5.獣人族の秘密
婚約破棄の一幕の繰り広げられた翌日の放課後。
リータルドは婚約破棄の策略が告げられた学園の談話室へと呼び出されていた。
ノックをしてから、ドアを乱暴に開き、靴音を高く響かせて入室する。中で待っていた伯爵子息アベラティオは眉をしかめた。むやみに音を立てるのは、貴族にとって不作法なことだった。
リータルドは彼の不快を気にした様子もなく席に着いた。
テーブルを挟み、アベラティオと向かい合う。
しばらくの沈黙の後、アベラティオが話を切り出した。
「さて、リータルド君。今回の件について何か弁明はあるだろうか?」
リータルドは席を立ち、深々と頭を下げた。
「ご期待に沿えず、大変申し訳ありませんでした!」
何の工夫もなかった。潔いというより、逆にふてぶてしいとさえい言える謝罪だった。
アベラティオはしばらくそんなリータルドの姿を眺めていたが、やがて興味を失ったようにため息を吐いた。
「もういい。頭を上げて席に着きたまえ」
アベラティオに促され、リータルドは席に着いた。
あくまで殊勝な態度を保つリータルドに対し、アベラティオは不満そうな顔すらせず、落ち着いた様子で話し始めた。
「実のところ、こうなることは予想していた。君とキィンネイラ嬢との仲睦まじさは毎日観察させてもらっていたからな。男女二人が親密に過ごせば恋と言うのは生まれてしまうものだ」
「……それでは、これからどうなさるつもりですか?」
「どうもこうもない。策略は失敗した。『婚約破棄された令嬢を救う』という計画は潔く放棄するよ」
リータルドはいぶかしげな顔をした。アベラティオはキィンネイラに執着していた。だからこそ婚約破棄をさせるなどという策略をめぐらしたのだ。
しかし今のアベラティオはひどく冷静だった。怒りや憎しみといった激しい感情がまるでうかがえないのが不気味だった。
「こうなっては仕方ない。『没落して平民落ちした令嬢を買い上げる』策略に切り替えることにするよ」
「……どういう意味ですか?」
「言った通りだ。キィンネイラ嬢は遠からず平民落ちするだろう。それを我が伯爵家が買い上げる。それだけのことだ」
アベラティオはまるで事務連絡のように淡々と答えた。
その意味することを察し、リータルドは怒りに燃えた。
「バカな! あなたはそんな下らないことのために、我がラニングハード男爵家をつぶすつもりですか!?」
「おいおい、人聞きの悪いことを言わないでくれ。君の男爵家はもともといつ潰れてもおかしくない貧乏貴族だ。潰れた場合の事後措置を取るというだけの話だ。
もっとも、伯爵家も無駄にできる資金はない。貧乏男爵に泣きつかれても支援できないこともあるだろう。だがそれは仕方のないことだ。我が伯爵家を恨まないでくれよ」
リータルドは息を呑んだ。アベラティオはキィンネイラのことを諦めてなどいなかった。意図的に男爵家をつぶし、平民落ちしたキィンネイラを金の力で奪い取るつもりなのだ。
リータルドはこみあげる怒りを無理やり抑え込んだ。どうしても確認しなくてはならないことがあるのだ。
「……もしそんな不幸が訪れる日が来るとしても、その時までに私はキィンネイラは愛を交わすでしょう。子を成しているかもしれません。たとえ金の力でキィンネイラの身柄を確保したとしても、彼女の愛は決して手に入りません。それでもいいのですか?」
絶対に聞かねばならない問いだった。確かめなければならない疑問だった。
アベラティオはリータルドの真剣な問いを前に、嘲笑を返した。
「あっはっは! 獣人相手に恋だの愛だの本気で言っているのか? バカバカしい、君はまったく愚かな男だな。
私がキィンネイラを欲するのは、あのかわいらしいイヌミミをなでまわしたいからだ。あの素晴らしいシッポを思うままにモフりたいからだ。彼女に伴侶としての役割を求めたりはしないよ。私が欲しいのは、キィンネイラと言う愛玩動物だ。
