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鬼畜外道より愛をこめて  作者: キノコ飼育委員
LO☆VE!!
38/77

僕の階層に愛をこめて……でございます

新キャラ登場!!


でも今回の話いずれ書き換え予定。

旧友に出会った!!



どうする?


コマンド


(つぶ)

(こわ)

(ころ)す←




――そぉい!!


――んノゥワあ!!でございます!?


――え!? 何で避けるの!?


――何故避けないと思ったんでございます!!?


――愛だよ!!


――愛でございますか!



バトルハンマー持ってにじり、にじりと距離を詰める僕と下がる彼。


木の体、高いんじゃなくて細長い鼻、少年みたいな体格でサンタさんみたいな帽子とシャツにツナギを着ている。


この階層のボス、その名もピノキマン。




だった(・・・)もの。



――何はともあれ君に会えて本当に嬉しいよジャック!!


――ワタクシもっ!貴方をこの手でっ!抱ける可能性がある日が来るっ!とっ!はっ!思いっ!!ませんでしたでございます!!


――何でっ!可能っ!せいっ!なのっ!


――さっ!きほどっ!から貴方のハンマーがっ!ワタクシの身体を粉砕せんとぉっ!!掠めてるからでございますよ!!!


コマみたいに回って叩きつけたハンマーはさっきまでジャックの居たところを素通りし、後ろのレンガ壁を粉砕する。


ん~なかなか当たらないな、確か黒蟻いわくこういう両手武器は全身を鞭みたいにしならせて遠心力と一緒に回るように叩きつけるんだっけ?


いや、そうだ!!



――みんなぁー! 彼を捕まえてぇー!!



ふふん、ここは僕の階層。ここのモンスターはみんな僕の言うことを聞くよ!




……あれ?



――だれも、来ない?


――えぇっとでございますね、ワタクシ、ここに来た当初何者かに洗脳されかけましてですね。


――洗脳?


――ええ、だから何者かに拐われたと考えまして、


――うん


――この辺に居た奴皆殺しにしてしまったんでございます


――…………ええぇーー!!!! え!? この階層結構みんな強いよ?! 特にココはボス用の街だからさらに強いモンスターと超強力な罠だらけなんだよ?!!


――いえその、この体の使い方と罠の位置は何故か(・・・)当たり前の如くわかったのであとは切り裂くだけでございましたよ


――マシンガンは?


――肌に合わなかったので捨てましたでございます


――じゃ、じゃあそのナイフは?


――その辺に居た奴を後ろからマシンガンで蜂の巣にした後頂戴したでございます


――ワ、ワイルド……


――ブリリアント、でございます





彼はジャック。


僕の旧友、そして保護者(・・・)


僕が小さかった頃、両親が愛し合って死んで、独りになって、瑠璃架に出会い、色々あって彼女について山に登った時、道に迷った。


その時拾ったかぼちゃに宿ってた幽霊だ。


彼のおかげで山も降りれた。


その上、彼は何かにつけて僕とお話ししてくれて、親代わりに世間に出ても大丈夫なように、色々教養方面でたくさんのことを教えてくれた。


彼はある日力を使い果たして喋れなくなってしまったけど、それでも僕は彼を大切にした。


さて、どうして僕が旧友にして僕の育ての親にこんなところで出会ったかというと、話はちょっとだけ遡る。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ここは第五階層。

街だ。

無音の街さ。

色はあるけど一切の音のない、唯一人も生物のいない世界。

前の階層が戦場で砲弾の炸裂音がBGMだっただろうから、この無音は耳に痛いだろうね。



ただし、マネキン人形はあるぜ。


停車した車の運転席に座るタクシードライバー見たいな服を着たマネキン。

店先に手をつないで止まっている親子のようなマネキン。

バスの中でズラリと並ぶサラリーマ(ネキ)ン。


ちなみに全部木製。これだけは譲れない!


