第27話
途中で視点変わります。
遠征2日目の夜
〈side 葵〉
はぁー、今日もお風呂は散々だったなぁ。
2日連続は反則だよ!
葵は今日もお風呂で3人にヤられた。
しかも、3人ともすぐ寝ちゃうし。
私も寝よ。
チッ、チッ、チッ、チッ、
はっ!寝れない!
どうしよう全然寝れない。
って言うかまだ8時だし。
みんなよく寝れるなぁ〜。
ちょっと風にでも当たろっかな。
葵は縁側へ出る。
宿舎には縁側があり、そこには庭園がある。
お月さんが綺麗だなあ。
葵は縁側に座って、足をぷらぷらしている。
立花くんも見てるかな?
やっぱり私立花くんのことばっかり考えてる。
好きなのかなぁ。
「立花くん…」
葵は静かにそう呟く。
「ん?呼んだ?」
え?うそ?
葵は振り返る。
「た、立花くん!?」
「そんな驚くなよ。何してんの?」
「なんか、眠れないから、風に当たってる。」
「は?まだ9時にもなってねぇぞ?」
「みんな寝ちゃったから…立花くんは何してるの?」
数十分前
〈side 燐〉
今日は枕投げをしていた。
おい、これやべぇーだろ。
篠原が来るフラグたってんじゃん。
「ギャハハハー」
「これで勝った奴が葵ちゃんを手にすることができる。」
「それは、俺らが決めることじゃねぇ!」
アホだろ。
バフッ!
いってぇー、枕って意外と硬い。
「あはははー!色男。これは日頃恨みだ!」
「お前は、これぐらいの報いでは足りん!」
「もっとだーー!」
燐に向かって枕が投げられる。
バフッ!いってぇー
バンッ!マジか
シュッ!あっぶねぇー
つか枕いくつあんだよ!
しかも傑はなんで寝れんだよ!
みんな騒いでんのに寝てるやつ1人は必ずいるよね。
「あー!もううぜぇー!お前らいい加減しろよ。反撃の時間だ、うぉら!」
燐が投げ返す。
枕が往々に飛び交う。
燐は3人の顔面にクリーンヒットさせ、
気絶させる。
「ふぅ、はぁ…はぁ、やっと、終わった、はぁ…」
騒いだらあっちぃーな。外にでも出るか。
燐は縁側へ向かう。
ん?誰かいるな。
「立花くん…」
え、気づかれた?
後ろに目でもあんの!?
「ん?呼んだ?」
時は戻る。
燐はここにきた経緯を葵に話した。
「あははっ、なにそれ。楽しそうだね。」
「いや、全然楽しかねぇーよ。大変だったんだからな。」
「ふふっ、そだね。立花くんは狙われてたんだもんね。」
その後、2人は無言になってしまう。
どうしようか。気まずいなぁ。
何か話しかけた方がいいのか?
「なあ」「立花くん」
「あっ、立花くんからでいいよ。」
「いや、別に大した事じゃないから、桐山からでいい。」
「そう…。じゃあ私から話すね。」
少し張り詰めた雰囲気に燐は唾を飲む。
「お、おう。」
「私のこと、どう思うかな?」
どうって言われてもな。
うーん。
少しの間、無音の時間が続き。
「うーん、俺は可愛いと思うけど。なんかさ、その、たまに思うんだよ。」
「そう…」
葵は俯いたまま、頰を赤らめる。
燐はそれに気付くことはない。
「あとは、良い子とか?」
「あははっ、疑問形?」
葵の表情が明るくなる。
「いや、なんつーか、その…」
「いいよ、大体分かるから。」
葵は燐に微笑みかける。
心臓が強く跳ねる。
うっ、か、可愛い…
俺が思うのはこういうときなんだよなあ。
燐の顔の温度は上がる。
「次は立花くんの番だよ。」
「ああ、その、ありがとう。」
「え?」
「多分俺が部活に馴染めたのって桐山のおかげだと思うからさ」
「あぁ、ううん、私のおかげじゃないよ。それは立花くんがみんなに近づこうとしたからだよ。」
また葵は微笑みかける。
ドクンッ、ドクンッ、
燐の心拍数は上昇する。
月の光に照らされた葵の顔はどこか儚げな表情をしている。
彼女のその吸い込まれそうな瞳は俺を惹きつける。
すげぇ可愛い…
その顔に触れてみたい、その華奢な身体を抱きしめたい、
そう思うほどに愛おしくなる。
2人の視線が合わさる。
1秒程度だが、2人にはそれ以上に長く感じる。
2人の間に言葉はない。
心臓の音だけが聞こえるその静けさに、
ドクンッ、ドクンッ、
葵の心拍数も上がる。
胸が苦しい。
この想いはどこへぶつければいいのか?
