第38話
〈side 葵〉
「悪いな、お前ら。桐山は俺が貰っていく。」
葵は燐の腕の中でポワッと頬が赤くなる。
もしかして、助けに来てくれたの?
わぁーーー!!カッコいい…
「は?お前後から来てなに言ってんだよ。」
「七バカ三の立花くんではないですか。葵さんを返しなさい。」
「おい、葵ちゃんは俺と踊るんだぜ。」
(うぜえな、ここは逃げるが勝ちだな)
「残念だったな、お前ら。俺は今から逃げる!」
燐は葵の足を持ち上げ、両手で抱えて走り出す。
え?お姫様抱っこされてる。
うわぁーー、恥ずかしい。
でも、嬉しいな。
立花くんの腕の中あったかい。
なんだか幸せな気分。
葵はうっとりして、燐の顔を見つめる。
燐と目が合う。
あっ、
葵は慌てて顔を晒す。
むぅ…、恥ずかしい。
「よし、ここまで来れば安心だろう。」
燐はそう言って葵を降ろす。
「立花くん、ありがとう。」
「ああ、気にすんな。」
「じゃあ、」
葵はその場を離れようとする。
「おい、どこ行くんだよ。踊らねえの?」
「え?でも立花くんは私を助けに来ただけじゃ…」
「は?何言ってんだよ。桐山と踊りに来たに決まってんだろ。」
うそ、立花くんが私と?
「いいの?」
「当たり前だろ。」
燐は照れ臭さそうに言う。
葵は嬉しそうにふっと笑う。
「はい…じゃあ」
そう言って手を差し出す。
燐はその手をとる。
立花くんも私と踊りたかったの?
もしかして気を遣ってるのかな?
ううん、そんなことはどうでもいいよね、
だって今私と踊ってくれてるんだもん。
葵の幸せな時間は終わりを告げる。
「ありがとう、立花くん。」
「ああ、こちらこそな。」
「うん、」
「じゃあな。」
やっぱり私は立花くんのことが…
次は肝試しです。




