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鬼畜外道より愛をこめて  作者: キノコ飼育委員
LO☆VE!!
35/77

ここが俺の階層や!!

深刻な描写不足だけど時間ないので投稿します!

巨大な満月。


とあなたが言われて想像する2.5倍くらいの大きさを誇る満月が、富士山よりかは小さい、鬱蒼と木の生い茂る山に掛かっている。


だが残念ながら今黒蟻のいるところではその光景は見えない。



なぜならここは地表の八割を深い霧の覆う森に隠された階層。

いつまでも欠けることのない満月に照らされし階層。

そしてどこかにまにキュア城が無断で建築されている階層。


その名を、『十五夜大森林』と言う。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







ちなみに何で飛ばへんのか。


まず第一にあの満月。

実は飾りやなくて衛星機動兵器“WABISABI”言う立派な自立戦闘型ユニット(made in フロスト)や。

極太から極細まで、様々なニーズに応えてレーザー攻撃してくるよう設定されとる。



まぁこれは俺には関係ない。せやけど万一今から会う連中が敵やったらコイツを乗っ取られとるかもしれへん。


用心するに越したことはない。



次にや、空には結界と称したループゾーンがあるんや。

空気読まれへんアホが迷路を飛んで攻略すんのを防ぐためやな。

ちなみに二回以上ループしたバカは漏れなく呪い系スキル〈蓮の(うてな)〉がかかる。地面に降りた瞬間に金の槍に全身貫かれる。

ちなみに引っ掛かったバカがホワイトナイツにおった。

わびさびわからんバカは死ね!!


……ここまで語ったけどこれにも俺は引っ掛かからへん。



せやったら結局何やねん言うたらただ見て廻りたいだけや。

ついでにそこらのモンスターは俺に襲いかかってくるんか否かもやな。


せやからこんな面倒い歩きで森ん中進んどるんや。



走れ?

走ってさっき木に激突したんや。

おかげで木っ端微塵やで、巨木が。


それもこれもこの霧が悪い!


電磁波出しとるから対策無い機械系プレイヤーは目見えへんくなるし通信系スキルも使えんくなる。

富士の樹海もかくややな。


でも対策してようと生身のプレイヤーであろうとこれは無理や。




一寸先すら見えない、まるでミルクのような濃霧が黒蟻を取り囲む。


(〈音波探知〉〈熱源探知〉〈暗視装置〉作動。……クハハッ!今気づいたけど頭オカシイ視界やな)



音波の反射によって周りの木々の形が青い輪郭の映像として視界にはっきり映る。

熱源探知により視界が真っ暗に、自分の姿は鮮やかな橙色と赤色に映る。ただし霧の温度が低いのか周りが青く塗り潰される。

暗視装置がわずかな光をかき集め視界が緑一色になるが、霧が濃くては役に立たない。



それらの視界が全て同時に(・・・)見える。



(脳の処理速の問題とかすっ飛ばして同時に理解できとる……普通どんだけ頑張っても“素早く”理解するんが限界やろ)


やれやれ、苦笑が隠されへん。

ずいぶん人間離れしたもんやで。



…………クハハハハ!!



「いやいや、もともと生身の人間部分は半分以下やったやんけww」



自嘲やないけど笑いが漏れてまう。



当時俺はやさぐれとって自己嫌悪と健康な奴らへの嫉妬で尖っとった。

いや、まあ立場わかっとったから態度には出さへんかったけどな。



新しいもんと冗談とツッコミの好きなちょっと変わった生い立ちの少女。


それが周りの俺への評価やった。


ちなみにそん時俺~です~ます語で喋っとった。



……黒歴史やな。



それにしても鬱陶しい霧やな……!

ええ加減イライラしてきたで!

〈音波探知〉以外役立てへんやんけ!!





