3.学園の生活
キィンネイラとの試合の翌日。その日から、リータルドの学園生活は変わった。
「リータルド様! おはようございますですワン!」
朝。学園寮から学園に向かう道でキィンネイラに呼び止められた。明るい笑顔で、元気に尻尾を振りながら寄ってくる。
リータルドの男爵家では犬を飼っていた。かつては獣を狩るときの猟犬として働いてくれた。今はすっかり老犬となってしまったが、かつては朝に会いに行くと飛び上がって喜んでいたものだ。キィンネイラは在りし日の飼い犬の姿を思い出させる元気さだった。
授業中はいつも隣の席に着いていた。授業は真面目に受けている様子だったが、視界の隅で彼女の耳がピコピコ立ったり、しっぽがゆらゆらゆれるがどうも気になる。
つい目を向けると、キィンネイラはニコリといい笑顔を返してくる。
リータルドも17歳の青年だ。かわいらしい令嬢に微笑まれたら胸が高鳴ったことだろう。
しかし、キィンネイラの笑顔には、どうにもときめきが感じられなかった。ピコンと頭の上に立つ耳と、ぱたぱたと揺れるしっぽ。それらを見ているとなんだか微笑ましい気持ちになってしまうのである。
そしてキィンネイラは事あるごとに頭をなでることを要求してきた。朝会ったときとか、授業で当てられて上手く答えられたときとか、そんな日常の些細なことでなでてくれといってくるのだ。
いずれ婚約破棄を宣言しなくてはならない相手だ。過度に仲よくしようとは思わない。それでも、元気に左右に揺れるシッポと期待に満ちた眼差しを向けられては、撫でないのもなんだかバツが悪い。しかたなくリータルドは頭をなでてやった。そうすると、キィンネイラは心底嬉しそうな顔をするのだ。
そんな二人の間柄は、学園の生徒たちからは傍から見れば仲睦まじい婚約者と評判だった。
しかしそれは問題だった。リータルドはいずれ婚約破棄を宣言しなくてはならないのだ。
リータルドの知る限り、婚約破棄する婚約者と言うものはこんな穏やかな関係ではなかった。
愚かな貴族子息が、色気と愛嬌しかとりえのない他の女に目移りする。そしてヒロインとの関係は冷めきってしまい、その末に婚約破棄を突きつけるのだ。
だがキィンネイラとの関係ときたら、疎遠どころか親密だ。貴族の婚約者同士の節度ある付き合いと言うより、家族のような気安さだった。そんな相手にどうやって婚約破棄を切り出すべきか。リータルドはよくわからなくなってしまう。
だから少しは距離を置こうとした。朝の登校時間がかち合わないよう時間をずらしたり、休み時間はトイレに行くふりをして別の場所で時間をつぶそうとした。
だがキィンネイラからはどこにでも現れた。さすがにトイレにまでは付いてこなかったが、トイレを出ると待っていた。
「リータルド様の匂いはしっかりばっちり覚えてますですワン! 学園内のどこにいても、すぐに駆けつけますですワン!」
いかに工夫しようとも、学園という限られた空間ではキィンネイラの追跡から逃れることはできなかった。
そうして彼女と過ごしていると、時折鋭い視線に気づく。こっそり視線を向けると、伯爵子息アベラティオの姿があった。よろしくない状況だ。リータルドは焦りを感じた。
自然に距離を置くのは難しい。それならいっそ、嫌われるようなことをしてしまえばいい。リータルドはそう考えた。
休日の昼下がり。リータルドはキィンネイラを伴って街の食堂を訪れた。貴族の行くような高級な店ではない。平民しか来ないような、街にありふれた食堂だった。
二人は目立たない平民の服を纏っていた。リータルドの灰色の髪は貴族としては地味だし、この街では獣人は珍しくない。店に入ってもさほど目を引くことは無かった。
おいしい肉料理が評判の店だった。しかしいくら味が良くても平民の店だ。貴族向けの店と比べれば内装は粗雑で、客も粗野な男ばかりだ。貴族の令嬢をこんなところに連れてきたら、バカにされたと怒りだすことだろう。リータルドの友人の一人がそんなことをやらかしてしまい、破談になりかけたという実績があった。
