【400文字作文】美しき 青黒き モナムー
33cmの北京鍋を手に入れた俺はまるで、
エロ本を拾った小学生のように興奮し、それ
を背中に縛り付けバイクに股がった。
友人から譲ってもらったこの北京鍋は鍋底
がプロレスラーの額のように凹んでいるが、
青黒く光る鉄はまるで、拳銃のようだった。
でもな、と思った。拳銃は生き物を殺すこ
としかできない。北京鍋でもフルスイングす
れば生き物は殺せる。だが、拳銃は殺した後
の生き物を炒めることはできない。
当然だけど誰も気付いていないことに、気
付いてしまったな……と想ったが、誰もその
ことを認めないだろう、ということにも気付
いてしまった俺はまるで、エロ本を眺める小
学生のようにニタニタし、赤信号で止まると、
軽自動車に乗っている女が俺を見て、学級委
員のように微笑んでいた。
メシ・クッタ?と口パクで話し掛けると学
級委員は首を横に振り、俺の北京鍋を指差し
後部座席から何かを、取り出そうとした。