってるwww
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