これが俺の階層だぜ!!
今回やっと命令の内容が出ます!!
でも皆さんが予想しているような彼らに殺される系ではありません。
彼らは一応身内には甘いので。
―――撃てえぇぇ!!
―――行け行け行け行け行け行け行け行け!!
―――衛生兵!衛生兵えぇぇ!!
―――突撃イィィイィィ!!
―――後退!後退しろ!!後方で部隊を立て直す!!
―――駄目です!応答有りません!
―――呼び掛け続けろ!!
―――ジ・エンド……だ…………
―――や、やめろぉ!!やめてくれぇ!!
―――こちらバニラ01、これより爆撃を開始する
―――隊長!エナジーシールド破られました!!敵SR多数!!
―――何ィ!?クソッ!APをまわせ!私も出る!!
―――作戦は分かっているな?連中が機体に乗り込む前に速攻で片づけろ
――了解であります!!
―――空が青い……死ぬにはいい日だ
ゆっくりと、戦場を歩く。
音を楽しむように光景を楽しむように。
怒号、悲鳴、銃声。
ゆったりと、戦場を歩く。
香りを楽しむように。
硝煙、火薬、燃える炎。
ゆるやかに、戦場を歩く。
雰囲気を楽しむように。
興奮、恐怖、歓喜、渇望。
背の高い草の生えた丘陵。
アマゾン奥地のような森林地帯
岩だらけの荒れ野
カモフラージュされた野営地
兵士達が出撃する堅固な基地
炎上する戦車、墜落した戦闘機、動かないSR兵器。
そこらに転がる死体。
「……いやはや素晴らしいぜ」
ここは俺の階層、『ネバーエンディングウォー』
その名の通り、久遠の戦争を続ける、戦争をするためだけの戦場だ。
一つの階層につき一つ、どこかに各階層を繋ぐ転移陣があり、条件を満たすことで起動するそこを通ると次の階層に飛ぶことができる。
出現できるポイントは決まっており、例えばこの階層だとここ、戦場のド真ん中。
ぐるりと見渡す限り戦場だ。
あのエレベーターみたいなコンクリが荒れ地にぽつんと存在している。
戦車が突撃し爆風が吹き荒れ銃弾が飛び交い戦闘機が撃墜される。
ヘリが軍用トラックが新たな兵士達を降ろしては去り、その兵士達は前線に突撃しミサイルが直撃して呆気なく全滅する。
そんな戦場を、戦争を眺めて俺は知らず知らず笑い出していた。
「ギャハハハハ……なんて…………あぁなんて!!」
くだらない。
なんて馬鹿馬鹿しい戦場だろう。
何の意味もなくただ設定通りに殺し合い続ける停滞した世界。
陣地を取っては取られて永遠に出現する兵士たちが躍り続ける箱庭。
自分で作っておいて何だとは思うが……
(確かここは……月光のリクエストでデザインしたんだっけ?)
好きなものを創れと言われたからアイツの頭の中にある“俺”の“イメージ”を参考にしたんだ。
(苦笑)
(その結果が『終わらない戦争』か……ギャハハ、ホント、らしいよな)
確かにこの永遠に無意味に戦い続けるコイツらと空虚な戦争をやり続けている俺。
ぴったりじゃねぇか
あん?
「総司令閣下!?なぜこのような所に!?」
ふいと声をかけてきた奴を見る。
自分が城で召喚した奴と同じ格好、ただし骨ではなく黒曜石のようなつるつるの体をしている。
ダークスライム(闇魔法吸収、即死魔法反射、物理ダメージ軽減)を〈クリエイト〉した兵士だ。
ちなみにモンスターは武装する。
フィールドの宝箱を勝手に開けて武装するし、死んだプレイヤーの装備も奪う。
ゆえにスライムも銃を持つし、スケルトンは言わずもがな。
ゆえにダンジョン内部には武器のPOP場所がある。
例えばここなら『武器庫』『兵員輸送トラック』『兵員輸送ヘリ』など。
ちなみにトラックとヘリは兵士のPOP場所でもある。
「閣下!ここは危険です!!こちらへ!チヌークで本陣の方へご案内します!!」
(あー必死ですね(棒読み)これ一つとっても現実だと思えるぜ……しかもこいつ俺のことマジで司令だと思ってやがるし)
しかも尊敬してますよ俺のこと(笑)。
「必要ない」
「しっしかし!?」
「構わん、お前は今すぐ本部に連絡を取れ。“コード九○○○”を発令する」
「こっコード九○○○でありますか!? りょ、了解しました!オイッ!通信兵、通信兵えぇぇ!!」
ふう、何とかなったな。
取り敢えず、こっち側には指示出したから、次は向こう側の兵士を捕まえて……あぁメンドい。
「〈拡声〉。んん!あーあー……全軍に通達する!“コード九○○○”を発令!!原時刻をもって直ちに全ての戦闘行動を停止せよ!!繰り返す!“コード九○○○”を発令!!
