第10話
〈side 葵〉
あの日から立花くんは来ない。
赤井くんは立花くんに色々言われたらしく、戻ってきた。
最近は練習試合でも負けが続いている。
はぁ〜、どうしたらいいんだろうね。
葵と悠人は並んで帰っている。
「悠人、大丈夫なの?」
「問題ない。」
「でも…」
「大丈夫だから、心配すんなよ。」
私は立花くんが間違っているとは思えない。
だから、最近、私は出来ることは自分でやらすようにしている。
「やっぱり戻ってきてもらったほうが…」
「それはない!」
「どうして?」
葵は寂しそうな表情で言う。
「葵は、燐のことが好きなのか?」
え?なんで?
「どうしてそうなるの?」
「ごめん、やっぱりいいや。」
悠人は俯いた。
「せめて遠征だけでも、私から頼むから。」
「何でそこまで燐にこだわるんだ?」
「別に立花くんだからじゃないよ、でもこのままの状態だと悠人も良く思わないでしょ?」
「それは…」
「だから仲直りしてよ、悠人だって分かってるんでしょ?」
「遠征だけだからな。」
「うん、ありがとう。」
立花くんのところに行かないと、でも、連絡先知らないし。
やっぱり家に行くしか…
うぅ…、行きづらい。
沙織先輩いるよね。
葵は首を横に振って、
もう、私は忘れたから、何も心配することはない…
葵は自分に言い聞かせた。
燐の家の前
ピンポーン
葵の鼓動が早くなる。
ガチャリ
「はいはーい、どちらさん?」
出てきたのは小学生くらいの女の子
ふぅー、良かった。
「立花燐くんはいますか?」
「あー、りんにぃね、今呼んでくる。お姉さん外で待つの?」
「ええ、」
「ほーい」
1分も経たないうちに、
「え、桐山?何用?」
燐はかなり驚いている様子
「えーと…」
言葉が出てこない。
どうしよう、なんて言ったらいいか分からない。
「部活に来いって言うなら無理だけど。」
やっぱり分かるよね。
「でも…」
「なんで桐山が来るんだよ。人が違うだろ。」
正論だ。
「そうだけど、お願い。遠征だけでも来て。」
葵は頭を下げた。
燐は慌てたように、
「おい、頭上げろって、分かったよ遠征だか行くから。」
「ほんとぉ!?」
葵の顔がパァと明るくなる。
(うっ、まじか。可愛い…)
燐は照れ臭そうに、目を逸らして、
「ああ、行ってやるから。」
「ありがとう。」
葵は満面の笑みを浮かべた。
ドキッ
激しく燐の心臓が鼓動し始める。
(もう、桐山には彼氏がいるんだから…)
「じゃあな、明後日だろ?」
「うん、6時に学校に来てね。」
「ああ、分かった。」
燐は家の中へ戻って行った。
良かった。
来てくれる。
後はなんとかなるよね。




