Ⅵ 女王様は赤が好き
エージェ「疲れた。何んなんだあの双子。」
白雪姫「あ、エージェ君。お帰りなさい。」
エージェ「ただいま。あれ?廊下が騒がしいね。」
白雪姫「遅刻した生徒を処刑してるの。」
エージェ「そっか。・・・ええ!!」
狂ってる。
遅刻したら処刑されるなんて、
生まれ変われるとはいえ、残虐すぎる!
俺、エージェは廊下に向かう。
「おい!」
通りすがりのデルに腕を掴まれる。
「廊下は今、危険だ。」
そんなの知ってる。
「今、廊下に出たら死ぬぞ!」
でも、止めなきゃ!
「お前は死んだら生まれ変われないんだぞ!」
でも・・・
「やっとお前を見つけたのに・・・死なれてたまるか!!」
天使のことは、関係ないだろ!大体俺は天使じゃない!
「だが・・・」
それに、こんなことで死んでたまるかよ!
「エージェ・・・。」
ゆっりとデルが手を離す。
「俺も、ついていくからな。」
俺は廊下に向かって走り出す。
もう、人が死ぬのは嫌だ!!
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ざわざわ・・・
処刑される人はわき役。
処刑理由は遅刻。
目立たない人だし、死んでも気づかないだろう。
誰も止めようとはしない。
いや、むしろ楽しみにしているようだ。
「ちょっと!通してよ!」
エージェが人ごみを押しのけながら進んでいく。
「こんなの、間違ってる!中止させてよ!」
誰一人エージェの言葉に耳を傾けない。
何で、こいつは他人のことに首をつっこみたがるのだろう。
俺、デルは思う。
「あ、処刑人が来たぞ!」
緑髪の青年がわき役の方へ近づく。見た目は高2ぐらいか。
長い横髪を左側だけ、三つ編みにしている。そして右手には大きな槍が握られていた。
あれは、トランプの兵隊の、クラブのAだ。通称クラブ。
処刑人はトランプの兵隊のAだけがなれる職業だ。
エージェに教える。
「じゃあ、あいつを止めればいいのか。」
早速、クラブに近づこうとするエージェ。
まて!Aはトランプの兵隊の中で最も強い存在だ。
しかも、クラブは一番性格が悪い。お前がかなう相手じゃない!
「でも、このままじゃ・・・」
相手は緑魔法使いだ。
赤魔法なら勝てる。
「俺、白魔法使いなんだけど・・・」
だから、あきらめろ。
「そんなことできるか!!」
クラブが槍をわき役に向ける。
「もう、間に合わない!」
エージェが人ごみから飛び出す。
待て!
手を伸ばすが、届かなかった。
嘘だろ・・・
わき役をかばったエージェの肩に槍が刺さった。
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・・・
俺、エージェは驚いていた。
目の前にいるクラブって奴も驚いている。
痛い。
激しい痛みが左の肩を襲う。
クラブが槍を俺の肩から引き抜いた。
痛い。
意識が朦朧として、立つことも出来ない。
デルが駆け寄って来て俺を強く抱きしめる。
この感じ・・・昔どこかで・・・
「ちっ」
クラブが舌打ちをするのが聞こえた。
「邪魔をするならお前らも死刑だ。」
槍を俺とデルの方に向ける。
やばい、逃げなきゃ・・・
足も手も動かない。このままじゃ・・・
デルから黒いオーラが漂う。赤い目がクラブを睨みつける。
デル?逃げないと・・・
クラブの足元から無数の黒い手が出てきた。
え?黒魔法!?
「な・・・」
逃げようとしたクラブの足を黒い手が掴む。
そして、黒い手がクラブの首を強く絞めた。
「う・・・あ・・・」
クラブの苦しそうな声が廊下に響く。
やめろ!死ぬぞ!!
デルの目はいつもより赤く染まっていた。
やめろと言いたいのに口から出るのは弱弱しい声だった。
ダメだ・・・意識が遠く・・・
そして俺の視界は途絶えた。
続く・・・から。
まさか!6話目で主人公が死ぬのか!!
って気絶しただけだよな・・・。
呼んでくださりありがとうございます!