直ちに全ての戦闘行為を停止せよ!!」
戦場全てに響き渡るように大音声に命令する。
徐々に、だが速やかに銃声が止み波が引くように兵士たちが自陣へ退いていく。
シン……と静寂が広がる。
何となく手持ち無沙汰になったので懐からテントを吐き出す。
どこにでもドアみたいに明らかにつっかえて出ないであろう大きなテントが懐からにゅぅーっと出る。
吐き出したテントの中に入ると机に椅子、ベッドやキッチンまであり生活用品一式が揃っていた。
外でよく使うベースキャンプなので〈気配隠蔽〉やら〈光学迷彩〉やら〈魔法障壁〉やら〈エナジーシールド〉やらで徹底的に防御力を高めた一種の小型要塞。
もちメイド・イン・フロスト。
(さて……まず呼びつけて来るかどうかため……!?)
あっやべ!!
「あっ!ちょっ!!起きたのか!?ま待て暴れるな!て、何で拘束がぐあぁぁぁ!!」
(んっんー♪よく寝ました!君の中ってとってもあったかくて気持ちいいですね♪)
「痛い痛い痛い痛い!!悪かった謝る!謝るから痛いいぃぃぃ!!」
(謝るって何をです?僕はお礼がしたいだけですよ?)
「いらない!お礼いらないから早く出てってぇ!!」
(ふふふ、遠慮しないで! たっぷり受け取ってください!!)
「ぎぃっ!!?ま、待って!?それ!それ俺の核だから!!噛んじゃだッッッッッッ!!!!? 」
一際強いそれにピーンと爪先から身体全体を仰け反らせたあとガクリと顔を俯かせ
前のめりに倒れていった。
(最近……こんなんばっかだ……ぜ…………)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぱちりと目を開ける。
「あっ!おはよう!!」
すぐ目の前にラヴの素顔があり、俺の顔が上気するのが自分でもよくわかる。
恥ずかしくて視線を下に向ける。
途端、頭が真っ白になった。
突然ですがここで問題!!
俺こと私は何故頭が真っ白になったのでしょうか?
A,自分がベッドに押し倒されていると気づいたから
B,自分の胸元がさらし含めて豪快にはだけていたから
C,ラヴこと私の恋人月光が全裸だったから
答え,全部。
「~~~~◎☆%@ГДГ㌔㍉√※!!!??」
頭が真っ白になって顔が真っ赤になって咄嗟に体勢を入れ換えて逆にラヴに馬乗りになってその頭に手の平から吐き出した真っ黒な拳銃を突きつけた。
「なななな何でわた、私にこんなことを?」
すごいどもった。
久しぶりに感じる羞恥で顔が熱い。
それに比べてラヴはからから笑っていて妙に腹立つ。
「そりゃもちろん!気絶した人を介抱するときはまず体を圧迫するものを解いて、しかるのちに人工呼吸でしょ?」
「な・ん・で!全裸なんですかって聞いてんだよ!!」
ぐりぐりと頬に銃口を押し付けながら再度尋問。
おっけー調子戻ってきた、そうだとっとと心読んで記憶を覗こうそうしよう。
「いやいやいや、君が僕の服を拘束ごと溶かしたんでしょう?服だけ溶けて身体溶けないってそれ何てエロゲ?」
……ホントだ。
やべ、トリップし過ぎてた。
「…………(テヘペロッ!)」
「うん可愛い♡」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「これで……よしっと!」
白黒のコートを着直したラヴは取り出した姿見の前でくるくると自分の姿を確認している。
「ん?仮面はこのままか?」
「え?うん、この仮面ならいつでも噛みつけるからね!!」
噛みつく……つまりラヴの愛情表現。
あぁ、やべぇ。思い出したら鳥肌立ってきた。
すごく、すごくすごく嬉しそうに俺をなぶるラヴ。
指一本動かせずにされるがままの俺。
そして最後にゆっくりとアイツが口を開いて―――――
あは
「? どうしたの?」
「……何がぁ?」
「トロンとした顔しちゃって?」
「……何でもねぇよぉ、それよりとっととお前も自分の階層見に行けよぉ……」
ああ俺そんな顔してんのか。自分じゃわかんねぇもんだな。