しかし、キィンネイラには気分を害した様子はまるでなかった。物珍しさそうに辺りを見回し、くんくんと匂いを嗅いでいる。
まあそこまでは予想の内だ。リータルドの本命は料理だった。
頼んだのは骨付き肉の盛り合わせだ。犬の獣人は骨付き肉が大好きで、大喜びでかぶりつくと聞いている。食欲に負け下品な食べ方をするキィンネイラに対し、マナーがなってないと難癖をつけてやる作戦なのだ。
やがて注文した骨付き肉の盛り合わせが来た。匂い立つ肉汁の香り。キィンネイラは目を輝かせた。さあ、どんな醜態を見せるか。リータルドは期待を込めて見守った。
「それではいただきますですワン!」
元気な声でそう言うと、キィンネイラ猛然と食べ始めた。
器用にナイフとフォークを使い、骨から肉を切り取った。そのナイフさばきは実に見事で鮮やかで、そして徹底的だった。骨はまるで磨き上げたかのように真っ白になった。けっこうボリュームのある骨付き肉の一本が、たちまちキィンネイラの口の中に消えてしまった。
文句をつける余地のない上品な所作だった。それなのに食べるのが異常に早かった。口を挟む暇すらないその早業を前にして、リータルドは思わずあっけに取られてしまっていた。
「リータルド様、どうしたんですワン?」
「いや……ずいぶん見事なナイフさばきだな。見入ってしまったよ」
「骨付き肉にかぶりついてはいけないと、幼い頃からみっちり躾けられましたですワン。これが獣人族の淑女のたしなみというものですワン!」
誇らしげに語るキィンネイラに対し、リータルドは嘆息するしかなかった。
リータルドも貴族としてのマナーは一通り修めてはいた。ちょっと挑戦してみたが、キィンネイラほど綺麗に肉を削ぐことはできなかった。
キィンネイラは得意げにナイフの上手な使い方を教えてくれた。なかなかに興味深いものだった。コツをつかむとリータルドも綺麗に骨付き肉を食べられるようになった。
洗練された食事の所作というものは、食事の時間を楽しむ余裕を作り出すものだ。キィンネイラとの会話も弾み、楽しい時間を過ごした。
心も胃袋も満足して、店から出てホッとした時。リータルドはキィンネイラに嫌われるという当初の目的がまったく果たせなかったことに気づき、頭を抱えた。
昼休み。学園の中庭に二人はいた。
「あれを取ってきてくれないか?」
リータルドは中庭の真ん中に向けボールを投げた。
キィンネイラは特に不審に思った様子もなく、シッポを揺らして駆け出すと、ボールを拾って戻ってきた。
そのボールを受け取ると、リータルドは再び投げた。
「取ってきてくれ」
リータルドが試みているのは犬相手のボール遊びだ。
犬の獣人は犬扱いされると怒ると聞いていた。こうして何度かボールを取りに行かせて、キィンネイラが文句をつけてきたら、「お前みたいな獣人には犬のボール遊びがお似合いだと思ったんだ!」などと言ってやるつもりだった。
婚約破棄をするためには嫌われなくてはならない。頭ではわかっていても胸が痛む。だがこれは必要なことなのだ。
再びキィンネイラがボールを取ってきた。それを渡しながら、キィンネイラはじっとリータルドの顔を見つめた。
「ねえ、リータルド様!」
「なんだ、キィンネイラ……?」
いよいよ文句をつけてくるのか。リータルドはごくりとつばを飲み込んだ。
「少し離れて待ってますから、次はもっと高く遠くに投げて欲しいですワン!」
キィンネイラの目は興奮に輝いていた。心底楽しそうな笑顔だった。シッポも元気に揺れていた。
どうにも予想と違う展開だ。首をかしげるリータルドにかまわず、キィンネイラは中庭の真ん中の方へ行ってしまった。
どうするべきか迷ううちに、キィンネイラは膝を屈伸して準備運動まで始めてしまった。なんだか今更やめられない空気が作られつつあった。
