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誰がために剣を持つ  作者: hope
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最初の覚者フラグ

影の森、それは隔絶された世界

木漏れ日すらも曖昧

知者と愚者の境界のように


大きな賢人が倒れたのち、海と地の間には知が流れた

やがて命が芽吹き、それは大きな力を求める


道には緑、空には黒

知の書庫には世界の真理が眠っているという

それはこの地の知者たちの結晶たるものだろう

故に森に近づく者も後を絶たない


図書の前、森の中、門の後にそれはいる

図書の創設者にして世界の真理に触れたもの


最初の覚者、その取り巻きたちはもう覚えていないのだろう

彼のことも

自らの名も


依然変わらず行われる行為

両の手に握られた矢が雄弁に語っていることだろう

彼らの忘却を


忘却の取り巻き


かつて真理を求め図書に集いし群れ

世界中の知識が集まると言われた図書の警備にして利用者

今となっては図書の内外をうろつく屍となった


最初の覚者が訪れるまで、彼らは矢を突き刺し、剣を投げる戦法を取っていた

知を追い求めて世界の真理に触れた彼らは一体何を見つめたのだろうか


取り巻きを排し、知識の灯を求め、図書の地下にて見つけるだろう

真理に触れし者を


最初の覚者


地下の無数の書物が宙に浮き、発光し、呪物を発する

呪いと祝福は同じものであり、使用者の主観に過ぎない

そしてそれは生命の尊さを奪うことだろう


棺桶に眠る覚者は再び起き上がり、封印者の前に立った

桶にはおびただしい数の薬液と蝋燭

きっとお前自身も知ることだろう

知識の光と深淵の底を


確実に命をえぐるための人切り鋏

人体や封印者についても、彼は知っているのだろう

それらも知識故に

広げる四つの腕の角度も、骨の指の数も、それらは様々な意味を持っている

覚者ゆえにそれを守ってしまう

剣を握り、矢を放ち、盾で防ぐ


桶の足置きに旗を立て、図書の灯を骨にかざす

ここに目覚めはあった

知とは世界を知ることである

故に知を深めることは自らと世界の境界を曖昧にする

王国の勅命を記号として知った彼らは文字を興し、知を究めた

それゆえに感じたのだろうか

知の無力さを


生きながらえるための薬液によって、記号は消えた

覚者の肉から知が消えた


自らの靭帯から突出している骨格には祝詞が刻まれており、彼の命ももはや呪いと同義だろう

深淵を覗いた後、覚者は不死の研究を始めたという

彼の眠る桶も祝詞も、もはや知の探究のため命をこの世につなげるための楔だったのだろうか


覚者の書物を読む

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