第57話
〈side 葵〉
ヒュ〜〜〜 ドンッ!
真っ黒な闇に光の筋が通ったかと思うと、
一瞬で弾け、花が咲いた。
おわぁ〜、綺麗
葵の目には綺麗な火の花が映る。
立花くんも見ているのかな。
一緒に見たかったなあ。
葵はふと横を見る。
あ、立花くん。
あと数十歩ぐらい歩けば届きそうな距離に
燐の花火を見上げる横顔が見える。
横にはさつきがいた。
そうだ先輩と一緒だったんだ。
やっぱりあの2人はお似合いだよね。
葵を無数の感情が駆け巡る。
胸が締め付けられる。
苦しい。
やっぱり私じゃダメなのかな?
花火の光に照らされた2人の顔が見える。
あんなに楽しそうなんだもん。
こんなに好きなのに……
私はどうしたらいいの
苦しいよ、胸が苦しい。
葵の目から涙がこぼれ落ちる。
えっ!?
葵は隼人に抱きしめられた。
悠人と旭はここへ来るまでにはぐれてしまった。
「葵、そんなに苦しいなら俺のことを好きになれよ。」
隼人は静かに呟く。
「私は別に苦しくなんて、」
「じゃあなんで泣いてんだよ。」
「そんなの分かんないよ。勝手に出てくる。」
「あっ…」
隼人はさらに強く抱き締めた。
「赤井くん、ダメだよ、私は」
私は、私は、私が好きなのは……
「立花くんが好きなの。」
「ごめん、葵、」
隼人はそう言うと葵を放した。
「うん、大丈夫。私こそごめん。」
2人はそう言ってまた花火を見る。
もっと自分から行かなきゃな。
花火が終わると葵達はそのまま帰った。