仕方なくリータルドは投げることにした。注文通りに高く遠くに届くように投げようとしたが、ボールは手からすっぽ抜け、おかしな方に飛んでいってしまった。弓なりに飛んだボールは、校舎のそばに植えられた木の天辺にちょうど落ちてしまいそうだ。このままでは木の枝に引っかかってしまうことになるだろう。
キィンネイラはボールを追って駆けだした。瞬時にボールの行く先を見切り、校舎を壁面を蹴って高く飛びあがった。そしてボールが木の枝に落ちるより早く、空中でキャッチした。
そこまで派手な動きなのに、制服のスカートの中身を晒す不作法はなかった。落下の際にはくるりと宙返りをし、着地するまで手でスカートを抑えるという念の入れようだった
一連の動きには余裕すら感じられた。卓越した獣人族の身体能力は、乙女の純潔を見事人目から隠しきったのだった。
キィンネイラがボールを持ってきた。その顔は満面の笑顔であり、シッポは左右に勢いよく振っている。
「リータルド様! もっともっと投げてほしいですワン!」
そう言って再びボールを投げるのをねだってきた。
完全にボール遊びを楽しむ犬の仕草だった。おかしい。犬の獣人は犬扱いされるのを嫌がらるはずだ。それなのにキィンネイラは完全に楽しんでいる。
当てが外れてしまった。続ける意味が無い。でもやめる理由も思いつかない。
そんな風に迷うリータルドに声をかける者がいた。
「面白そうなことをやっているな、リータルド。私にもちょっと投げさせてくれないか?」
リータルドのクラスメイト、男爵子息スロアンスだった。投擲用の槍に様々な魔法を付加する槍魔法の使い手だ。投擲には並々ならぬこだわりを持っている。彼の家もあまり裕福でではなく、貧乏仲間として意外と気が合う友人だった。
リータルドは、請われるままにボールを渡した。
「さあキィンネイラ嬢! 私の投げるボールをとれるかな!?」
どんな球を投げるつもりなのか。スロアンスは大きく振りかぶった。しなる弓を思わせる洗練された力強い投球フォームは、しかし途中で強制的に止められた。
キィンネイラだ。中庭の真ん中にいた彼女が、一瞬にして距離を詰めた。そしてスロアンスの投げようとしたボールをつかみ、力づくでその投球を止めたのだった。
「キ、キィンネイラ嬢……!?」
「リータルド様とわたしのボール遊びを、邪魔しないでほしいですワン……!」
キィンネイラの瞳は怒りに燃えていた。口角を吊り上げ、犬歯が覗いた。あの試合の時に匹敵する迫力があった。
小柄でかわいらしい令嬢の突然見せた獣の迫力に、スロアンスは完全に腰が引けていた。
「じゃ、邪魔して悪かった! 紳士の行いではなかった……申し訳ない!」
スロアンスは頭を深く下げると、速やかにその場を立ち去った。
「キィンネイラ、いったいどうしたんだ……?」
「失礼しましたですワン! 試合でもないのに牙を見せるなんて、淑女の行いではなかったですワン……!」
キィンネイラは頬を染めて顔を伏せた。日常の場で犬歯を見せることは、獣人にとって不作法に当たるらしい。
それよりも、キィンネイラの豹変の理由が気になった。犬の獣人は犬扱いされると怒ると聞いていた。それなのにボール遊びを楽しんでいた。そして先ほどは急に怒り出した。リータルドにはわけがわからないことばかりだった。
「もしかして……他の人間とボール遊びをするのがそんなに嫌だったのか?」
「あ、当たり前ですワン! 年頃の犬の獣人の令嬢が、家族でもない殿方と『犬の遊び』をするなんて……そんなはしたないこと、できるわけがないですワン!」
「はしたない?」
「そうですワン! 犬の獣人にとって、『犬の遊び』は『親密な相手に甘えるときにすること』ですワン! 子供の頃ならともかく、年頃の娘が親しくない相手とボール投げで遊ぶなんて……はしたないことですワン!
