Ⅱ お茶会に遅れるよ
エージェ「お腹すいたな・・・」
謎の人物「コ●ラのマーチでも食べるかい?」
エージェ「だ、誰ですか!」
謎の人物「ふふふ・・・」
エージェ「もしや、作者・・・いつか出るとは思ってはいたが、2話で出るとは・・・。」
謎の人物「まあ、コ●ラのマーチでも食べて落ち着こうじゃないか」
エージェはフェアリーテール魔法学園の前に来ていた。
フェアリーテール魔法学園といえば、
限られた人のみが入れるという学園である。
そんな場所に昨日、エージェは招待されたのだ。
しかも学費、食費、生活費がすべて免除されるというのだ!
「よかった。 勉強しておいて・・・。」
声にならない喜びがこみ上げる。
「誰だ!」
いきなりの後ろからの大声に驚きエージェは固まった。
「ここは、部外者は立ち入り禁止だぞ。」
「ち・・・違います!ボクは招待されて・・・」
振り向き、エージェはもっと驚いた。
「招待?」
話しかけてきた人物は兎族の20才ほどの白髪の男性だった。
兎族は珍しいが、そんなことに驚いたのではない。
この兎族の男性は銃を持っているのだ。
いや、その銃をエージェに向けているのだ。
「銃刀法違反・・・あ、いえ。招待状もあります。」
震える手で鞄からカードを取り出す。
「本当のようだな。」
やっと兎族の男性は銃をおろした。
「あ・・・あの・・・なんで、銃を持っているのですか?」
エージェの顔は恐怖に満ちていた。
銃刀法違反という文字が頭の中に浮かんで踊っている。
「ん?何を言っている。この銃で・・・」
兎族の男性が言い終わる前にチャイムが鳴った。
「昼食の時間だな。 俺はH・ラビット。ホワイトって呼んでくれ。」
「・・・はい。」
(「この銃で」の後はなんだよ・・・)
疑問を抱えながらホワイトと門をくぐる。
ところが、校舎に入る直前でホワイトは立ち止まった。
「後は自分で行け。」
「・・・え?」
ホワイトは門の方へと戻ろうと、エージェに背を向ける。
知らない場所で置き去りにされると、思いエージェはあせる。
「職員室の場所ぐらい教えて下さい!」
「知らん。」
沈黙が流れる。
「職員の方じゃなかったんですか?」
「事務員だ。」
校庭のほうからはしゃぎ声が聞こえる。
「なんで、事務員なのに知らないんですか?」
ホワイトはこの質問には答えずイライラした声で、
「職員室ぐらい中に入れば分るんじゃないのか。」
と、吐き捨てた。
ホワイトは何度も門のところを気にしていた。
待ち合わせ場所に誰かが来るのを気にするように・・・
「誰かを待ってるのですか?」
ホワイトは無表情でこう言った。
「アリスが追いかけてくれるのを待っているんだ。」
*************************************
フェアリーテール魔法学園、
数学教師の兎族のマーチ・ラビットは、食後の散歩をしていた。
「お、お、おむらいす~♪きいろい~おむらいす~♪」
昼食はオムライスだったらしい。
「あれれぇ~誰かがうろうろしてるよぉ~」
校舎の前に行くと黒髪の少年がうろうろしていた。
「あれれぇ~?君は迷子かなぁ?」
笑顔で少年、エージェに近寄る。
いきなり出てきた茶髪でロン毛の兎族にエージェは驚いたが、
すぐに冷静さを取り戻した。
「違います、招待されたんです。」
エージェはやっとこれで職員室に入れると思った。
しかし、マーチはポケットから飴玉を取り出した。
「これあげるから、ママのところに帰ろうねぇ~♪」
「なめてるのか!」と、思いながらもエージェはカードを見せ付けた。
「ボクは高校生です!この学校に転校することになってるんです!」
「あ~そうなんだぁ~じゃあ職員室に行くところかなぁ~」
マーチはアメをポケットにしまうとエージェの手を取った。
「ボクが案内するよぉ~♪」
エージェは強引に引っ張られてよろけた。
「あ、ボクはねぇ~算数の先生のねぇ~マーチ・ラビットていうのぉ~」
「・・・数学ですよね。」
兎族とは変人が多い。エージェは思った。
「気軽にぃ~マーチ先生って呼んでいいよぉ~」
「は・・・はい。」
マーチは校庭に向かって走り出した。
「ちょっ!校舎はこっちですよ!」
「あ、そっかぁ~」
エージェは一気に不安になった。
(本当に教師なのか?)