あ。







左手を見る。


親指、人指し指、中指。



それを三角形の頂点の形になるように動かす。



で、それをおもむろに












左目に突っ込んだ。




蟻の仮面の目の部分が割れて散らばる。

ぐちゅりぐちゅり丹念に抉り、潰し、指先に電流を流して焼く。

完全に破壊し再生すらしないように焼き尽くす。


そうして黒蟻は―――――



「クハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


心底愉快だと言わんばかりに笑いだした。



「見える!見えんで!!光が!命が!!魂が!!!クハハハハハハハハハ!!!!」



あぁああ、やっぱ綺麗な光やなぁ!!

真っ暗な世界で命だけが流れ魂を形成し光となって形を成しとる!!

クハッ!クハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!

これ見るためやったら片目ぐらい安いもんやで!!


ホンマやったら両目抉りたいんやけどそれやと機械系モンスターの位置わからへんくなるからでけへん。

惜しいわぁ…………。



まあええわ。



これで周りもバッチリ見えるようなったし、この階層見て廻ろか。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






で、やな。



やっと着いた。


ただいま竹林の真っただ中。

無論霧に覆われとる。


途中で大百足が俺をここまで背負って運んでくれた。

しかもずいぶん明るい。

人魂が俺の周りを青かったり黄色かったりする光で照らしとるからやな。

百個くらいあるからネオンみたいや。

で、俺はというと舌生やした提灯掲げとる。



もうわかっとるやろうけどこの階層は和風モンスター(妖怪系など)のイメージで固めとる。



ちなみに今居()るのは神社やな。


さっき千本鳥居に囲まれた千段階段をでっかい百足で登ってきたところや。


石畳に濃霧が這いまわる。


両脇に並ぶ灯篭がボンヤリとオレンジの光を放ち霧を暗く照らしとる。


お稲荷さんがこっち向いとる。







カラーン…………コローン…………カラーン…………コローン…………



下駄の音。


……来おったな。



カラーン…………コローン…………カラーン…………コローン…………



石畳の奥。


霧の中に一つの影が映る。



背は低い。口元に白いカイゼル髭と顎から仙人のように長く垂れる髭。足には高下駄を履き服は藍染めの着流し。


だがまず目を引くは、そして名刺のように存在を主張するそれ(・・)は、実に特長的に特徴的な長い頭部(・・・)



つまりは―――――




「これはこれは頭領様、このぬらり ひょん左衛門に、何か御用ですかな?」




妖怪系モンスター最強の一角、『ぬらりひょん』だ。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







かっこん。



「それで、この度のご用は何でございましょう」



……獅子脅しにお茶とお座敷和菓子。


優雅やなぁ。


作ったん俺やけどさ。


今は神社の奥に隠してある俺のリラックスを重視した場所。


一応俺の家。誰にも言うとらん(心の平安のために)隠れ家。


隠居したらこんなとこ住みたい思て作ったんや。


典型的な書院造りの武家屋敷で壁は落ち着く緑色の土壁。


今の日本にはチョイ見られへんもんや。


そこに今俺はこいつを招待しとる。


お茶入れたんコイツやけど。


お互い正座で茶をすする。


ちなみにこの目のことでえらいひと悶着あったけどめんどいから割愛すんで。




「……頭領様?」


「お?おぉすまんすまん、風流やなぁとしみじみ思っとったんや」



いやまあ実際見事やで。



障子を開けてここから見える景色は。



いくつかある山と森、そして霧の暗いコントラスト。

それらすべてを照らす月。

手前に植えた松にうまいことかかってえらい風流や。




かっこん。




「はぁ……左様でございますなぁ…………」


ひょん左衛門も髭いじりながら同意する。



風流わかる奴に悪い奴はおらん。


せやけど、ま、


俺の親友の安全に比べたら比べるべくもないわな。


ほなやろか。



「…………さてや、」


「は、」



居住まいを正して切り出す。


向こうも真剣な表情でこちらを見る。



「……今からお前にやってもらいたいことがある」


「何なりと」



打てば響くようにかえる返事。


好都合やな。



少し息を吸ってその命令を口にする。




「それはやな…………」



感想が欲しくて欲しくて仕方ないです。



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