リータルド様、知らなかったのですか?」
知るわけがなかった。犬扱いするためのボール遊びが、まさか親密な相手のみに許されたことだなんて、想像したことすらなかった。
キィンネイラは首を傾げた。
「知らなかったみたいですね……それならなんで、ボール遊びをしようだなんて思ったのですか?」
「いや、その……犬の獣人の令嬢とできる遊びをあれこれ考えて……ボール遊びならありかな、とか思ってしまったんだ」
まさか嫌われるためとは言えなかった。しどろもどろになりながら、そんなことを答えていた。
「令嬢とボール遊びをしようだなんて……リータルド様にも子供っぽいところがあるんですワン。
でも、わたしとのお付き合いをいろいろ考えてくださっていたなんて……それはなんだかうれしいことですワン」
キィンネイラは最大限に好意的に解釈してくれた。どうやらこれ以上の追求はなさそうだった。
リータルドはでホッとした。でも、屈託なく笑うキィンネイラに、胸の痛みを覚えるのだった。
「そんなわけで嫌われようと、思っても全然うまくいかないんだよ」
「浮気に来た男がいきなりのろけてきて、私の方が嫌いになりそうですよ。いえ、もともと好きだったわけでもないわけですが」
キィンネイラと平民の食堂に行った翌日の夜。町の一角にあるレストラン。リータルドは正面に座る令嬢相手にぼやいていた。
そっけない答えを返したのは、子爵令嬢インテリミア・ショルテルムだ。
腰まで届く長さのダークブラウンのストレートヘア。グレーの瞳は、冬の曇り空を思わせる。すらりとした細身の美しい令嬢だが、男を前にしているのに熱と言うものが感じられない。冷たい感じはしない。だが温かみもない。そんな令嬢だった。
伯爵子息アベラティオが用意立てたリータルドの「真実の愛」の相手である。時期が来れば彼女を連れてキィンネイラの前に立ち、婚約破棄を宣言することになっている。
何の交流の無い令嬢を「真実の愛」の相手として連れてきても、周囲の納得は得られない。だから下準備として、定期的に二人で『密会』することにしているのだ。
学園では婚約者と仲睦まじいと評判のリータルドだったが、街では他の女といるところを見かけた……そんな噂が少しずつ学園で広まりつつある。
全て伯爵子息アベラティオの采配によるものだ。婚約破棄の裏事情が発覚するのを避けるため、直接の指示はない。複数の人間を介して細かな指示が来る。
おかしな策略だったが、その実行自体は周到かつ堅実なものだった。
「だいたい嫌われたいというのなら、近づいてくるたびに試合で使った『くさい魔法』でも使えばいいんですよ」
「あんな魔法を校舎内で使えるわけが無いだろう? 下手をすれば停学処分だ。それから、あの魔法は『悪意ある悪臭』だ。勝手に変な呼び方をしないでほしい」
「あらそうでしたか。これは失礼しました」
インテリミアはいつもこんな感じだ。愛想と言うものが無く、語る言葉はどこかトゲがある。
美しい容姿をしているのに未だ縁談ひとつ無いというのは、家督を継ぐ必要のない次女というだけでなく、彼女のこういう性格が関係しているのかもしれない――リータルドはそんな風に思っていた。
伯爵子息アベラティオは「都合が良ければ結婚してもいい」などと言っていたが、どうやらそれは難しそうだった。インテリミアを伴侶に迎えて上手くやっていける気がしない。そもそも結婚に至ることすら難しく思える。リータルドにしてもそこまで期待していたわけではなかったのだが。
「私と浮気しているとバラせれば手っ取り早いんですけどね」