現在辺りは昼ごろ。

それなりに陽気もあって暖かい。



そこの映画館。


この無音の街で唯一音楽が鳴っている場所。


ブロードウェイにあるみたいな華やかな映画館。


そこからクラシックが流れくてる。


扉をあけるとそこにもマネキン。

ボーイのような格好をしてる。

にも小奇麗な格好のマネキンが座っている。

新聞を読んでる人、コーヒーを飲む人。


で、チケットカウンターに進む。


カウンターの向こう側とはガラスで仕切られてて、塗りつぶされたように闇以外見えない。



「高校生一枚!」


お金を5Gほどチケットカウンターに置くと、カウンターの暗がりからチケットが一枚滑ってくる。



ピッと指で挟んで入場口に行く。


入場口の側にもボーイの制服を着たマネキンがチケットもぎの様にたっている。

それは無視して自分でチケットをもぎ、半券だけ持って中に入る。


中に入るとスクリーン番号の書かれた扉が両脇に並ぶ通路に出る。



一番奥は鏡になってて何もない。


ちなみにあれ、鏡の前に一人で(・・・)立ってジッと見つめると血文字が浮き出てくるよ!


“鏡の国に行きたけりゃ、暖炉の上に入り口が”


ってね!




そのまま7番スクリーンに入る。



Lの4が僕の指定席。


そこに座って〈アイテムボックス〉からコーラを出して少し待つと映画が始まる。



白黒映画で『ラヴァーズ』シンボルマーク『人喰いハート』が出る。



その後一度暗転。


パッと映るのは―――



この部屋だ。


ただし、僕は映っていない。


BGMだろうか、ジャズのヴァイオリンやトランペット、ピアノが辺りに響き渡る。


うん、ここまでは設定通り。


席から立ってコーラ片手にスクリーンに近づく。



スクリーンに手をかけて(・・・・・)よいしょと中に入った。


窓から部屋に入るように、映画の中に入った。


自分の体から色が消え、白黒のライトでも当てられているみたいにモノクロに染まる。



――んー、いい感じ。



出来の良さに呟いた言葉は音にならず、字幕(・・)になった。


しっかり僕の仕掛けは動いてるらしい。


付与師(エンチャウンター)』の〈スキル付与〉で僕の種族スキル〈時空〉を付与したオブジェを設置、この第五階層中二階(・・・)に繋げたのさ!!


それをこんな風に『映写機が動かないと起動しない』って設定、さらに映写機には『チケットを買わないと起動しない』に設定。



ちなみにここは第五階層中一階は全ての建物が破壊不能オブジェ。


さて、破壊不能オブジェはいくつかの方法でつくる(・・・)ことができるんだ。



その内のひとつ、『イベントに関係する物は破壊不能』がある。


で、『ダンジョン型』、『街型』拠点両方とも幾つか『イベント』を設定できたりする。


『ダンジョン型拠点』の代表的なイベントは『ボスを倒さないと次の階層に行けない』など。


『街型拠点』なら……ヒーローショーでもするんじゃない?



身近な例なら『十五夜大森林』の蓮の台トラップ、『フロスト兵器研究所』のエレベーター追撃戦、『ネバー・エンディング・ウォー』の最終決戦とかかな。



で、この階層なら――――


まず、中一階の物体と中二階の物体は連動して動く、中一階の物体は中二階からでないと動かせない。



次に『僕と僕が許可した相手以外の』〈スキル詠唱禁止〉及び〈レベル弱体化〉及び〈武器弱体化〉及び〈高速思考鈍化〉及び〈常時発動スキル停止〉及び〈索敵スキル範囲縮小〉及び〈再生不能〉及び〈蘇生不能〉及び〈コール使用不可〉及び〈メッセージ使用不可〉、だったかな?


他にもあった気がするけど忘れちゃった!


あ! 一応言っとくけど、それは出現する敵も含まれるからね。


フェアでしょ?