それにしても……またやられてえなぁ…………あははぁ……こんなこと考えるようになるなんて、いい加減私も狂ってきましたねぇ……。
「……? まぁいいや、それじゃ!後でね!!」
そういってラヴは中空を、まるで水面のように揺らし、掻き消えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
凄まじいジェット音と衝撃波を撒き散らしながら鏃の形に音速で編隊飛行する人型の機体が五つ。
ダークグレーの機体に手には長大なライフルを、腰にはサーベルを帯刀し、背中にはその機体より大きいロケットブースターが備え付けられている。
効率にのみこだわり無駄を徹底的に省いた武骨なスタイルが逆にその姿を機能美ともいえる美しさを際立たせている。
しかしそのうち一体、鏃の先端にいる機体だけは頭部がまるで帽子を被っているかのように上半分が深紅にカラーリングされている。
その一体のコックピット内部。
「報告にあったのはこの辺りだな」
『はい、報告によると前線にて総司令閣下を確認、閣下自らコード九○○○を発令されたと』
「ふむ……つまりとうとう我々にも出撃命令が下る、か。くくく、腕が鳴るな。来る日まで訓練を怠るなよ」
『ハッ! ……大佐!!』
「わかっている」
もうすぐ前線に到着しようかという時に正面、つまりは自分達の陣地とは反対側から急速に接近する機体反応。
自分達とは違い地上を高速で移動している。
頭部カメラでその機影を映す。
「デイドリームタイプのSR……ということは奴か…」
そう言ったきり忌々しげに顔をしかめて黙る。
土煙をあげて接近してくるそれらもまたSR兵器の一種。
先頭を走る一体を除けば四機は突撃槍を装備した標準的な人型の機体だが、特徴をあげるなら三つ。
まず地上における圧倒的な移動力を実現している、足の先についたホイール・バギー。
スキー板にタイヤをつけたようなそれはローラースケートのように地上を駆ける。
次に背中から飛び出したコックピット。
これは緊急時に脱出装置として働くとともにアサルトライフルや伸縮式無反動キャノンなどの武器を取り付ける。
最後に頭部の顔に当たる部分が十字に割れ、スフィアカメラと呼ばれる広域索敵装置を露出させる。
リアルでは『デイドリーム』と呼ばれる種類のこの機体は、とある皇国が開発運用していたSRで、『高速機動、あらゆる環境下での戦闘、パイロットの生存率向上』をコンセプトに開発された汎用人型機動兵器だ。
余談だがリアルのどこか別の帝国では『ナイトメア』というよく似た機体を使っているとか……。
ちなみに『デイドリーム』は空は飛べない。
跳躍は可能だが地上戦闘に特化したために飛行はできないのだ。
が、それを補ってあまりある近接三次元格闘能力は凄まじいの一言につきる。
近付かれればAPを含めた大抵のSRが負けると言われるほど。
そして今こちらに向かう五機、その先頭の一体。
周りの四機が紫で統一された同型機であるのに対し、その一体だけは特別機のようだ。
まず腕が体格に比べ異様に長い。
さらに手は非常に大きく、指先は刀のように鋭い。
さらにその大きな手はAPでも容易に胴体ごと握り潰すことが出来るだろう。
ボディはしなやかな流線型を描き、あまりメカのようではない。
頭部は虎を模したかのようなデザインで、猫耳のような突起が二つ。
雪のような白に黒で縞が入り、巨大な爪と相まって白虎のようだ。
ただし膝から下はまるで長靴でも履いているように黒くカラーリングされている。
やがて小さなテントを挟んで停止する。
部下には待機を命じ、コックピットにいた彼女は機体から降りた。
背の高い、金髪のエルフだ。
同じように向こうも機体から降りる。
向こうは筋骨隆々の白虎の獣人。
「や、これはナラクの」
「おぉ、これはヨミの」
二人はお互いの存在を認め微笑を浮かべると、にこやかに近づき握手を交わさずにヘッドバッドをぶち込み合った。
ガヅンッ!!
