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第44話

〈side 葵〉


同じ日


話し合えば、分かり合えると思ってた。

でも、現実は、甘くなかった。

あれから、一言も会話をしていない。

話しかけづらい…

時間が経てば経つほど、立花くんとの間に深い溝が出来ている気がする。

こんなはずじゃなかったのに……


立花くんは部活に影響は出ていないみたい。

そこは安心してるけど、

私としては切ない気持ちになる。


私の事なんて何とも思っていなかったんだな。


それなら、何であんなこと言ったの?

悩めば悩むほど分からなくなる。


なんだか、私だけ悩んでバカみたいだな…


みんなには明るく振舞っているけど、

正直かなり辛い。


赤井くんは気にしてるみたい。

赤井くんは悪くないのにね。


今日は部活ないし、家に帰って休も。



葵は最寄り駅で、外を眺め考えている。


「傘忘れた…、どうしよう。」


濡れるのも嫌だしなあ。

買うのももったいないし。

ちょっとだけ、待ってみようかな。


「葵ちゃん」


誰だろ?


葵は声の方へ振り返る。


「あ、沙織先輩。」

「葵ちゃん傘忘れたの?」

「はい、」


今日は1人なのかな?


「じゃあ、入る?」

「いいんですか?」

「うん、そのかわりちょっと付き合ってね。」

「わかりました。」


何するんだろう?


葵と沙織は町の喫茶店へ


「お茶するってことですか?」

「そ、もちろん私の奢りだよ。」

「そんなの悪いですよ。」


葵は手を振って抗議する。


「先輩の好意には甘えるものよ?」


それを言われると、断りにくいなあ。


「はい、分かりました。」


2人は中へ入り窓際のテーブル席に向かい会って座る。


「私はレモンティーで、」

「私も同じものをお願いします。」


どうして、私を誘ったんだろう?


「沙織先輩、今日は1人なんですか?」

「うん、まあね、一馬くんは部活の用事みたい、さつきも先に帰っちゃったしね。」

「そうなんですか。」


そうだったんだ。

先輩も1人の時ってあるんだね。


レモンティーが届けられる。


沙織はそれを啜る。


やっぱり、飲んでるだけでも絵になるなあ。


葵は沙織に見惚れていた。


「ん?どうかした?」

「い、いえ、」

「そう、葵ちゃん何かあった?」


え?どうして?


「いや、特には。」

「嘘ね、燐と何かあったんでしょ?」


沙織は覗き込むように言うと、


葵は吹き出しそうになる。


先輩鋭すぎる。


「え、そんなことは…」

「やっぱりね、変だと思った。」

「まあ、いろいろと、どうしてですか?」

「だって、葵ちゃんが落ち込む時って燐絡みでしょ?それに燐も最近変だしね。」


立花くんが?


「そうなんですか?」

「そうよ。」


どんな風に変なんだろう?

気になる。

でもまさかそんなことがあるの?


葵は俯いて考え込む。


「気になる?」

「少しは…」

「じゃあ、教えてあげる。」


葵の脈は早くなる。


「本人は自覚していないかも知れないけど、なんか少し元気がないっていうか、覇気がない?感じなんだよね。多分他の人は気付かないだろうけど。」


私は気付かなかった。


「そうですか…」

「多分、私と妹とお母さんぐらいしか気付いてないんじゃないかな?」

「私も気が付きませんでした。」

「まあ、仕方ないよ。それで、何があったの?」

「それは…」


どうしよう、言おうかな?

でも、沙織先輩に言ったら立花くんに聞きそうだな。

そうなったら、ますます話しづらくなる。

どうしよう。


葵は黙ったままだ。


「今言えないなら無理しなくていいよ。話ならいつでも聞いてあげるから、言えるようになったら話してね。」


先輩ごめんなさい。

私を気にかけてくれたのに。


「はい。」


私はその後沙織先輩に送ってもらった。


葵は自分の部屋に入ると、

ベッドにへたり込む。


立花くん…

どうしてあの時あんなこと言ったの?

私のことをどう思っているの?

それだけでいいから知りたいよ。


葵の頬を涙が伝う。


ビリリリリリッ、


電話だ、誰だろう?


葵は目を擦り、電話に出る。


「はい、もしもし。」

『赤井だ、葵大丈夫か?』


赤井くんだ。


「うん、大丈夫だよ。」

『もしかして、泣いてた?』

「え、ううん、」

『そうか、燐とは話せてないのか?』

「うん、ちょっとね。話しづらいんだ。」

『葵は気にすることないからな。俺があのときちゃんと言わなかったからだ。』

「ううん、赤井くんは悪くないよ。私がいけないんだよ。」

『葵…、そんなことないって。』

「赤井くんは優しいね。」

『そんなことない。』

「そんなことあるよ。電話かけてくれたし。」

『それぐらいしか出来ないから。』

「それだけでもありがたいよ。ちょっと話したら楽になった気がするし。」

『そっか、ならいいんだ。』

「赤井くんありがとう。」

『おう、じゃあまた明日な。』

「うん。また明日。」


もうすぐ、大会だし、元気出さなきゃね。

赤井くんに心配かけないようにしなきゃ。



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