ようはこの階層は、古き良き時代のように、己の身ひとつ腕ひとつで切り抜ける、まるで映画の主役のような体験のできる成りきりパークなんだ!



ん? それだけかって?


もちろん一歩歩くだけで20個くらい罠が起動するよ?


〈ホワイトナイツ〉の人達も誰が先頭を歩くかでもめてたっけ ……楽しかったなぁ、アレ。


ちょくちょく遠くから殲滅魔法スキルを発動したんだ。みんなすごく慌てて、止めるために走る人、逃げる人、呆然としてる人……。


ま、弱体化してるから、レベル999なプレイヤーもレベル100程度の能力まで下がってて、止めるのも逃げるのも出来ずに吹き飛んでたよ! キレイだったなぁ!!



――キャハハハハ!!!



さて、〈メニュー〉〈拠点設定〉〈罠停止〉っと。


さあ、サクサクこの階層を見て回りますか。



7番スクリーンから出て、入場口まで戻ると、チケットもぎのボーイに


――ご利用ありがとうございました、またお越しください。


声をかけられた。


すっと頭を下げるマネキンだったボーイは、その顔に、狂ったような笑みと、滂沱の血の涙を流していた。



――ラヴ様!


――こんにちは、ラヴ様!


――ごきげんよう、ラヴ様!


――お帰りなさいませラヴ様!


――ラヴ様!


――ラヴ様!


――ラヴ様!



待ち相席に座っていたマネキン達が次々に挨拶してきた。


――ハローみんな! 元気かい?


――元気です!


――準備万端です!


――最ッ高にハイッてヤツだ!!


――HA---HAHAHAHAHA!!!!


――テンションばりばりです!



――そりゃ良かった! じゃあまた後でね!



うんうん、敵対されてる雰囲気じゃないね。

むしろ大歓迎って感じだ。

自分が大切に作った彼らから愛されてるってのはなんか…こう……イイね!



ボーイが入り口の扉を開けてくれた。優雅な動作だ。


一歩外に出たら、



――ラヴ様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ。



……なんか、道路になが~い黒塗りのリムジンが停まってた。


で、そこまで白いボルサリーノの帽子に白いスーツの人達が二列、道みたいになって僕に頭を下げてた。



更にリムジンのドアが開いて白いスーツをマントみたいに肩に掛けた、やっぱりニッコリと嗤って血の涙流している人が降りてきた。



――お久しぶりですラヴ様。どうぞお乗りになってください。シャンパンとキャビアがありますよ。


――や! ゴッドファーザー!! でも今僕はピノキマンに会いに来たんだ。彼はどこ?


――奴が何かしましたかい?


ん? なんか眉間に皺があるよ?


……あぁ! そういえば仲悪いって設定だっけ?



彼は『ゴッドファーザー』。この街を仕切ってるマフィアのボス。


ちなみにプレイヤーが来たら「街を荒らした」とか「よそ者が!」とか言って『チンピラ』がケンカ売る。


反撃してきたらこの街は戦場に早変わりってね!!


ちなみに『ピノキマン』って言うのはここの二人目のボスさ。


ゴッドファーザーのシマを荒らしまわってるんだ!!


だから彼らは仲が悪いよ!


――別に? ただ君も含めて用があるんだ。


――ではヤツが来るまで我々の店でおもてなし致しやす。どうぞお乗りください


――うん! じゃあそうしようか!


うーん、悪役みたいな人に悪役みたいな車でどこかに連れてかれる……ロマンだ!!




そうやって連れられて来たのは、いわゆるクラブだね。


マフィアっぽいでしょ?


ここではBGMが変わってなんか、こう、エロそう? ピンクっぽい?音楽になる。


エロい格好した女の人が棒にすがり付いて踊ってたり、バーカウンターみたいなところに黒い服装のヒットマンがグラスを傾けてたり。


みんな血の涙を流してにっこり笑ってるよ!