とかいう、およそ生身の物体がぶつかったとは思えない音を辺りに響かせつつ、ギチギチと額をぶつけ合ったまま、にこやかに挨拶を始めた。
「ほぉ、小器用にその狭い額をよくぶつけれたな。兵も小賢しければ将も将らしい」
(訳、お前は小手先だけの卑怯者で、そっちの兵士も軟弱な奴ばかりだ)
「おぉ、痛い痛い。いきなり何と野蛮な。エルフというのは吾輩のように、優雅な種族と聞いていたが、やはり貴様だけは特別野蛮らしい。もし貴様の兵に少しでも貴様のような奴がいたら吾輩の軍は負けていたやも知れんな」
(訳、お前は粗雑で野蛮なエルフで、そっちの兵士は全員腰抜けだ)
いかにも女軍人といった毅然とした口調の彼女に対し、えらく低くて渋い特長的なイントネーションの男。
血が滲んでいるのも無視してメリメリと額を押し付け合う二人。
彼らこそこの階層の二大ボス、『ナラク要塞』司令『赤ベレーちゃん』と『ヨモツクニ要塞』司令『軍靴を履いたニャーゴ』である。
「……今はよそうか」
「で、あるな」
そのまま離れ、何事もなかったように額の治療を相手より早く終わらせようとしつつ、テントに入っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グオオオオォォォッ!!!
ブースターが低空飛行する喧しい音がする。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
バギーのようなタイヤの音がする。
「やっと来ましたね……んー口調としては…………やはり部下ならある程度捨て駒として行動をともにするでしょうから、いつもの口調でやるか」
都合が悪くなったら殺しゃいいんだしよ。
ただし使えるだけ使ってからだが。
そうこうするうちに着地音。
1、2、3、4……10、か。
確かここのボスに配備してるのは高速機動型SRだったな。
ボスと同時に味方兵士がSRで援軍として飛んでくるんだ。
しかも転移脱出装置で撃破された後必ず再戦するようにして。
しかもしかも!ボスを倒してもまだ終わりじゃない。この階層のボスは二体いる。
プレイヤーが片方を攻撃することによってパワーバランスが崩れ、もう片方の軍が進撃してくるのだ。
ボスの間に向かって、全軍が。
まさに絶望。ここでかなりホワイトナイツの連中に精神的にも物理的も、そして物資的にも大打撃を与えてやった!!
まぁ一転突破でボス潰されてそのまま次の階層に逃げられたがな。
ま、フロストよかましだ。あのカス、高価なSR大量に潰されやがって……俺んとこのSRは大半が機械系モンスターの〈クリエイト〉されたそれっぽい偽物だから無料だけどよ。
確かに『コルドロン』がこっちの手に有る限り金は無尽蔵だけどだからといって修理代もバカにならねぇってのに……。
……ハッチ開閉音、1、2。
なる、残りは護衛か。
ちなみに俺はここの軍隊全部いっぺんに相手取って三十分くらいで壊滅させることができる。
余りに暇だったこともあって俺だけを敵として認識するように設定して潰して回ったんだ。
『〈ラヴァーズ〉第四階層防衛軍ナラク要塞司令、赤ベレー大佐、コード九○○○発令につき、御前に参上致しました』
『同じく、〈ラヴァーズ〉第四階層防衛軍ヨモツクニ要塞司令、ニャーゴ大佐、参上致しました』
……敵性反応無し。
忠誠心もかなり、か。
ツマンネ、蟻の言った通りじゃねえか。
ま、心なんて不安定なものはたとえ今忠誠度MAXだろうと些細な一言で瓦解するものだから信用ならねぇ。
その為にも試さねえとな。
「入れ」
「「ハッ!!」」
先に入って来たのは森林用迷彩服を着る、出るとこ出て引っ込むとこ引っ込んでるつまりはグぅラマラス!!で長身な女、赤いベレー帽からは金糸のポニーテールが背中を流れており、後ろに纏められている髪は尖った耳を隠しておらず、むしろ誇らしげに曝している。
何とはなしにコイツの胸に目が行く。
……………………私のはステータスだからいいです、別に。
その後ろにサーベルを帯刀し、薄緑の軍服を着た二足歩行の猫。ただし手は毛深いだけで人間のものと同じだ。先に入った女と同じくらい背が高いし、筋肉の隆起は白虎の顔にふさわしいものだ。
ちなみに二人とも高校生であるルリより背が高い。
「至高なる我らが創造主にして『ラヴァーズ』総司令官であるルリ総「御託はいい、とっとと来い」ハッ! 失礼致しました!!」
長々と口上を述べてきやがりそうだったからさっさと遮る。
……そうか、今度からこうやって話を進めるか。てか俺らの会議って“踊る”とかそんなレベルじゃねぇからな。
「さて、俺は今非常に忙しく、実際お前らの相手なんざしてらんねぇ状況だが、そんな中をわざわざ時間を割いてテメェラに直接命令しに来てやった……何か言いたいことはあるか?」
「「恐悦至極であります!!」」
……えぇ~、ちょっと引くぜコイツら。
マジで喜んでやがるし悦んでやがる。キモい。
俺だったらこんな喋り方する奴闇討ちするぜ?
