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軍人、魔物をせん滅する

 朝起きるとセシルは砂だらけだった身体を綺麗にして朝食を作っていた。

 どうやら俺が寝てから入ったらしい。

 別に一緒に入ればいいと思うのだが、そんなに恥ずかしいのだろうか。


「では、また狩りに行ってくる。今日中にもう一つくらいレベルを上げておきたいからな」

「真面目だねぇ」

「……君の足手まといはごめんだからな」


 小声でそう言うと、セシルは狩りに出た。

 うーん、別に足手まといとは思わないがな。

 料理は美味いし気は利くし。

 朝食の軽く茹でた豚肉と生野菜を盛り付けた、冷しゃぶのようなものを食べてみるが、やはり美味い。

 盛り付けに性格出るよな。

 俺だったら適当に大皿に入れて完成だわ。

 腹に入れば一緒だし。


「ふぅ、ごっそさん」


 食べ終わった俺は、皿を温泉の湯で洗う。

 何という贅沢。

 砂漠だし置いときゃすぐに乾きそうだな。


「さて、この温泉どうするかね」


 あれから水はどんどん溢れ出ており、余った水は使いきれず砂漠に染み込んでいる。

 なんか勿体無いな。何かに使えないものか……そうだ。


『おいシヴィ、いい事を考えだぞ。ここを温泉歓楽街にするんだ。温泉いっぱい掘って、宿を立てて、レジャー施設も立ててよ』

『またアホな事を……』

『誰がアホだ、誰が。天才的アイデアだろうが』


 この遺跡は領主のものだから話を通せばいけるはずだ。

 遺跡の魔物は全部倒せばいい。

 人がいれば新しく魔物は湧いてこないからな。

 地下はアトゥムらに任せて、適当に管理させればいい。

 そうだ、遺跡はお化け屋敷(ホラーハウス)にでもするか。

 ロイヤリティは売り上げの10……いや、20パーセント取ろう。うん、うん、いいアイデアだぜ。ぐふふ。

 これで面倒な冒険者稼業なんかやらなくても、食いっぱぐれねぇぞ。


『よぉし、こうしちゃいられねぇ。迎えの来るあと一日で遺跡の魔物を全部倒すぞ』

『はぁ……』


 俺は呆れるシヴィを置いて地下へ向かい、アトゥムと話をつけた。

 聞けば元々この国も温泉を利用して、日々楽園のような暮らしをしていたらしい。

 お化け役をやる事まで含め、祭り好きなアトゥムは俺の提案を快く受けてくれた。

 ノリのいい王様だぜ。


 話がついた事で俺は遺跡の魔物を全部倒して回った。

 08の武装(ホーミングレーザー)を使えば楽だが、遺跡を壊したら元も子もないからな。

 というかセシルにやらせればよかったぜ。


 アレクセイ=ガーランド

 レベル86→88

 ジョブ 僧侶→僧兵→神官

 力B

 防御C

 体力B

 素早さC

 知力SSS

 精神SSSSS

 パッシヴスキル

 奇跡B 薬品精製B


 プロテクションを解除することが出来ないので、僧侶のまま戦っていたら神官まで上がってしまった。

 索敵はシヴィでも出来るし、特に問題はなし。

 レベルは上がったが、ステータスは増えてないようだ。

 まぁ多分ほんの少しずつ上がっているのだろう。


 それより奇跡Bにより、プロテクションの形状をさらに変化させられるようになった。

 今までは球体と壁、もしくはそれを組み合わせた形しか生み出せなかったが、レベルアップによりかなり複雑な形状を取ることが出来るようになったのである。

 具体的には3Dプリンターで作れるものなら何でも出来るって感じだ。

 プロテクション便利だな。


 そして翌日、迎えが来たので俺はそれに乗り領主の元へ向かった。


「おかえりなさい! アレクセイさんっ!」

「おーリルム、土産だぞー」

「わ! 嬉しいです!」


 遺跡から発掘した金の髪飾りをリルムに渡した。

 子供には高価すぎる気もするが、領主の娘だしこれくらいは大丈夫だろう。


「~♪」


 随分気に入っているようだしな。

 ご機嫌そうに飛び跳ねるリルムを見て、俺は和んだ。


「アレクセイ殿、お疲れさまでした。目当てのものは手に入りましたかな?」

「おかげさんで。ついでにあんたにもいい話を持ってきたぜ」

「ほう……」


 領主の目がきらんと光る。

 どうやら興味を持ったようだ。

 俺はガロンゾ遺跡温泉歓楽街化計画についてとくとくと話した。


「ふむ、なるほど。よいですな! では商会の者たちと早速協議に移るとしましょう」

「おいおい、大丈夫なのかよ」


 以前、商会の上層部が雇った暗殺者に娘が毒を盛られたのを忘れたわけでもあるまい。


「問題ありません。連中は国の裁きを受けております。見せしめの効果もあったのでしょう、後任の者は大人しいもんですよ。二度と同じような事をする輩は出てこないでしょう」


 そう言って領主は豪快に笑う。

 こんなだから足元掬われるんだろうな。

 俺へのロイヤリティ二割、忘れるんじゃないぞ。


「おかえりなさいませっ! アレクセイさまっ!」


 次に向かったのはイザベラの所だった。

 思い切り抱きついてきたイザベラに、豊満な胸を押し付けられる。

 デジャヴ感と共に、セシルに冷たい目を向けられる。


「戻ったぜ。こいつは土産だ」

「あら! まぁまぁあらあら、これはすごい量ですねぇ」


 俺はアイテムボックスから遺跡で手に入れてきた部品を並べていく。


「とりあえず全部発掘してきた。これで足りるか?」

「えぇ、えぇ、十分過ぎるほどです。流石アレクセイさまですわぁ。……でも、部品はあっても人手が足りないのですよねぇ」


 表情を曇らせるイザベラ。

 こいつは近くに住んでいるノーム族にゴーレム製造の協力してもらうため、魅了のスキルをかけて操っていた経緯がある。

 心を入れ替えて謝っていたが、ノームの連中が許すはずもない。

 あれから頼みに行ったらしいが、結局協力者は得られず、今は一人で作業しているのだ。

 まぁ自業自得なわけだが……しょぼんとするイザベラを見て、俺はため息を吐く。


「はぁ、仕方ないな。手伝ってやろうか?」

「本当でございますかっ!?」

「俺の愛機だからな。当然っちゃ当然だ」

「アレクセイさまに手伝ってもらえるなら、百人力ですぅ!」


 またまた抱きつくイザベラ。

 うーんでっかいおっぱいだ。

 これが機械じゃなければなぁ。

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