でもダンサーの皆さんはいろんな表情をしてるね。


とっても苦しそうですごくエロいな♡


とと、こんなこと考えてたら瑠璃架に殺されちゃう。

妙に勘が鋭いからなぁ……。浮気は絶対できないね! する気も起きないけど!!(ノロケ)



VIP席みたいなトコで出されたグラスを傾けながら(お酒じゃないよ!! ジュースだよ!!)なんか豊満なボディのエロいお姉さんに挟まれてます



このボスステージ『マスカレード・クラブ』は部屋ごとにBGMが変わるから、この部屋は一転して落ち着く感じのクラシック。


壁際にいっぱい白スーツのお兄さんたちが並んでるよ!! 片手にドラム缶マガジンのマシンガン下げてる!


やっぱこの『雰囲気から入りました』感はいいね!!


ちなみに彼は向かいに座ってるよ。


それにしても……


――……遅いね、彼。


――あの野郎……ラヴ様を待たせるたぁ、いい度胸してやがる……!


うわっ! 眉間がすごいことに……笑顔のままだから結構怖いね。


ここは……先に始めとこうか!



――あ、そうだ!!君にプレゼントがあるんだ。


――ぷ、プレゼントですか!!



お、嬉しそうだね。


――うん、これなんだけど……



〈時空〉スキル発動、手をそのへんに手を突っ込む。

これってホント不思議な感覚だよ。

言葉には言い表せないな。


――よいしょっと、はいコレ


――……何ですかい、コレ


――首飾りだよ?


――この丸い、数字のついた物体は何でございやしょう……


――? 爆弾だよ? 常識でしょ?


――……ですかい


――うん。ぽちっとな。



3:00



2:59



2:58



映画や漫画みたいにピッ、ピッとか鳴らないけど、うん、ちゃんと動いてる!


そっと彼の首に掛けてやる。


――そんじゃ、大切にしててね! 首飾りだからちゃんと首に掛けててね!



うふふ、喜んでるみたいだ! 白黒じゃわからないけど、顔が黒く見えるってのはきっと赤く成ってるんだね!!


――あ、ありがとうございます!!!だ、 大事にしやす!


――うんうん、喜んでもらえて僕も嬉しいよ! じゃ、バイバーイ!!



ルンルン気分で店を出てしばらくすると、店が吹っ飛んだ。


音はないけどね!

でも炎が白一色でキレイ……



……さ! 行こうか!!






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






ここは第五階層中二階十三番街。

街一つまるまるボスステージで、ここではピノキマンと鬼ごっこをやってもらう。

もちろんここに来るには『ゴッドファーザー』を殺さなきゃならないから下っ端達が「親父の敵だ!!」とか言いながら乱入してくる。

全体的には満天の星空の下で街頭の明かりのみでピノキマンを探さないといけない。

もち、罠にも気をつけて!






ていうステージなんだけど……



――どうなってんのコレ?


白だ。


白一色だ。


いや火の海だった訳じゃなくて。



霧だ。


ミルクより濃厚な白い霧。

自分の手が辛うじて確認できるほどの濃霧。



――あれ? 黒蟻の階層に来ちゃった?



いやいや、ちゃんとここは第五階層中二階だ。


んー?


ふむぅ…………ん?



――……あれ?



何か居る。


僕の索敵系スキルに引っ掛かった、黄色マークな何か。


ちなみに索敵“系 ”っていうのはまあ、索敵に関係するスキルだよ。いろいろありすぎるし名前違うだけで効果被ってるのもあるからまとめてそう言ってるんだ。


で、赤は敵、青は味方、黄色は“わからない”存在。


こちらに攻撃の意思のあるNPCや自分が敵だと思ってる相手が赤、パーティー登録してるか自分が味方だと意識した相手は青、会ったことがない相手や中立NPCなんかが黄色で表示される。


……誰に説明してるんだろ、僕。



さて、ここで問題なのは、ここが僕らの本拠地で、僕らに友好でない存在が居るはずがないってことだよね。



……つまりこのスキルはただのレーダーになってしまったか、




プレイヤーが侵入しているか、だね。



……後者ならいいなぁ♡




〈転移〉っ!!