「まあいい、てめぇらに命令だ」
「「ハッ!!」」
この時偶然の一致だろうか、別々の階層で全く同時に同じ命令が下されていた。
「この景色に血を舞わせたいから」
「ちょっとした実験がしたいかラ」
「何となくそんな気分だから」
「「「死ね」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここは超巨大空中要塞「モンストロ」。
の上に突き出てる塔。
の中の一室。
モダン調の部屋。
そこに銀色の光がまたたき、ルリが姿を現した。
その部屋の机にフロストは腰かけていた。
黒蟻はいつも通り天井である。
「帰ってきたカ」
「おう、どうだった?」
「“忠誠度”のことカ?」
「どうもこうもあらへん」
「てことはお前らのとこもアレか?」
「アレダ」
「アレやな」
「「「狂信レベル」」」
そう、それに対する返答は
「ほっほ、雅ですな」
「わかりました、今すぐこの場でよろしいですね?」
「GARAGARAGARAGARAGARA!!!」
「Yes,mam!!」
「オール・ハイル・ラヴァーズである!!」
ひょん座衛門は庭に降り手刀にて自ら首を切り落とし、
セヴンス・ゴートは毒々しい試験管を取り出すと中身を飲み干して血を滝のように吐き、
ガラガラドンは背中から自分の本体を露出させると尻尾を蠍のように伸ばしてそれで貫き、
赤ベレーは拳銃を抜くとそれで頭をぶち抜き、
ニャーゴは軍刀を抜いて腹を裂いた。
「つー訳で、一応確認出来たって感じか」
「ム、そう言えばお前ら死体をどうしタ?放置してきたが不味かったカ?」
「俺も放置やで?」
「それでいい、10分経っても生き返らせれるか確認してえ」
「……ああ、死体消えへんから?」
「そ、あの城にいた連中、生き返らせたけど明らか10分以上経ってた。それは何故か?」
「死体さえあれば生き返らせれるト?」
「…………死体、とか生き返らせる、で何か思い出さなあかんことあれへんかった?」
「……確かに記憶を引っ掻く何かがあるナ」
「…………あそうだ!!ラヴは?まだ帰ってきてねえのか?」
「あぁ、せやせやラヴやラヴ」
「フム、スッキリしタ。ボスはまだ来てないが……そろそろ来るだろウ」
「そう言えばやな、お前何でラヴにはあの命令の話聞かせへんかったん?」
「そりゃお前、アイツに聞かせたら絶対反対するだろ?」
「……確かニ」
「せやったらどうやって確認するんや?」
「後で俺が直々にチェックすりゃいいだろ」
「ただいまぁー!!!」
「うおびっくりした!!」
いつも通り唐突に、空間を揺らしてラヴが現れた。
「お帰りボス」
「お疲れー、で?どうだった?」
「ばっちり!!あの子は信用できるよ!」
「どうやって確認したんや?」
「ん? それはね―――」
嘘はついてません。
ええ、嘘はついてませんよ。
あ、彼らの身内の定義は『自分とラヴ』だけです。
感想お待ちしています!!!