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エピローグ

 ――俺は二人に全てを語った。

 宇宙から08と共に墜落してきた事、その経緯を。包み隠さず詳細に。

 08を見せてしまった以上、下手に誤魔化すのは面倒なだけだ。

 それに俺は隠し事は上手くないしな。

 二人は俺の言葉を聞きながら、目を丸くしていた。


「あの空に見える星から落ちてきた……だと?」

「はぁ、私やテスタちゃんのような機械人形の沢山いる世界、ですか。……なるほど、道理でかつての主人様と似た雰囲気があるはずですわぁ」


 二人は驚きながらも、納得したようだ。

 あれだけのものを見せた後だからな。俺の言葉を信じたようである。


「イザベラの主人……かつてこの星にいた連中も俺と似たようなものだろうからな」

「と言うことはぁ、やっぱりアレクセイ様こそ、私の主人様はにふさわしい方です。ひしっ!」

「だから痛ぇよ!」


 勢いよく抱きついてくるイザベラを引き離す。

 せめて身体を修理してから抱きついて欲しい。

 突き出た金属部分が刺さって痛いんだが。


「ところでアレクセイ様、そちらの08さんはかなり痛んでいるご様子。よろしければ私の工場で修理いたしますが」

「本当か? それは助かる」


 先刻の戦いで無理をさせたせいで、駆動関係がボロボロだ。

 ナノマシンでの修復は外傷だけだし、まともなメカニックもいない現状では機体の細やかな調整は不可能。

 あれだけの機体を整備していたイザベラになら、08を任せても大丈夫だろう。


「では08さんをカタパルトへ。地下工場でじっくり見ておきますわぁ」

「頼む」


 俺は自動操縦で08をカタパルトへと移動させた。

 イザベラと共に地下へと吸い込まれていく様子を眺めていた。

 しばしの別れにしんみりとする俺に、セシルが声をかけてくる。


「……アレクセイはそのゴーレムの修理が終わったら、その、帰ってしまうのか?」


 俺は少し考えた後、首を振った。


「いや、宇宙での戦いには飽き飽きしていたからな。しばらくはここにいるつもりだ」

「……! そうか! うん、それがいい」


 俺の言葉に、セシルは満面の笑みを浮かべた。

 なんだかわからんが妙に懐かれてしまったな。


 ■■■


 ギルドへ戻った俺は早速ミラに報告した。


 ――怪しい研究をしていた魔術師は俺の懸命な説得により、改心した。

 もう二度と悪さはしないと誓ったので、逃がしてやった――と。


 それを聞きながら、ミラは頭を抱えている。


「……なるほど、逃がしてしまったのですね」

「何か問題でも?」

「いえ、巨大ゴーレム出現の報告はこちらでも受けています。アレクセイさんとしてもどうしようもなかったでしょう。こちらとしても残念でしたが……お疲れ様でした。依頼達成です」


 ミラはため息を吐きながらも俺に報酬金を渡してきた。


『なぁシヴィ、妙に残念そうだったな?』

『この世界のゴーレムは貴重なのでしょう。それについて理解ある人間を欲しがるのは当然の事です』


 つまりイザベラを捕らえて連れて来て欲しかった、と言ったところか。

 そうしていればミラの株も上がったのかもしれないが、イザベラには08の修理をして貰うつもりだからな。

 悪いが引き渡すわけにはいかない。


「やったな、アレクセイ」

「おう。ありがとな。セシル」


 俺はセシルに報酬の半分を渡した。

 ミラが俺の言葉をあっさり信じてくれたのも、セシルが口裏を合わせてくれたのが大きい。

 俺だけじゃ話半分にしか聞いてくれないからな。

 全くイケメンってやつは得だよな。日々の積み重ねの結果? 聞こえないな。


「それじゃあな。短い付き合いだったが、中々楽しかったぜ」


 ともあれ、俺はセシルに別れを告げる。

 依頼を達成したし、報酬も渡した。これ以上一緒にいる必要はない。

 そのはずなのだがセシルは一向に立ち去ろうとしない。

 それどころか不思議そうな顔で言った。


「何を言っている。僕もついていくぞ」

「は? なんでだ?」

「君は無計画で無鉄砲。女と見れば声をかけるような破廉恥な男だ。放っておいたら何をしでかすかわかったものではない。だから僕がついて行くことにしたのだ」


 うんうんと頷くと、セシルは俺の耳元に口を近づけてくる。


「――それに君はまだこの世界について、よくわからない部分が多いだろう? 僕ならば色々と教えてやれるぞ」


 したり顔で言うセシル。

 余計なお世話だぞ全く。

 そう言う部分も含めて気ままに楽しみたいんだ俺は。

 ……だがいや、ちょっと待てよ?

 セシルがいれば女の子がたくさん寄ってくる。

 その中から美女を見繕って……うむうむ。我ながらナイスアイデアだ。


「……仕方ない。そんなについて来たいのなら、別にいいぞ」

「ふっ、偉そうに……」


 苦笑しながらも、セシルは俺の後ろをついてくる。

 全く、どうせなら美女の相棒がよかったんだがな。

 それでも一人よりは悪くない。

 俺の異星でのスローライフはまだ始まったばかりだ。

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