……ん? 何だろう、この、すごく、すごくすごく懐かしい感じは…………?







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







あなたはピノキマン『ラヴァーズ』本拠地『モンストロ』の第五階層ボス『ピノキマン』『ラヴァーズ』に忠誠を誓いプレイヤー名ラヴルリ黒蟻フロストに絶対の忠誠を誓い魂の一片まで捧げ狂信をひた走るただただ忠誠をただただ忠誠をただただ狂信をただただ狂信をその為なら全てをステロその為ならば全てをステロこの世にそれ以上の価値ナシこの世はソレニ比べるベクモナシ自らの命も省ミルナあなたはピノキマン『ラヴァーズ』本拠地『モンストロ』の第五階層ボス『ピノキマン』『ラヴァーズ』に忠誠を誓いプレイヤー名ラヴルリ黒蟻フロストに絶対の忠誠を誓い魂の一片まで捧げ狂信をひた走るただただ忠誠をただただ忠誠をただただ狂信をただただ狂信をその為なら全てをステロその為ならば全てをステロこの世にそれ以上の価値ナシこの世はソレニ比べるベクモナシ自らの命も省ミルナあなたはピノキマン『ラヴァーズ』本拠地『モンストロ』の第五階層ボス『ピノキマン』『ラヴァーズ』に忠誠ウを誓いプレイヤー名ラヴルリ黒蟻フロストに絶対の忠誠を誓い魂の一片まで捧げ狂信ルをひた走るただただ忠誠をただただ忠誠をただただセ狂信をただただ狂信をその為なら全てをステロその為ならエば全てをステロこの世にそれ以上の価値ナシこのゾ世はソレニ比べるベクモナシ自らの命も省ミルナただただ奉仕をただただ奉仕をただただウルセエエエェェェェ!!!!!!


いい加減にしやがれ!!ベラベラベラベラ聞きたくもない話を繰り返しやがって!!!んだこの糸は!?ケンカ売ってんのか!!千切ったるあああ!!!



自分に絡み付いていた何かを引き千切り、ようやく自由になる。


クソッ!!ここまで行くのにずいぶん時間をかけてしまった。


あの子は無事だろうか?


泣いてないだろうか?


あの子は寂しがり屋だ、誰かがいなければ駄目なのだ。


こんな僕を人は過保護と呼ぶだろう、だが僕は一応あの子の保護者だ。


心配なのは当然だ!!



はやく、あぁはやくあの子を探さないと!!


取りあえず、このよくわからない空間から脱出しよう。何なんだ、白黒って。


しかもこれ、マシンガン?

映画の中でしか見たこと無いぞこんな旧式の。


そいやこの世界、見たことあるな……どこで…………あ。


そうだ、あの子と見た映画だ!


ギャングもので白黒映画、僕が昔の話をしたから『YATATU』で借りてきたんだっけ?


残念ながら時代が違ったけど面白かったな…。


と、そんなこと考えてる場合じゃない。


……久しぶりだけどちゃんと出来るかな?



……大丈夫だ、自分を信じろ、イメージしろ、“魂を形に、記憶を現世に、心を力に”。創造するは最高の環境、最強の自分。


さあ、顕現しろ!!



僕の世界よ!!







…………できた? できたよ、ね?



よしできた!!


ふう、まあ取りあえず、数百年振りの食事をしよう。


結構近くにたくさん居るし。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





………けふ、何か、量は有るけど美味しくないな。


古いキャベツかじり続けてる気分だ。


生前食べたあの固い黒パンが懐かしい。




ッッ!


