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おちこぼれ王女とアルビルの書  作者: kymmt
第二章 王族
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第三十一話 悪魔崇拝

楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

「どうしたの?」


 私は物陰で泣いている子を見つけた。その子は小さくてサラサラの髪を持ち顔立ちが可愛かった。それが私の最初のあの子に対する印象だった。





 懐かしい。それはイリニが起きたときに思ったこと。珍しく夢を見たのかもしれない。全く覚えてないが。


恐らくだが、夢を見た原因はあの人のせいだろう。あの人は着々と真実に近づいてきている。きっとたどり着いてしまう。そのために、何度も妨害してきたが、その意味もなくなってきた。あの話を聞いたはずだから。それは真実への鍵。そして私に立ちふさがるモノ。


だが、私は自分の役割を果たす。そして……自分の望みを叶える。



***



 今日もいつものようにロクから報告を受ける。


「悪魔崇拝?」

「はい。最近町中で噂されていることです。なんでも悪魔はヴェニアス様からの怒りのメッセージだとか。だから悪魔に従うべきだと」

「馬鹿馬鹿しいわ!」

「……シルヴィ、今は黙っていなさい」

「だって!」


 ロクはお茶を注ぐためにやってきたはずのシルヴィを叱る。シルヴィは不満そうだ。最近構ってやれないのが響いているのか。


「構わないわ。そのまま報告を続けて」


 イリニは特に気にしてないようだ。なら……。


「はい。悪魔崇拝者は昔からある程度いますが、昔は表立って行動することはありませんでした。ですが、最近では町中の広場で布教活動をしたり、一般人への暴挙が起きたりしています。先月の事件数は二件。今月の事件数は今のところ十二件起きています」

「それは多いわね」

「ええ、何か大きな組織が関わっているのではないかと考えられます」

「そう、ならそれについてもう少し情報を集めなさい」

「わかりました」


 ロクはそう言うとすぐにイリニの部屋を出ていった。


「イリニ様は悪魔についてどう思いますか?」


 兄と違い、定時報告を終えても部屋を出ていかなかったシルヴィが尋ねてきた。


「そうね。……私は見たことがないからはっきりとは分からないわ」


 イリニは表向きの返事を返す。


「そうですよね!いるはずなんてないんですから!」


 シルヴィはどことなく威張りながら言う。


「悪魔は人間にとって都合の悪いモノをあたかも何にとっても悪いモノだと押し付けているだけの人の悪い面を表しているに過ぎません」


 イリニは驚いてシルヴィを見る。最近では板についてきたメイド服を着たシルヴィを。


「そうかもしれないわね」


 イリニは素っ気なくそう言いながら、そっぽを向く。だが、それはただの照れ隠しにすぎなかった。


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