彼女は仮にも貴族だから、手に入れるなら婚姻しかないと考えていた。君の男爵家と違い、彼女の男爵家には伝手がなくてね。婚約するぐらいしか、彼女を手に入れる手段が無かった。だが、今となってはかえって都合がいい。婚姻と言う契約で縛るより、買い上げて鎖で縛る方が楽しめそうだ。彼女には首輪が良く似合うことだろう。今から仕立てておかなくてはな」
リータルドの顔が赤を通り越して白くなった。
そんなリータルドを前にアベラティオは薄い笑みを浮かべた。男爵家の子せがれごときが伯爵家にたてつくことなどできない。その前提で、リータルドの怒る様を楽しんでいるのだ。
「あなたがキィンネイラのことを本当に愛していたのなら、横から奪うようなことをした私にも非がある。だから先ほどは頭を下げました。でも、そこまで見下げ果てたクズだとは思いもしませんでした。先ほどの謝罪は撤回します。あなたのようなクズに下げる頭など、どこにもない!」
「ふむ。伯爵子息に対してその発言。まったく礼儀というものをわかっていないな。だが私は気分がいい。これから先、君の苦しみ姿を見るのも楽しみだ。今日のところは見逃してやる。さあとっととこの部屋から出ていくかがいい」
まるで虫でも払うように手を振りながら、アベラティオは退室を促した。
リータルドは大きなため息を吐くと、アベラティオの後ろに向けて声をかけた。
「すまなかったなキィンネイラ。少しは叙情酌量の余地もあるかと思ったけれど、まったく無駄な時間だった。あとは君の好きにしてくれ」
その瞬間、アベラティオは飛びあがりそうなほど驚いた。
彼の首筋に手が当てられていた。後ろに立つ令嬢の手が、鋭く伸びた爪が、喉と言う急所に忽然と当てられていたのだ。
だがアベラティオは振り向くこともできない。キィンネイラは牙をむき戦う態勢にある。彼女から立ち上る獣の殺意が、アベラティオの動きを縛り、振り向く動きすら封じていたのだ。
「バッ、バカな!? ありえない! いつのまに、どこから、キィンネイラがここにっ!?」
「さっき私が『騒がしく』部屋に入ってきたときに、一緒に入ってきたのですよ」
アベラティオの問いに、リータルドが冷たい声で答えた。
この談話室は防御結界が張られている。優れた魔法使いでも手を焼く高度な結界だ。キィンネイラがいかに優れた獣人の令嬢だろうと、魔法を扱えない以上、締め切られた談話室に侵入することはできない。
だが、当たり前のことだが、開かれた扉から入ることは可能である。
リータルドは意図的に音を大きく立てて部屋に入った。その瞬間、アベラティオの視線の外から、キィンネイラは部屋に入り込んだのだ。獣人ならではの素早さと静穏性だった。
それでもリータルドとしては、今の今まで気づかなかったアベラティオの鈍さには呆れるほかない。戦いの場に身を置いてきた彼ならば、部屋に入ろうとした時点で見抜けたことだろう。たとえ侵入を見落としたとしても、場の違和感で察することができたはずだ。
アベラティオは伯爵子息としては優秀だ。狡猾で魔力も優れている。だが戦いにおいては素人以下だった。
「いやあ、何て言いますか……クズとかゲスとか言う以前に、この人はシンプルに気持ち悪いですワン」
キィンネイラは心底嫌そうにに子息を見た。その視線には軽蔑しかなかった。
「リータルド様を苦しめた愚か者。この爪でいっそ首でも掻っ切ってやれば、少しは気も晴れるかと思いましたが……こんなのの血に触れるのは嫌ですワン。爪に嫌なにおいがこびりつきそうですワン。クズというよりゴミですワン」
そんなことを言いながら、キィンネイラはその鋭い爪先で、軽くアベラティオの喉元をひっかいた。
傷一つつかない戯れだったが、アベラティオは震えあがり、上ずった声を上げた。
