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これは俺の趣味ダ。

超巨大空中要塞『モンストロ』。


そこには地下(投下兵格納庫)と上にある塔を除き、全部で六階層のエリアに分かれている。


第一階層・モンストロの体内


第二階層・十五夜大森林


第三階層・ 秘密基地


第四階層・ネバー・エンディング・ウォー


第五階層・サイレント・ムービー


第六階層・ 月の光



ルビをふるなら順に入り口、黒蟻百物語、Dr.フロスト研究所、ルリの戦場博物館、ラヴの処刑場、そして最終防衛ライン。


上の通り二~五階層は『ラヴァーズ』メンバーがそれぞれ趣味全開で作成したものである。


ただし第一階層と第六階層は『ラヴァーズ』メンバー全員で考えたものだ。


第一階層はお互いがお互いに手加減させ、最終防衛ラインとなる第六階層はこれ以上ないほどエグいハーモニーを奏でている。






ここはそんなモンストロの第二階層・秘密基地。


薄暗く、如何にもな悪の秘密結社的ステージで、所々に監視カメラが設置され、戦闘員|(サイボーグ、アンドロイド、オートマタ等レベル240~370)が施設内を巡回する。

砲座や銃座の中にいたのはこの戦闘員という設定だ。


ちなみにこの階層、一応一階層と数えられているが、様々な施設、研究練があり、それぞれが何階層もあるのだ。


さながら秘密基地というより研究都市のビル群だ。


さらには渡り廊下や移動パネルで繋がっていて正に研究の魔天楼。あ、後天井までだいたい23キロくらい。摩天楼マジ摩天楼。


施設としては『生命改造施設』『新型ロボット開発工場』『武器生産工場』『食品開発研究所』『生命科学研究所』などがある。


もしこの階層に攻め込んできたプレイヤーがいれば、監視カメラと連動して様々な研究兵器たちが実験と称して襲ってくる。




で、それら全ての本体である『フロスト兵器研究所』。

膨大な面積に乱立する様々な研究施設の成果が集められ、ここで一つにまとめられる。主にSR兵器開発用にだ。

まぁ研究するのはフロスト一人だが。一応研究員というキャラもいるが、もちろん飾りだ。




の格納庫エリア。

そこはフロストが今まで作成したSR兵器を保管する場所である。




薄暗く、無機質な壁に囲まれ……ようはガソダムとか並んでそうな感じの場所。



そこでは『ラヴァーズ』メンバー、Dr.フロストが、今回使うSR兵器を選んでいる。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





さてどれにしようかな。


近接格闘型伊ー八号がいいかそれとも中距離爆撃型露-二号にしようか。


フフフ……ハッ!?いやいや落ち着け俺。

今は趣味に走っている場合ではない。最も効率よくあの花を潰せるのは……広域殲滅型仁-七号か。


やれやれ、あれは結構奥の手なのだがな。


まぁ背に腹は代えられん。


では行「フロスト様」ぬおぉッ!?


いきなりなにかが抱きついてきた。何だ?と思って首だけで振り向くと、紅い瞳と目が合った。


真っ白い髪がトゲトゲな感じになっているポニーテール、血のように明るい真紅の瞳、ぶかぶかの白衣を着た、俺よりも頭一つ分小さい少女。


こいつは……確かこの階層のボスモンスターの一人(・・)だ。


名前はセヴンス・ゴート。

俺と目が合ったからかスッと離れる。

そのとき、小さく白い電光が彼女の動きにあわせてパチパチッと走る。


よく見ると少し発光している。


それもそのはず、ゴートの元になったのは麒麟なのだ。


この研究所で俺の助手、という設定だ。


単体でもレベル777と7づくしで十分強いのだが俺が作ったSR兵器の内一つを与えてある。


ボス部屋で颯爽と乗り込む演出は様になっているはずだ。


……前回のホワイトナイツ襲撃戦で大破したがな。

まぁ一度作った物だから、二回目は簡単だったし?

それにもっと強力に改造したから?何も問題は無いぞ?

……ホワイトナイツめぇ…!



「出撃ですか?」


って話しかけっ……ボスか?


「あァ、そうダ」


「ですがフロスト様が出るほどのことではありません。どうかこの私と『クロック・タワー』にお任せを」


……ボスめ、味な真似をする。今度誰にプログラムを組ませたか聞くとしよう。そしてこの技術、絶対にモノにするぞ。それにこの口調にこの表情、俺の設定に実に忠実だ。その礼もせねば。


フッ。それにしても、ボスクラスモンスターは外に出れない。


プログラム上のサービス的なセリフだろう。


苦笑しながらそれに答える。



「必要なイ。俺も久々に暴れたくなったのダ」

「そうですか。ではどれでお出になるのですか?」

「仁-七号ダ」

「ではいつも通りデータを取っておきます」



……データ取り?


