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第3話

〈side 葵〉


入学式の次の日、葵は少し浮き足立っている様子で駅に向かって歩いていた。


今日は寝坊しなかったし、いい朝だ!

今日から部活も始まるし今日も一日頑張ろーっと


葵は階段を登っている時に踏み外してしまった。


(あれっ、どうしよ!やばい!落ちる!)


「きゃー!!」


バシッ!


(あれ?落ちてない、どうなったの?)


「おいっ、大丈夫か?気を付けろよ。」

「あっ、はい、すいません。大丈夫です。」


はぁー、良かった。怪我しないで済んだし今日の運使い果たしちゃったかな?フワフワしてちゃダメだ、気持ちを引き締めなきゃ。さっきの人ちょっと怖いけどカッコよかったなー。制服見たことあるなーってあれうちの制服だ!何年生かな?あっそうだちゃんとお礼言わなきゃ。


「あのーっ!すいません!さっきはありがとうございました。」

「あぁ、気にすんな。」

「あのー、もしかして仙陽高校のひとですか?あっ違ってたらすいません!」

「えーと、そうだけどどうかした?」

「私も!仙陽高校なんです!」

「まじで!どうりでどっかで見たことある制服だ思ったわ。あのさちょっとお願いがあるんだけどいい?」

「あ、はい、大丈夫です。さっきのお礼なんで」

「よかった、あのさ恥ずかしいんだけど俺一年生でさ、学校までの道分かんないだよね。良かったら案内してくんない?」


葵は少し固まってしまった。


どうしよう昨日入学式だから学校行ってるはずなんだけどなー。はっ、これっていわゆるナンパ?どうしよ〜お礼って言っちゃったし断りにくいな〜。でもカッコいいからいいかとか思っちゃったり。


「あの〜、昨日入学式だったんですけど、道忘れちゃったんですか?」

「えっ、あー、違う違う俺入学式休んじゃってるんだよ、入試も別の所で受けたからまだ学校行ったことないんだ。もしかして迷惑だった?嫌なら無理しなくてもいいんだけどさ。」


(うーん、嘘ついてるようにも見えないしなー。まあ、助けてもらったし、いいか。)


「あー、そうなんですか!そういう人もいるんですね、私で良ければ案内しますよ。」

「おー、まじでっ、ありがとう!助かるよ!」


何故か葵の顔が真っ赤になって目がうるうるしている。



「あ、あのー……」


視線を下に落とすと、

男が葵の手を両手で握っていた。


「あーーっ!ごめん。」

「だ、大丈夫ですから!気にしないでください!」


もうーっ、びっくりしたー。男の人に手握られるなんて初めてだったのに。


落ち着いたのか2人は歩き出した。


沈黙がつらいなー。話しかけた方が良いのかな?でもちょっと怖いしなー。


そんな事を考えてる内に2人は学校に着いていた。


「さっきはごめんね、ここまでありがとう。じゃあ。」


そう言って男は手を振って走って行った。


あー、行っちゃった。名前聞いておけばよかったな。あ、でも学校も最寄り駅も同じだしまた会えるか。


「おっはよー!葵っ!」


その声とともに葵に抱きついてきた。


「わぁっ!なんだ早苗ちゃんか。びっくりさせないでよ。」

「なんだって何よ私じゃダメなの。っていうかさっきのイケメン誰?彼氏?兄弟とか?」

「ち、違うよっ!さっきの人は…」


葵は今日のここまでのことを早苗に話した。


「ふーむ、なるほどねぇ〜、あんたその話信じるの?」

「え、どの話?」

「んーもうっ!だーかーら、今日が初めてだってとこ!」

「あー、でも嘘ついてなさそうだったんだけどな。」

「いいっ!イケメンでナンパする奴は平気でそういう嘘をつくの!葵は可愛いんだから気をつけなさいよ!」


その言葉に葵は少し頰を赤める。

何度も聞いたことがあるが、面と向かって言われたのは葵にとって初めてのことだったのだ。


「もー、恥ずかしいこと言わないでよ。早苗ちゃんも可愛いんだからっ。でもここまで来て別れたから嘘はついてないんじゃないかなー?」

「ありがと、知ってる。そうねぇ、そう考えればそうよねぇ。」


(知ってるとか言っちゃったよ、この人っ!)


「あー、ちょっと、ちょっとなつきー。」


誰だろ?早苗ちゃんの友達かな?


「あ、早苗どうしたの?」

「なつきのクラスにさ昨日休んでた人っていた?」

「えーとね、あ、1人いたけど、それがどうしたの?」

「うーん、それがね、カクカクシカジカで〜」

「なるほどね、でその謎のイケメンの正体を知りたわかったわけね。」

「そうよ、葵良かったねこれで疑いは晴れたわ。多分ね。」

「でしょー。だって嘘ついてるように見えなかったんだもん。」

「ちょっと、早苗。」

「んー?どうした?」

「その子は?」

「んあー、葵?昨日友達になったんだー。桐山葵だよ。可愛いでしょー。」

「あー、昨日電話で言ってた葵ね。確かに抱きしめたくなるわ〜。」


ビクッ!ちょっと怖いかも。もしかしてあっちの人なのかな?


「そんなに怖がらないでよ。別に百合じゃないよ。ちゃんと彼氏もいるし。ね?早苗。」

「チッ、なんでこいつに彼氏がいて私にいないんだよ。」


そういうところだと思うよ早苗ちゃんっと思ったが口に出すのはやめとこう。


「えーと、私は西平菜月(にしひらなつき)よろしくねっ!葵。」

「桐山葵です。よろしく菜月ちゃん。」

「葵、こいつはハンド部に彼氏がいるけどサッカー部のマネージャーやるっていう浮気女だ。気を付けろよ。」


(え、なにを?!)


「ちょっ、変なこと言わないでよ彼に言われたからやめただけよ!部活終わりは一緒に帰るんだからね!葵、早苗の言うこと信じちゃダメよ。葵ハンド部のマネージャーだよね?彼によろしくって言っておくわ。」

「うん。」


今日は朝からハードな1日だなー

先が思いやられるよ。




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