ビックリした。


いきなりこの近くに新しい魂の反応。


さっきのあの新しい獲物が現れる変な場所とは全く違うところから来た。


……しかも、強い。


なるほど、かなり派手に動いたし、ここが敵の本拠地なら潰しにも来るか。


まぁいいさ。


戦う必要は無いんだ。


とっととこの場から離れよう。



ん? 消えた?



ッッッッ!?


いつの間に!!?



…………白黒に、ギラッとした笑顔の白い翼の、天使か……。




殺ス。



アノ子ヲ見ツケル邪魔ヲスル奴ハミンナ殺ス。



手に握るはナイフ。


僕の魂からできたナイフは袖の中にある。


そこらの材料から即席で作ったナイフも服のあちこちに隠してある。


準備万端。


一瞬だ。


天使だろウが死神ダロうガ、瞬きスル間にバらバラニシてヤルゼ……。




死ネヤっとぉ!!!????


あ、あれ?! この雰囲気、このオーラ!!


ま、まさか!!!



――あ、あなた……月光くんでございますか?


!!


――……この感じ、懐かしいこの感じ!!


向こうも驚愕している。


白黒がするりと仮面を外す。


東洋人の黒髪黒眼、どっちかと言えば可愛い系の……可愛い可愛い私の……



――月光くーーん!!! ワタクシでございます! ジャックでございます!!


――やっぱり!! ジャック、ジャックなんだね!!



一体ここはどこなのか、どうしてこんな身体の中にいるのか、月光くんの格好は、その翼は、


様々な疑問がある。


でも、そんな疑問は後回しだ。


あの子に会えた。もう会えないと思っていたあの子に。

しかも昔とは違う、今は、今はあの子をこの腕に抱くことすらできる!!


この奇跡を噛み締めねば!!


ほらあの子がこっちにでっかいハンマーを――――



――そぉいっ!!






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ここは第五階層中一階。

つまり映画の外。

色も音もある世界。


そこで僕らは旧交を温めていた。


一通りの事情を説明した結果、彼は現状を何となくで理解したらしい。


具体的にはここが異世界だってことだけ。


後は彼の武器について。


何でもナイフがたくさん欲しいんだって。




「でもいいの? いろいろあるよ? 刀とかチェーンソーとかノコギリとか糸鋸とか」


「後半全部ギザギザ!? い、いやナイフがいいのでございます」


「ちっちゃいのがいいならあるよ? マチェットとかハチェットとかラチェットとか」


「いえですからナイフがってちょい待ち最後の何でございましょう!?」


「え? コレだ「ゴメンやっぱ出さなくていいでございます!!」そ、そう?」



死んでるから大丈夫なのに……。



「じゃあどんなナイフがいい?」


「切れ味がいい奴で。あと投げナイフがたくさん欲しいでございます」


「じゃ、コレか、なっと!」


空間に手を突っ込んで奥の方に引っ掛かってたナイフを数本掴みとる。


……あ、そうだ!!



「いっそ改造しようか!」


「改造、でございますか?」


「うん! 君の身体を造ったのは僕なんだけど、その身体、マシンガン主体で闘うように出来てるからそれをナイフ内蔵型に変えてスキルもそれ専用に組み換えるよ!」


「んー、そんなことしてワタクシ大丈夫でございましょうか?」


「たぶん!」


「自信満々に自信無いって宣言してございますね。まあいいでございます、どうせ彷徨ってたワタクシです、構いませんともでございます」


「じゃ、始めるね!」


「よろしくお願い致します」


「任せて!よいしょっ!」


「……あの~、月光くん?」


「なにぃ~? あ!ここではラヴって呼んでね!!」


「じゃあラヴくん、そのでっかいまさかりはナンデスカデゴザイマス?」


「そりゃこれは…まさかりでしょ?」


何言ってるの?常識でしょ?