インテリミアは興味なさげにつぶやく。だが、確かにその通りのことではあった。普通の貴族とは異なった常識を持つキィンネイラだが、さすがに婚約者が浮気をしていたとなれば気を悪くするだろう。
だが、それはできない。伯爵子息アベラティオから二人の仲は明かさないよう厳命されている。噂で徐々に知りつつ、婚約破棄で決定的に突きつけるという筋書きになっているのだ。婚約破棄のお約束と言うものらしい。
「嫌われるだけなら、獣人の特徴をあげつらえばいいじゃないですか。頭から突き出た耳が気に入らないとか、うっとおしいからシッポを揺らすなとか、いくらでもあるでしょう?」
「キィンネイラ嬢に会うまではそんなことを思っていた。でも、今はできないんだ」
「今はできない……?」
「彼女とは試合で剣を交えた。あの耳がただの飾りでなく、こちらの呼吸を把握するほどに鋭敏であることを知った。あのシッポが人間にはできない重心移動してあの素早さを支えているのを目にした。剣を通して獣人の力を知った。種族の違いを理由に卑下することなんて、俺にはできない」
リータルドは力なく首を振った。
キィンネイラを卑しい獣人と思いたかった。だからリータルドは、骨付き肉を食べに誘ったり、ボール遊びで反感を買いたかった。
だがうまくいかなかった。キィンネイラはいつでも元気で明るくて、そして立派な貴族令嬢だったのだ。
インテリミアはため息を吐いた。
「なら仲良くしていればいいじゃないですか。婚約破棄を告げるその日まで、せいぜい仲睦まじく過ごせばいいじゃないですか」
「それじゃあ周りが納得しない。婚約破棄もうまくいかなくなるかもしれない」
「周りの納得? なにを勘違いしているのですか。自分を慕うなんの落ち度もない婚約者に、いきなり婚約破棄を告げる。誰の納得が得られるというのですか。婚約破棄と言うのは、そういう愚かな行いなんですよ」
インテリミアは目をそらし、物憂げに語った。
「あなたは……いいえ、『私達は』、クズです。家のため、利益のために人の気持ちを踏みにじるのです。許されることなで期待してはいけません。許されることなど、あってはならないのですよ……」
自重するインテリミアに対し、リータルドは返す言葉が無かった。
リータルドの家は伯爵子息アベラティオの伯爵領に依存している。従わなければ家の没落すらありうる。
インテリミアの家は最近事業に失敗したと聞いた。アベラティオの伯爵家からの融資を受ける条件として、今回の婚約破棄の策略に協力することになったそうだ。既に融資を受けた彼女は、今更この役をやめることなどできはしない。
家の存続のため、心を殺して汚いことに手を染める。貴族にとってありふれた珍しくないことだ。頭ではわかっている。でも今は、それが苦しくてたまらない。
インテリミアと話していて、リータルドは自分が何を望んでいるのかわかった。
キィンネイラに嫌われたかったのは、婚約破棄を成功させるためだけではなかった。彼女の悲しい顔を見たくなかったのだ。嫌われていれば、それほど悲しまないかもしれない……そんな甘いことを考えていたのだ。
だがインテリミアに言われてわかった。許されたいなどと思ってはいけなかったのだ。どういう結果に終わるにせよ、この婚約破棄は彼女の気持ちを踏みにじることなのだ。
いまさら後には退けない。リータルドは改めて覚悟を決めた。
翌日、伯爵子息アベラティオから指示が来た。ついに婚約破棄の宣言をすることとなった。
一週間後の学園の夜会。そこが婚約破棄の舞台となるのだ。