「わ、私は伯爵子息だぞ! そんな無法が許されるわけがない!」
「伯爵子息……それが問題ですワン。獣人に差別的な思想を持つ高位貴族。獣人にとって真っ先に仕留めなければならない敵ですワン……!」
「ひいいい!」
アベラティオは情けない悲鳴を上げた。
キィンネイラは呆れたようにため息を吐いた。
「この学園に来て色々な人間を見ましたが、ここまで情けない人間は初めてですワン。戦うどころか、狩る価値すらないですワン。触れることすら汚らわしいゴミですワン。
今回は見逃してあげますが……身分など何の意味もないですワン。わたしがその気になれば、あなたがどんなところに隠れようと、見つけ出して狩れる……そのことをゆめゆめ忘れないようにするですワン!」
「ひいいいい!」
アベラティオはまたしても悲鳴を上げた。もはやそれ以外の言葉を忘れてしまったかのようだ。
キィンネイラは彼の首筋から手を離した。
「リータルド様、もう行きましょう」
「いいのか?」
「こんなののいる部屋に長居したくないですワン!」
「……それは同感だ」
そう言って、二人は談話室を後にした。
談話室を出た後。二人は人通りのない校舎裏にいた。
「本当にあの程度のことで大丈夫なのか? アベラティオは執念深い。いずれ復讐を考えるかもしようと考えるかもしれない」
先ほどの出来事は、一言でまとめれば恫喝だ。暴力を見せて相手を威圧した。ただそれだけのことだ。相手は伯爵子息だ。本来ならこの程度のことで引き下がらない。事情を知れば親である伯爵も黙っていないだろう。
だが、キィンネイラに慌てた様子はまるでなかった。
「確かに陳腐な警告でしたですワン。でも、最初に獣人が物理的に脅威であることを身体に教えることが大切ですワン。
昨日もお話したように、今回のことは我がファイエスドゥーグ男爵家に報告済みですワン。リチテリート伯爵家は危険分子として適切な処置がとられて、向こう数年は家の存続に精一杯になるはずですワン。
それでも復讐しようとするのなら……その時は今度こそ完膚なきまでに、徹底的に叩き潰して差し上げますですワン」
キィンネイラは笑みを浮かべた。それは狩りに向かう獣の顔だった。
彼女の語る内容は、何も知らない貴族ならば妄言と笑い飛ばしたことだろう。
だがリータルドは全く笑えなかった。なぜならキィンネイラから、獣人の知られざる歴史について知らされていたからだ。
かつての大戦で功績を上げた獣人の一族が、王の推挙によって男爵の爵位を得た。それ自体はあり得ることだ。
だがそれが成り立つのはせいぜい2代か3代までだ。獣人の貴族など、他の貴族たちによってあの手この手で取り潰されていたはずだ。
キィンネイラの家、ファイエスドゥーグ男爵家が今日まで貴族としての地位を保ち、しかも貴族の通う学園に令嬢を通わせるなど、実に異常なことなのだ。
ファイエスドゥーグ家の初代当主は聡明な人物だった。彼は獣人族の地位向上を考えていた。そのために戦功として貴族の地位を確保した。だがそれは、獣人族の地位向上の旗頭となるためするためだけではなかった。
貴族社会への足掛かりを得るためでもあったのだ。
平民の身分では貴族社会について得られる情報にはどうしても限りがある。たとえ低い爵位であろうと、貴族となれば貴族社会を知ることができる。平民とは視点の違う有用な情報が得られるようになる。
そして、貴族になった当主が力を入れたのは諜報活動だった。
彼は入念に訓練した獣人の精鋭を使って王国の貴族たちの情報を集めたのだ。
貴族社会において情報とは強力な武器となる。弱みを握られれば無理な要求を断れなくなり、新規事業を事前に知られれば先手を打たれる。醜聞は有力貴族の力を削ぎ、男女の秘密の関係が派閥の行き先を左右することもある。だからどの貴族も諜報活動への対策には力を注いでいる。
