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鬼畜外道より愛をこめて  作者: キノコ飼育委員
LO☆VE!!
30/77

選択に愛をこめて

新年、明けましておめでとうございます!!


お年玉の代わりになるか分かりませんが楽しんでって下さい!!



……おとしだまなのに上げ……いえなんでもないです。

悪夢を……見ている……


みんなが死ぬ夢……


国が滅ぶ夢……


覚悟していたはずなのに………いざ戦ったらこんなにも怖かった…脆かった……



兵士たちが虐殺されていく


私は何もできなかった



仲間たちが殺されていく


私は何もできなかった



いいようになぶられる


私は何もできなかった



最後の手段が崩壊する


私は何もできなかった



託した希望が潰えていく


私は何もできなかった



私は何もできなかった



私は何もできなかった




私は、何も、できない




……。







「………ま……さま……」


……?


誰かに呼ばれている?



「……ま……魔王様!」


パッと意識が覚醒する。


「やっと起きてくださいましたね、魔王様!」



ベルルーシカ?


死んだはずじゃ!?



「何をおっしゃってるのですか、朝でございますよ」


リア?


「玉座に掛けたままお眠りになられるなんて……風邪を引いてしまいますよ」


「魔王様?泣いておられるのですか?」



夢……だったのか…?



「怖い夢でも見てしまわれたのですか?お可哀想に……」


「ご安心下さい、我ら六魔将、そして城の皆がついております」


「如何な相手も私が斬り伏せてご覧にいれましょう」


エージェンヌ……



……そうだな、何も恐れる必要などない



否、


私が全て守ってみせる!!


「その意気です!魔王様!!」


「さぁさ、今日も政務が山積みですよ」


「では魔王様、私は訓練がありますので失礼します」


うむ!


では今日も張り切って仕事をするがががガガガガガガガgggggggggggggggggggg――――――――






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






「gggggガガガガガアアアァァァァァアアアアアァァァァァ!!!!」


「お、起きたで?」


「ご苦労様、電気ショックやめていいよ」


「おう」


電流を流しながら掴んでいた少女の頭をパッと離し、黒蟻は後ろに下がった。


どさりと床に倒れこみ、ガクガクと痙攣する体を起こすが、もちろんそこには大切な仲間など無く、


「さてさて、おっはようございます!!」


素敵に嗤う化け物が目の前にいた。


「……ハハ………ハハハ…」


(だよね)





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して下さい許して許して許して許して許して助けてもうやめて嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌…………」


「うわぁーお」


「やれやれ、人って脆いんやねぇ」


「お前ら二人ともさっきこんな感じだったゾ」


頭をしっかりと腕で覆い、ブツブツと喋り続ける少女。


ちょっと離れて見てる三人に頭を捻るラヴ。


「んー、これじゃ話が聞けないねぇ」


さも困ったという感じで顎に指を当てていたラヴだったが、ふと、何かを思いついたように顔を上げた。


例の如く、ろくでもないことを思い付いた時の顔。


そのままラヴはずいと少女に顔を近づけ、耳元でそっと囁いた。



「ねぇ、君の仲間を生き返らせてあげようか?」


「ッ!?」


ガバッと上げた顔には驚愕と疑問、まだ色濃く残る恐怖とほんの少しの希望がグチャグチャに混ざっていた。


「そんな……ことが…」


「できるよ?簡単にね!」


「気づかなかったかもしれないけど、君、もう何回も死んで生き返ってるんだよ?」


「ちなみに君の前につれてきてあげた君の仲間も、一回死んでるよ?」


「君のためにわざわざ生き返らせて連れて来てあげたんだからね!」


「あぁ、心配しなくても悪魔の邪法とかじゃないよ?」


「僕らからしたら“死”なんてただの状態異常に過ぎないのさ」


「さ、どうする?生き返らせてほしい?」


「あ、ただし、生き返らせていいのは一人だけね」


「『命の価値は平等、ゆえに一人の命で交換できるのは常に一人分だけ』ってね!」



驚愕、疑問、疑惑、当惑、恐怖、絶望、希望、


グルグルと表情を変え、少女は口を開く。



「か、代わりに私に何を……望むのですか?」


「んー、いろいろ?ま、君にしかできないって訳じゃないから?その辺の意志の弱そうなヤツ生き返らせて情報搾り取ってもいいんだけど…」


「……ではなぜ私に?」


「まぁ、一言でいえば遊び?気まぐれ?んー、何にせよこの機会を無くしたら君は大切な人を永久に失う。あ、そうだ!やっぱり君を殺して、新しい人形を作ろう!!」


「に、人形?」


途端、体中を走る恐怖の記憶。


血の涙を流す呪われた人形。


だが本当に恐ろしかったのはその姿でも能力でもなかった。


感じたのだ、苦しむ彼女を。


気付いたのだ、この人形が生きている(・・・・・)と。


そしてこの男は言った。


自分(わたし)で人形を作ると。


つまり、



「わた、私の魂を、人形にするのですか?」


「ぴんぽーん!!よくわかったね、あれが元・生き物だって」



おもちゃを自慢する子供のようにこの男ははしゃぐ。


その顔は本当に普通で、その歪みが何より恐ろしかった。


怖い、怖いこわいこわいコワイコワイコワイ!!!



「さ、そろそろ決めてよ」


「A、仲間に優劣つけて一人だけ生き返らせ、僕らのおもちゃになる」


「B、今すぐ死んでこの子みたいな従順な人形になる」



突き付けられた二つの選択。


かけがえのない仲間から一人選んで生き返らせてもらい、世界を滅ぼす存在に魂を売るか、


護れなかった仲間を捨て、ここで死に、彼女のようになるか。



チラリとラヴの後ろに目をやる。


血涙に頬を濡らす彼女(ミンチス)がこちらを見ている。まるで私にヤメナサイとでも言うように。




頭はやめろと言う、何のために戦ったのだと、彼らはもう死んだ、諦めろと、犠牲になった彼らを無為にするつもりかと、そんなことのために世界を滅ぼす手伝いをするつもりかと。


だが理性に反し、口が勝手に動いた。


彼女の折れた心は、もはや何もかもがどうでもよくなっていた。


仲間を失い、使命を失い、希望を失い、そして誇りを失った彼女は、もう耐え切れなかった。


独りに、耐え切れなかった


「お願いします!!わ、私はどうなってもいいから、一人だけでもいいから!!仲間を、仲間を助けてください!!」


決壊したように涙を流し、仲間を殺した張本人に仲間を助けてくれと縋りついた。


完全に、屈した。



「うふふふ、キャハハハハハハハハ!!!!!」


それを受け、ラヴはとても上機嫌に嗤った。



 

感想、誤字脱字、質問など、常時受け付けております!!


最後になりましたが、今年も一年よろしくお願いします!!

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