第二十七話 第二王子
第二章のスタートです。
第二章も不定期な更新になりますが、よろしくお願いします。
俺の名前はシュタイン。この国の第二王子だ。俺の年に近い王族は4人いる。一人は第一王子。二人目は俺の姉。三人目は従妹の第二王女だ。
俺は物心つく前から第二王女のことが嫌いだった。何をやってもダメな従妹。そんなやつが王族でいることが我慢できなかった。
だが、それよりも許せなかったことは、俺と同じ色の髪を持っていることだ。俺は物心つく前からだったと思うが、あの第二王女の母に酷いことをされてきた。
子どものいたずらみたいなことをされたこともあったが、時には命の危険があることもあった。
そんないじめとも思える行為の原因が第二王女のせいだと知ったときは怒りで真っ白になった。だって、そうだろう?ただ俺が第二王女と同じ髪色なだけでそんなことされていたのだから。もちろん、あいつの母も嫌いだ。第一王妃だからと言って威張って!本当に許せない。
だけど、あいつの母と同じくらいにあいつのことも嫌いだ。あいつの兄様は素晴らしい。あの年ですでに政治に関わっている。きっといい王様になるだろう。それなのに!あいつはと言えば、何をやらせても失敗し、何もできない。それに振る舞いも王族らしくない。あいつは王族から外れるべきなんだ!
……だけど、それはされない。しかもその理由が笑える。……髪色のせいだそうだ。俺もあいつも持っている髪色、銀色の髪は王族にしか現れない色が原因らしい。
そんなことで王族と判断されるなんておかしい!俺はそう言ったが、父には相手にされなかった。父も嫌いだ!(……そう言ったとき、父は若干涙目になっていたような?)……だけど、あいつはお披露目のじきになっても表には出てこなかった。
やっぱり!父もあいつのことが気に入らないんだな。
そう思ってからというもの。俺の父を見る目も変わった。きっとあいつを精神的に追い詰めているのだろう。そしてあいつを城から追い出してくれるはず!(俺が昔より父に甘えるようになると、父は優しくなった)
あいつの兄様、レクス様もあいつに優しくすることはなかった。そして、レクス様があいつを無き者として扱うさまは俺の胸をスッキリさせた。
俺は気分よく過ごしていた。他にもいいことがあったのだ。隣の国のキーナ国が生まれ変わり、ディオースと同盟関係を結ぶことができたおかげで、戦争が一つ終わったのだ。
俺は戦争が嫌いだ。これは誰にも言ったことはないこと。母にも父にも姉さまにも言ったことはない。戦争が嫌いだということは本来王族に相応しいことではないから。王はすべての頂点に立つ者。その傍にいる者も王の血が流れる者として相応しい行動をやらなければならない。
気分がよく感じていたが、先ほどメイドたちの話を聞いてからと言うもの、機嫌はどんどん悪くなっていく一方だ。
今、俺はその会話の中心になっていた者の部屋に向かっている。
「おい、いるか!」
俺はノックもなしにみすぼらしい部屋に入る。
「……はい……」
あいつは俺が入ってきたのにびくりと肩を震わせながら小さな声で答えた。
ああ、本当にムカつくやつ。この部屋の主であり、俺が大嫌いなあいつである第二王女、イリニ。そいつが返事をした。
「私に何かご用でしょうか?」