だが、近年の人間社会は魔法に傾きすぎた。魔法による諜報活動が主体になり、身体的な技術による諜報活動への対策は疎かとなっていた。でもそれで十分だった。いかに肉体を研ぎ澄まそうと、感知魔法からは容易に逃れられないからだ。
獣人はその隙を突いた。魔力の無い獣人たちは、もともと感知魔法に引っかかりにくかった。魔力探知を妨害する魔道具を装備すれば、大半の感知魔法を潜り抜けることはできた。あとは獣人の鋭敏な感覚と優れた身体能力を生かせば、まず見つかることはなかった。
魔法と魔道具の発達が魔法に勝てない獣人の助けとなったのは、実に皮肉なことだった。
貴族たちが獣人の暗躍に気づいたときには手遅れだった。ファイエスドゥーグ家は表では男爵家でありながら、裏では大貴族でも無視できないほどの強大な存在となってたのである。
ファイエスドゥーグ家がその気になれば、あるいは王位を簒奪し獣人主体の国家をつくることもできたかもしれない。だがファイエスドゥーグ家の当主は賢明で忍耐強かった。そんなことをすれば王国内に反乱分子がいくつも生まれるだろう。脅威と見た周辺諸国からも様々な干渉を受けることになる。そのことを理解していたのだ。
一対一の戦闘ならば、獣人が人間にそうそう後れを取ることはない。使い捨ての防御結界の魔道具を用意すれば、魔法を凌いで近接に持ち込むこともできる。
だが、獣人より人間の方がずっと数が多い。たとえ局地的には勝てようと、戦争になれば最終的には敗北することになる。人間との全面戦争は、獣人族の滅亡を意味するのだ。
だからファイエスドゥーグ家は変革を望まなかった。根気よく獣人族の地位を上げていくことに注力した。かつて王国では獣人の多くが奴隷として扱われていた。ファイエスドゥーグ家は獣人を扱う奴隷商とそれに与する貴族の力を削いでいった。
今では獣人の奴隷はいなくなり、平民として暮らせるようになった。
ファイエスドゥーグ家は裏の顔を隠すため、作法に犬の仕草を取り入れた。「ですワン」という言葉遣いも、婚約を結ぶときの「お手」や「伏せ」の仕草も、無害と装うための方策だ。
ファイエスドゥーグ家の真実を知らない貴族からすれば、取るに足らない獣人の男爵とみられた。愚かな獣人を装うことで、余計な波風を立てずに男爵家として存続してきたのだ。
そうした獣人にまつわる話を、リータルドも鵜呑みにしたわけではなかった。いくらキィンネイラのことを信じていても、獣人の男爵家が大貴族並の影響力をもつなど容易に受け入れられることではなかった。
そこでキィンネイラは伯爵家に関する秘事について語った。ファイエスドゥーグ家は以前からリチテリート伯爵家を警戒していて、獣人の隠密を使って調べ上げていたのだ。
資金の怪しい流れに隠し資産やもみ消した犯罪、王国に報告すべき収穫高の細かなごまかし。
その中には配下であるラニングハード男爵家が関係したことがあり、リータルドが薄々感づいていたものもあった。
高い精度の情報をいくつも示され、リータルドも獣人の知られざる歴史を信じるに至ったのである。
「本当に俺なんかが婚約相手で良かったのだろうか。君にはもっと相応しい相手がいるんじゃないか?」
談話室を後にした後。人気のない校舎裏。リータルドはキィンネイラに向けてそう問いかけた。
リータルドは貧乏な男爵の子息に過ぎない。獣や魔物との戦闘には長けているものの、大した魔力は持っておらず、使えるのは地味なデバフの魔法ばかりだ。
対してキィンネイラは、爵位は同じ男爵でも、貴族社会に大きな影響力を持つファイエスドゥーグ家の令嬢だ。彼女自身も鋭敏な感覚と卓越した身体能力を持っている。
リータルドには、つり合わない相手に思えたのだ。
「リータルド様。あなたは自己評価が低すぎですワン……」