「よし、つ~いた。」
「ありがとうござ・・・」
ドアのところには『音楽室』と、書いていた。
「え!ここ・・・」
気がつくとマーチは消えていた。
「何だったんだ。あの教師・・・。」
****20分後****
「なんなんだこの学校!」
エージェの目には涙が浮かんでいた。
「職員室はどこだー!」
ここの生徒に聞くと「上」だとか「下」だとか「小鳥さんが教えてくれる」だとか
とにかく滅茶苦茶な返事ばかりが返ってきた。
「もうやだ。帰りたい・・・。」
と、下を向くと何かが落ちていた。
「何だこれ?」
近くで見ると、飴玉だと分った。
「まさか・・・。」
よくみればところどころに飴玉が落ちている。
「ヘンゼルとグレーテル・・・」
昔、読んだ絵本によく似た話があった。 置き去りにされる兄妹の話だ。
飴玉を頼りに歩いてみると何も書いてない古びたドアにたどり着いた。
「失礼しまーす・・・」
もしやと思い開けると・・・そこは職員室だった。
「あれれぇ~君はさっきの迷子ちゃんだぁ~」
聞いたことのある声が耳に届いた。
「マーチ先生・・・」
そこにはペロペロキャンディをくわえたマーチがいた。
「食べるぅ~?」
マーチが差し出す飴をエージェは押し返す。
「なんで、職員室に連れって行ってくれなかったんですか!」
「あれれぇ~連れて行ったと思ったんだけどなぁ~」
「その喋り方、どうにかしてください!」
「クスッ」
隣で笑い声がした。
「え?」
振り向くとシルクハットをかぶった灰色の髪をした男性がいた。
「すみませんね、マーチ君は方向音痴なんですよ。」
「・・・あ、いえ。」
顔も整っている綺麗な人に話しかけられてエージェはあせった。
「私は国語の教師のマッド・ハッターです。ハッターと呼んでくださいね。」
「ボクはエージェ・マンハッタンです。ここの学校から招待状が来て・・・」
エージェは鞄からカードを取り出そうとしたがいきなりマーチにほっぺをつねられた。
「こらぁ!女の子がボクって言ったらダメだよぉ~」
ハッターは首をかしげた。
「おかしいですね、転校生のエージェ君は男の子と聞いていましたが・・・。」
エージェが固まる。
「・・・・です。」
エージェが小声で何か呟いた。
「?」
「?」
「ボクは、・・・男です!」
泣きながらエージェは叫んだ。
「あれれぇ~びっくりだねぇ~」
「男の子だったんですか。」
「驚いてるようには聞こえないのですが・・・」
ハッターが机から一枚の紙を取り出す。
「これは、時間表です。この学校は時間に厳しいので気をつけてください。」
「はい。」
「あとねぇ~全員、寮生活だから歯ブラシとか持ってきてねぇ~
必要なものはほとんど揃ってるはずだけど、ぬいぐるみとかは無いから注意してねぇ~」
「はぁ・・・」
「あ、君は私のクラスの生徒ですよ。1-Kになります。」
微笑むハッター。
「Kって、そんなにクラスがあるんですか?」
「いえ、QクラスとJクラスとKクラスの3クラスです。」
微笑むハッター。 苦笑のエージェ。
「しかし、本当に女の子みたいに可愛らしいですね。」
「そうそう、襲われないように気を付けてねぇ~」
「・・・襲われる?」
微笑むハッター、笑うマーチ、疑問に思うエージェ。
「この学校のほとんどの男子生徒や男の先生はなぜかそっち系なんですよ。」
「み~んな女の子には興味ないんだよねぇ~」
「え・・・ほとんどって・・・。」
微笑むハッター。 微笑むマーチ。 とりあえず距離をおくエージェ。
「大丈夫だよぉ~ボクはハッターとは違ってお付き合いから始める派だからぁ~」
「そういう意味じゃ・・・それに『ハッターとは違って』って、どういうことですか・・・」
「まあ、仲良くしましょう、エージェ君。」
「嫌です!!」
エージェの苦悩は つづく
最近、プリン味のコ●ラのマーチ見てないなー
あ、この文章を見てるってことは、全部読んでくださったんですね!
ありがとうございます!!
感想を書いていただけると光栄です。