あぁ!そういえばそんな装置作ったな!


まぁ簡単に言えば『カメラビット』というクリエイトモンスターだ。ビットタイプのモンスターを元に超望遠レンズ、高性能カメラ、情報転送プログラムに光学迷彩を組み込んだ、いわゆる偵察用モンスター。

ただしレベル20。ゴミだがその分数を翔ばすので無問題。

そいつを発進させ、戦闘記録を撮るのだ。


まぁ簡単に言えばスクリーンセーバーを撮るモンスターだ。


「ああ頼ム」

「ではいってらっしゃいませ」


ふむ、なかなか楽しい会話だった。

実に高度なプログラミングだ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





そのままフロストはうっすらと青い格納庫を歩いていく。


通路にはいくつもの隔壁があり、そこには手前から順に『()』『()』『()』『()』……と、大きく記されている。



フロストはそのうちの『仁』と書かれた隔壁の前に立ち、そのすぐ横にある電子ボードに慣れた手つきでパスワードを打ち込む。





『ブーッブーッ!!


パスワードガチガイマス。シンデクダサイ』




途端に床から壁から天井からマシンガンガトリングガンミサイルレーザービームサーベル付きロボットアームが飛び出して――――――――――――




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「ふム、また間違えたナ。パスワードなんて設定しなければ良かっタ」


と言ってアイテムボックスからマスターカードキーを取り出して電子ボードに通した。



『ピピッ。


ヨウコソ、フロスト博士』



ゆっくりと閉じていた隔壁の一枚目が上下に開き、二枚目が左右に開いた。


この扉はフロストの自信作で例えレベル999プレイヤーだろうと破壊するのは困難な、超レア素材を使った破壊不能オブジェの次に硬い扉なのだ。


これだけの数の隔壁用に素材を集めるのは大変だった。


当時この素材が出る鉱山をどこぞのギルドが違法占拠していたのだ。


無論『ラヴァーズ』全員で獲物を分け合った。


砕け散った氷像の煌めきはいつ見ても綺麗だ。


それに首謀者がラヴの一方的な愛に包まれる(・・・・)のは見てて実に楽しい有様だった。


なにせ最終的に5センチ四方になったからな。




ちなみにこれだけの設備は全て勝手に俺の作品にイタズラしに来る奴等を撃退するためにあった。


あぁ、あの撃退装置を強化していった日々が懐かしい……。



最終的には撃退は不可能という結論に達して隔壁を強化した今があるのだが。



ほんの少し懐かしく思いながら『仁』格納庫に入る。


……しかし、また撃退兵器を氷漬けにしてしまった。


交換が面倒だ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




『仁』格納庫の中はそこそこ広く、先程とは違い、明るい照明の光が様々な物を照らしている。


天井からはクレーンやたくさんのロボットアームが降りており、その中にはドライバーやらドリルやらバーナーやら何かわからない物やらがついているのもある。


だがそんなものよりまず目の前を塞ぐ物が部屋の中央にある。


そこにはデザインを徹底的に無視した直径15メートルくらいの球体に大きな拳と靴をくっつけて楕円形の円盤みたいな頭をちょこんと乗っけたようなロボットが静かにたたずんでいた。




最初に言っておくがハロではない。


機体カラーはライトグリーン。

念のために言うがカプルでもない。



俺は操作パネルに近づくとマスターカードキーを通し、搭乗口開放のコマンドを入れる。



ちなみにこの階層の本体であるフロスト兵器工場が攻撃された場合はここに眠る『伊』~『巣』+『ん』までの全てのSR兵器にパイロット戦闘員が乗り込み、完全武装で迎撃に向かうのだ。


……今ほとんどが大破しているがな!



目の前のロボットの胸の辺りがパシュウッとスチームを吹きながら上下に開いた。


そこにはオレンジ色のライトに照らされた操縦席がある。


俺はとんっと床を蹴るとふわりと操縦席に滑り込む。




「ハッチクローズ、起動パス『Dr.frost』。(ブーッ!!ブーッ!!)……マスターキー」


コックピットが閉じ、同時に暗かった俺の周り(コックピットの内側)が透明になり、モノアイに映る景色にリンクする。



「動作チェック、カメラ良好、武装確認……さテ、行くカ」


エンジンレバーを引くと、拳がドリルに変形した。


「……また間違えタ」



漏れる苦笑とともに、今度こそ正しいレバーを引いて、転送ゲートまで歩いていった。


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