「いえ、まさかりなのは承知してございます。聞きたいのは何でそれをワタクシに向けて振りかぶってるのかなんでございます」


「え?君の身体から魂を回収するために一回粉砕するためだよ?」


「……で、ございますか」


「うん! だからさジャック、」


そこで僕はそれを両手で振りかぶって、


「“動かないでね”」



ジャックの頭にぶち下ろした。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







「……でね?これがなかなか硬くてさ、結局叩き壊すために42回も振り下ろしたよ」


いや~、やっぱ専用の〈スキル〉持ってないと不便だね!


ん?


「どうしたの? みんな石みたいに固まって?」


「え? いやいやいやいやいや何でもない、何でもないぜ!?」


「せ、せやせやせやせや何でもないで!!?」


「ソ、それよりその後どんな風に改造し直したのか聞きたいナ!!」



……? みんなテンション高いなぁ


「えっとね、デザインは小さいカボチャ頭で英国紳士みたいな格好にして、名前はもちろんジャックにして、運動性能をおもいっきり高めにして、黒蟻みたいに全身に刃物取り付けたよ。ここに呼ぼうか?」


「……おう、呼んでくれ」


ああ!? 瑠璃架ちゃんの目が急に鋭くなったぞ!

瑠璃架ちゃんはシリアスモードになるとやけに目が鋭くなるんだ!

だから門下生のみんなに『踏んで下さい!!』って言われる程なんだ!


「それじゃあ、〈サモン・ジャック〉!!」



ラヴの前の床にヒィンッと蒼い、直径一メートルくらいの魔方陣が出現し、そこからゆっくりとジャックの手が出て、床を掴むとよいしょと一気に全身を外に出した。




生まれ変わったジャックは僕の卓越したセンスによりその姿を大きく変えていた。


英国紳士のようなスーツにネクタイ、シルクハット。もちろん胸ポケットにはハンケチ。

けど頭は人の頭部と同じくらいの、まるでハロウィンのようなカボチャだ。中には闇を詰め込んだかのように真っ暗で青い炎がひとつ、灯っている。


さらに腰の左側にはカンテラを下げ、反対には小さな布袋を着けている。


でも皆が彼を受け入れてくれるか心配だな……。


そう考えてるうちにジャックと皆は対面し、しばらくお互いを見つめたかと思うと……。



「……」


「……」「……」「……」


(ガッシ!!)



……? 何でみんな固く握手したり肩を叩きあってるの?



「ところでデザイン何やいろいろ被っとらん?」


「正式名称は『JACK Oh JACK!!』です!! もう、取って置きのSSS素材と武器を取り付けて、レベル999プレイヤーだろうとぶっ殺せるようにしました!!」


「感嘆符も名前なのカ」


「…………(敵性反応ナシ、あーツマンネ)」


「えっと、皆さん。初めましてでございます。ワタクシ、この度新たに『ラヴァーズ』の一員となりましたジャックでございます。一応リアルではこの子の保護者でした」


「マジで!? いや、でもラヴの親って死んどらんかった?」


「お前は本当にデリカシーに欠けるナ……だが俺もそう聞いたゾ」


「ええとですね……」


「って! よく見たら貴女、瑠璃架ちゃんではございませんか!!」


「あん? あー……あぁ! てめえアレか!!あの置物か!」


「ここで会ったが100年目! 積年のカースを喰らえでございます!!」


言うや否やジャックは袖からナイフを引き抜き―――――




〈〈一分お待ちください〉〉




「ハッ(嘲笑)! カスが」


「ぐっ……! やはり強い…」


「クソチートが……!」


ボロボロにされて倒れるジャック。

勝ち誇るルリ。

便乗してルリの背中に斬りかかって返り討ちに遭った黒蟻。


凄惨な光景だなぁ……ていうか瑠璃架格好いい!