キィンネイラは困り顔でため息を吐いた。
「わたしは未来の貴族社会をつくる子息と令嬢を知るために学園に来たですワン。何度がお話ししたように、伯爵子息アベラティオはその中でも警戒すべき一人ですワン。その配下と目されるリータルド様が縁談を持ちかけてきた……これは伯爵子息アベラティオが何かを仕掛けてきたと思ったのですワン。
それなら望むところ。コテンパンに倒して、伯爵子息アベラティオの鼻を明かしてやろうと思ったですワン。でも……勝ったのはあなたですワン」
「あれは条件に恵まれたからだ。試合場でなければ俺は勝てなかっただろう」
例えば遮蔽物の多い森の中なら、キィンネイラの素早さはより脅威となっただろう。場所の制限が無ければ、キィンネイラはもっと自由に動けた。例えば一撃を加えてからデバフの範囲から逃れるということを繰り返せば、彼女の勝利は十分にあり得ることだった。
「あなたが領地のために戦っていることは知っていたですワン。小さな男爵領を守るだけの貴族子息に、ファイエスドゥーグ家の令嬢であるこのわたしが負けるはずがない……そう思っていたのですワン。
ですが、あなたは強かったですワン。相手の力を削ぎ、自分の強みを押しつける、確実に勝つための戦い方。領民を守るために実戦で積み重ねた技術。それにわたしは勝てなかったのですワン。試合の後に告げた称賛は、なにひとつ嘘ではありません。あの時、わたしはあなたのことが好きになったのですワン!」
「でも俺は、君のことを騙していたんだ……」
「それも今更ですワン。あなたは婚約破棄のあの時、襲い掛かろうとするわたしを抱きしめてくれました……命を賭けた場面で、わたしを選んでくれたですワン。夜会の後は、わたしを絶対にしあわせにすると、生涯愛すると誓ってくれたですワン。
それだけで、十分ですワン。あなたはわたしが一生を捧げるに値する、最高のご主人様ですワン!」
そう言って、キィンネイラはにっこり笑ってくれた。
リータルドはもう自分を卑下することをやめることにした。こんなにも素晴らしい令嬢が、自分のことを慕ってくれる。それで奮い立たなくて何が貴族か。釣り合わないと思うなら、もっと励んで力をつけるしかない。そう思った。
「それで……わたし、いろいろ頑張ったですワン! そろそろ褒めて欲しいですワン!」
そう言ってキィンネイラは頭を差し出してきた。これまでの付き合いで何度となく頭をなでてきた。でもそれは婚約者としての義務であり、形だけのものだった。
だが、今は違う。彼女への想いは、頭をなでるだけではとても伝えきれないと思った。
「ありがとう、キィンネイラ。俺は強くなる。君に相応しい男になってみせる!」
キィンネイラを強く抱きしめた。そして彼女の頭をガシガシと撫でた。
急に抱きしめられてキィンネイラは少し驚いたようだった。でもそれはわずかな間の事だった。
「そんなリータルド様のことが、大好きですワン!」
微笑み、シッポを左右に振りながら。キィンネイラは心底幸せそうに、愛する者の腕の中にその身をゆだねた
リータルドはそんな彼女の頭をなでながら、ぎゅっと大切に抱きしめるのだった。
終わり
「婚約破棄された令嬢を意図的に生み出して、その令嬢と結婚しようとする貴族がいたらどうなるだろう」
そんなことを思いつきました。
わざわざそんな婚約をする理由をあれこれ考えていたら「ヒロインが獣人だから身分の高い貴族では普通には婚約できない」という設定を思いつきました。
キャラや設定をつめていたらこういうお話になりました。
ヒロインを犬にするか猫にするか迷いましたが、今回は犬になりました。
当初は短編にするつもりでしたがいろいろ書かねばならないことができて、エピソードを分けた中編となりました。相変わらずお話づくりはままなりませんが、楽しかったです。