怨霊討伐大作戦⑥
しばらくするとシイ神さまが姿を現したが
「我はこの土地のか……精霊たちに力を貸してくれるよう頼んでみる。お前たちはここで待っておれ」
とぞんざいに言い捨てて、また姿を消してしまった。シイ神さまは何やら思索を深めているようで、尋ねても何も答えてくれなかった。討伐隊はしばらくはその言葉に従っていたのだが、だんだんと日が陰り、兵士の不満も溜まっていたので、三人一組で墓地を見て回ることになった。結界はぐちゃぐちゃで、直す必要があったが、被害状況をなるべく早く知る必要があったからだ。翼はセンジョとロソウという兵士と組んで周囲を警戒した。
「首領、出たらすぐ教えてくれよ」
ロソウは霊能力がないので、随分と怖がっている。ロソウは兵士の中では怖がりだった。
だが怖がりでなくとも、この日の墓地は不気味なものだ。先程から謎の霧が発生し、視界も悪かった。
「大丈夫ですよ。自分もいますから」
翼が声をかけると
「お前自体が薄気味悪いんだよ」
と、なんとも正直で残酷な答えが帰ってきた。
「だいたいお前といいチビといい、胡散臭いのがやってきて、直後に怨霊騒ぎだぁ?お前らのせいじゃねえの」
「ロソウ」
センジョに嗜められて黙ってしまったが、ロソウの言葉は、兵士の偽らざる本音なのかもしれない。
「あの」
「ぁんだよ」
「自分は若輩の生き霊ですが」
「若輩の生き霊って初めて聞いたな」
「若輩の生き霊ですが、同じ霊体として怨霊にはわりと有効な手段であります。あのチビとおっしゃられたシイ神さまは、仮にも神と崇められるほどの精霊ですから、胡散臭いことは否定できませんが、頼りにはなる存在かと」
「はぁ……」
ロソウは再び黙ってしまった。翼の伝えたいことは伝わっただろうか。それはロソウにしかわからないが、しばらくしてロソウは翼に話しかけてきた。