「ところで“置物”とハ?」


「えっとね、カクカクシカジカでね」


「さらにけんけんがくがくでございます」


「フムフム、つまりコイツはラヴが昔拾ったカボチャに宿っていた魂だト?」


「その通り!」


「Exactlyでございます」


「つかてめえ何しやがる」


「やかましいでございます!! つ…ラヴくんが小さい頃からずっと見ていましたが何かにつけて殺そうとしていたでしょう! 手足生え次第ブチ殺そうと思ってたんでございますよ!!」


「ハッ! そういうてめえはスゲエ量の呪いを俺に掛けてたなぁええおい? しかもそのことごとく失敗して声すら出せなくなったカス亡霊のくせに。だいたいてめえも最初は「それ以上口を開くなでございます!!」嫌だね!」


蛇のように距離を詰めたジャックを瑠璃架が蹴り飛ばした………………。



………………………………………………。




「てめえも月光を憑り殺そうとしてただろうがよ! ぎゃははは!!」


「F(ピー)!! Bloody b(ピー)!!」


「HA!! F(ピー) yourself!!」



ジャックがナイフを左手の指に挟んで四本、右手は大振りのナイフ。


ルリも袖や軍服の裾、背中から銃をマシンガンをショットガンをガトリングガンをミサイルポッドをロケットランチャーを出してジャックに向ける



「「F(ピー) you!!」」



…………もちろん、戦闘になる前にお仕置き部屋に飲み込んだよ?





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「こ、ここは?」



周囲は真の闇。


しかし己の身体もルリの姿もはっきりと見える。


床の形もわかる。


どうやら円盤状の舞台の上に立っているようだ。


端から下を見るが闇しか見えないが、うかつに降りないほうがいいというのはよくわかる。


「あ、あぁあ……」


「何呻いてるんでございますかクソビ(ピー)?」


「うるせぇガラクタ!! おいラヴ! 今回俺は悪くないだろう!?」


「この空間は……あの子によるものなんでございますか? 何時の間に超能力に目覚めたんでございましょう……」


「ちげぇよバカ!! いや説明してる暇はねえ! あ! ラヴ!!」



いつの間にか、ラヴが彼らの前に姿を現していた。



「…………」


「な、なあ、今回俺は悪くねえだろ? だ、だか「あのね?」…!」


「父さんがさ、『仲の悪い二人を仲良くさせる方法』を教えてくれたことがあるんだ。『“特別な部屋”でその二人を思いっきり愛しなさい、最初はきっと嫌いな相手と居たくなくてそこから出ようとするだろう。でもそれでも一生懸命二人を同時に愛しなさい、そうすればきっと時間が経てば経つほど、家族のように絆が深まるから』って」


「待て、確証は無いだろ」


「え?でも地下室にいた二人、龍一郎おじさんと虎次郎おじさんは三日前まではすっごく憎み合ってたのにあの時見たら仲良く抱き合ってこっちを見てたよ?」


「それは恐「だからさ」…マジでございますか」


ラヴはニッコリと笑う。


「君らにもそれをシテあげる! 思いっきり、たくさんたくさん!愛してあげる!! さあ!先ずは磔だ!!」


いつのまに出現したのか、ジャックとルリの後ろには十字架が立っていた。



「くっクソがあああ!!!!」


「さすがにヤバイでございます!!」



一気に臨戦態勢に入る二人だが、



「あ、忘れてた」



今から始まるのは戦闘ではなく、




「〈オールキャンセラーフィールド〉展開、〈フラッシュバン・ライト〉〈毒ガストラップ〉〈トラバサミ〉〈タライ爆弾〉〈オルゴール〉〈グングニルの槍〉〈ミサイル雨〉〈千本なノックタワー〉〈ヒドスの達人〉〈居眠り授業〉全起動、〈ゲート・オープン〉M1~M10、〈魔法固形〉解除、〈ゲート・オープン〉D1~D3“僕以外”殲滅特化型車両起動、あとは~……」



一方的な拷問(オシオキ)である。



ジャックについては次話で。


しかし伏線はっても回収できない・・・。

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