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軍人、ダンジョン探索する

 階段を降りた俺とセシルは、一階層に着くと同時に左右に分かれる。


「約束、忘れるなよ。アレクセイ」

「ハッ、お前こそ吠え面かかせてやるから覚悟しておくんだな。セシル」


 そう言葉を交わした後、駆ける。

 走りながらジョブを『斥候』にセットしようとして、ふと気づく。

『斥候』の文字部分が赤く光っており、そこに意識を集中させるとメッセージが浮かび上がった。


 ジョブレベルが上がりました。クラスアップしますか?


 と、そう書かれており、はい、いいえコマンドが続く。

 そういえば『斥候』状態で戦闘する事が多かったからな。

 レベルが上がったのは恐らくリルムを追ってきた連中を倒した時だろうか。

 もちろん、はいを選択する。


『斥候』が『盗賊』にクラスアップした。


 とメッセージが流れた。

 斥候から盗賊って上がってるのか? まぁいいか。

 ともあれ俺は『盗賊』のジョブをセットしてみる。


 アレクセイ=ガーランド

 レベル86

 ジョブ 盗賊

 力A+

 防御B

 体力A

 素早さSS

 知力SSS

 精神S

 パッシヴスキル

 移動速度上昇B 気配察知B 窃盗C


 ステータスが多少向上し、気配察知と移動速度上昇もBに上がっているようだ。

 移動速度上昇と気配察知のスキルレベルが上がった事で歩行速度も上がっており、気配を察知できる範囲も上がっているようだ。

 気になるのは窃盗か。

 説明を読むと、攻撃時にオートで魔物からアイテムを盗む事があるらしい。

 中々便利そうなスキルである。

 スキルの確認をしながら歩いていると、目の前に液体のような丸い魔物が現れた。

 レアスライムと似ているが、こいつは青い。

 多分こいつがミラの言ってたスライムってやつだな。

 どれ、試してみるか。

 俺は武器屋で買っていたロングソードを腰から抜く。

 素手で魔物に殴りかかるのは汚いから買っておいたのだ。

 このロングソードは切れ味は悪いが、安価で丈夫とのことだ。

 壊れてもいいように、アイテムボックスの中に百本入れてある。

 スライムを斬ると、剣が触れた瞬間、破裂した。


 スライムを倒した。52EXP獲得。

 窃盗に失敗。


 どうやら失敗したようだ。

 まぁ雑魚敵相手から盗めたとしても、大したアイテムではないだろうし気にする事はないか。


『それよりセシルの野郎に負ける訳にはいかないからな。レアスライムを狩るのが優先だ。シヴィ、ダンョンのマップは作ってくれ』

『了解。電磁スキャンを起動し、マップを作成します。画像データを送りますか?』

『頼む』


 言うが早いか、俺の脳内にダンジョンのマップが出現する。

 一階層は入り口を中心に、まるで蜘蛛の巣のように広がっている。


『スキャン範囲に収まりきりませんが、歩いているうちに埋まっていくはずです』

『サンキュー。……あとは察知した気配と照らし合わせて……と』


 画像データを察知した気配のポイントに当てはめる。

 よし、敵の場所がリアルタイムでわかるマップの完成だ。

 このマップ通りに進んで、敵を倒していけば迷わず、無駄なく、レアスライムを狩っていくことが出来るというわけだ。

 くくく、負ける気がしないぜ。


『姑息です、アレクセイ』

『誉め言葉として受け取っておこう』


 姑息やら卑怯やらは、軍人としては最上級の誉め言葉である。

 少なくとも俺にとっては。

 ともあれ俺はマップを頼りに、最初の目印に向かって、走る。

 曲がり角を右に、左に、そしてまっすぐ……いた。


「ギシシ!?」


 いたのはゴブリンだった。ハズレだ。

 ロングソードで一撃して、即座に走り去る。

 ちなみに窃盗は失敗した。

 迷路のように入り組んだダンジョンを駆け回り、魔物を狩り始めて一時間が経った。

 その間、窃盗の発動数はゼロ。

 どうやらかなり成功率が低いようだ。


『それにしてもレアスライムに当たらないですね』

『うーむ、こういう運はないんだよなぁ』


 隊にいた時も食事当番のジャンケンは大抵負けていた。

 ま、総当たりでやればいいだけの話である。

 マップも大分埋まって来たしな。


『次々行くぞ……む?』


 駆け出そうとしたその時である。

 目の端に移る銀色の粘体。

 レアスライムだ。俺は早速ロングソードを抜き、斬撃を繰り出す。


 がぎん! と音がしてレアスライムは壁にめり込んだ。

 ナイスショット。

 だがレアスライムは跳ね返ると、何事もなかったかのように、動き始める。


『おお、初めて一撃で倒せない魔物が出てきましたね』

『むむ、硬いのか?』


 じゃあ次は全力で行くか。

 俺は逃げようとするレアスライムを、思いっきり斬りつけた。

 ばきん! と音がして、今度は剣の方が砕け散った。

 マジか、こんな強い魔物をEランクの昇格試験に出すか普通? 反撃こそしてこないものの、硬すぎるだろう。

 俺はジョブを『商人』にセットすると、アイテムボックスから新しいロングソードを取り出した。


『レアスライムのダメージ蓄積値を解析中……暫定生命値(HP)は2/10といったところでしょうか』

『つまり今まで与えていたダメージは1。異常に硬い魔物というわけか』


 そういえばゲームでもいたな。

 やたら硬いが、HPが少ししかないタイプの魔物か。

 ならば『連撃』で倒せばいい。

 俺は『戦士』のジョブをセットする。


 戦闘技術スキルが発動、剣スキルが使用可能となります。


 頭の中にメッセージが流れ、スキル欄に『一文字斬』が追加された。

 そうか、短剣じゃないから『連撃』ではないのか。

 武器ごとに使えるスキルが違うんだな。

 なら仕方ない。普通に殴って倒すとするか。

『一文字斬』は見るからに威力が高そうだし、また武器を壊しても勿体ないしな。

 仕方なく俺はレアスライムをロングソードで殴って倒した。

 加減した攻撃でもダメージ入るようで、合計10回殴るとレアスライムは弾けて消えた。


 レアスライムを倒した。0EXP獲得。

 窃盗成功、レアメダリオンを手に入れた。


 お、ついに窃盗が成功したぞ。

 倒し場所から小さなメダルが現れた。

 レアメダリオンとやらが何なのかはわからんが、高く売れればいいな。

 ジョブに『商人』をセットし、アイテムボックスの中に入れておく。

 再び『盗賊』のジョブをセットし、ダンジョン内を走り出すのだった。

おかげさまで日間ランキングに乗りました。

皆さんが評価、ブクマを入れてくれたおかげです。ありがとうございます!

これからも応援お願いします。


それと本日、自作である『おっさん竜師、第二の人生』の発売日となります。

こちらも手に取っていただければと思います。

続刊できるかどうかの瀬戸際なので、是非よろしくおねがいします!


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