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おちこぼれ王女とアルビルの書  作者: kymmt
第二章 王族
33/36

第三十三話 賊の侵入

お久しぶりです!

楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

「……ねえ、アルはいる?」


 イリニはロクとシルヴィが部屋から去った後、そう呟いた。


「はい、こちらに」


 アルはどこからともなく現れた。


「ねえ、私たちには約束があったでしょう」

「そうですね。もちろん調べていますよ」


 アルはそう言うと一枚の紙を差し出す。イリニは何も言わずにすぐにその紙をひったくる。


 だが、その紙には一見すると何も書かれていないように見える。だけど、イリニはその紙を読み進めていた。


 読み進めれば読み進めるほど、イリニの顔色は悪くなる。


「どういうこと!」


 イリニは珍しく大きな声を出して立ち上がった。傍目から見てもわかるほどに動揺している。


「なんで……なんで……あの人の傍にアレがいるのよ!?」


 イリニはまるで悲鳴のように叫ぶ。


「私としても想定外のことです。ですが、あいつらは基本自由な身。こちら側に来なければならないという決まりはございません故に」


 一方、アルは平然としている。まるで事前に知っていたかのように……。


「あなた知っていたわね!」


 イリニは紙をグシャっと握り潰しながらアルをキッとにらむ。


「いえつい最近知ったのですよ。前話した時は知りませんでした」

「嘘をつかないで!あなたはいつもいつも……!」


 イリニの頭の中は怒りでいっぱいだった。思わず言ってはいけないことを声に出そうとしてしまう。しかし、言葉にはならなかった。なぜなら、アルの次の言葉により一瞬で冷えるのだから。


「その先を言ってもよろしいのですか?」


 アルの言葉はイリニの頭を冷やすのには十分だった。


「私は別にこのことをサポートする必要はないんですよ。本来ならあなたには他のことに時間を割いて欲しくはないのです。そんな中、私はそれを許し協力しているというのに……。最近あなたはよくやっていると思っていたんですけどね。残念です……」


 イリニは何も答えることはできなかった。当たり前だ。アルが言うことは正しいから。私のわがままで仕事が遅れているのだ。


「あなたの立場がわかりましたか?この仕事が途中で終わって困るのはあなたなんですよ。あなた以外にもこの仕事ができる人はいるんですから」

「!それは……」


 イリニは唇を噛んで言いたい事を飲み込む。そうでもしないとまた叫んでしまいそうだったから。


「……さて、私は仕事に戻ります。あなたもきちんと自分の役割を果たしてくださいね」


 アルはイリニの返事を聞く前に去っていった。


「わかっています。私がやらなければ……」


 イリニは誰もいない部屋でぽつりと呟く。


 自分が決意したときのことを思い出す。この役目を果たすこと。そして、その原因である大切な人を失ったときの悲しみも思い出す。もう、あんなことは二度と起こさせない。私はそう決めたのだ。


 そんなときだ。廊下から誰かの足音が聞こえてきた。そしてイリニの部屋の扉が開いた。


「大変です!賊が城に侵入してきました!避難してください!」


 ロクはドアを開けるやいなやそう叫んだ。そしてロクの体には剣で斬られたような傷があった。


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