どうすれば、この苦しみから解放されるのか?
その答えは簡単だった。
「立花くん…」
葵がその静寂を破る。
「あのね、私…「ビリリリッ、」」
葵の言葉を裂くように電子音が鳴り響く。
「ごめん、電話だ。ちょっと出てくる。」
燐は去って行く。
「はぁー。」
葵は安堵したとも思えるため息をこぼす。
「なんすか、さつき先輩。」
燐は気怠そうに言う。
『いやぁー、元気かなって。なんか邪魔した?』
「いや、まあ、多分?」
正直助かった気もする。
『なんかごめんねー』
その口調は軽い。
「まあいいっすけど。」
『帰ってきたら、連絡してよ。じゃあね〜』
「はぁ?それだけっすか?」
『うん、それだけ。美人な先輩の声が聞けただけでも感謝しろ。』
「へいへい。」
ったく。勝手な人だな。
〈side 葵〉
燐が去った後。
なんだか一気に疲れたな。
目があった時はすっごくドキドキして、
何だか今伝えなきゃって思ったんだけどな。
何かに邪魔されたみたい。
告白はするなってことなのかな?
1人だと寂しいな。
葵はそう思いながら、ぼんやりと月を眺めていた。
「桐山、ごめん。」
「ううん、電話誰だった?」
「さつき先輩。なんか用もなくかけてきた。あの人ほんと勝手だよなー。」
「そうだね、でも、きっと寂しかったんだよ。」
さつき先輩かぁ。
やっぱりさつき先輩も好きなのかな?
私じゃダメなのかな?
「そうか?あの人に寂しいって言葉似合わないと思うんだけどな。」
「それもそうだね。」
「なあ、もう少しここに居ていいか?」
「うん、いいけど、」
「こうやって月を眺めてると落ち着くんだよな。」
「私もそう思ってた。」
「そうか。」
もしかして、チャンスくれたとか?
まさかね。でも、もしそうだったら。
立花くんも私のこと好きってこと?
そうだったら嬉しいな。
今告白したら、迷惑かな?
やめとこうかな。
でもやっぱり今伝えたい。
あの雲が月にかかったら伝えよ。
あ、やっぱり雲がはけたら。
やっぱり、次の雲…
はぁー、こんなんじゃダメだな。
よしっ、絶対次の雲がかかったら。
月に雲がかかる。
「立花くん。……あれ?」
「すぅ……すぅ……」
寝ちゃった。
あぁーー、私がぐずぐずしてるからだ。
ぐすんっ。
きっと、疲れてたんだよね。
多分、私が1人で座っているから、
疲れているのに、私につきあってくれたんだと思う。
やっぱり優しいなあ。
葵は燐の髪をそっと撫でる。
立花くんの髪の毛意外とサラサラしてて、柔らかい。
月の明かりが燐の子供のような寝顔を照らす。
ふふっ、やっぱり寝顔可愛いな。
葵はそのまま撫で続ける。
月に照らされたその姿は、神秘的に見える。
「このまま、ずっと2人でいれたらいいのに…。」
2人の間を夜風が撫でるように吹き抜ける。
そして、ただ時間だけが過ぎていく…
あ、いま何時だろう。
10時!?どうしよう起こすのも悪いしな。
でも、このまま放ってたら、風邪引いちゃうし。
そうだ、布団持ってこればいいんだ。
葵は、燐に布団をかけ、隣に座る。
そして、葵もそのまま夢の中へ…
〈side 燐〉
「んっ、体がいてぇ。」
燐は陽光に、目を細め、
その光を自分の手で遮る。
眩しい。あれ、ここ外?
そっか、あのまま寝たのか。
燐は身体を起こそうとするが、思っていたよりも、身体が重たく、腹部に違和感を感じる。
あれ?なんか重い。
燐はその重さの正体が葵だと気づく。
そして、そのあどけない少女のような寝顔に微笑みかける。
布団持ってきてくれたんだな。
寝顔が可愛いな。
燐は葵を起こさないように、起き上がろうとするが、
「んっ…、うーん。」
葵は目を覚まし、目をパチパチさせる。
その瞬間に燐と葵は目を合わせる。
一瞬の沈黙の後に、
「お、おはよう。」
「おはよう。」
彼女は笑顔を見せこたえる。
2人は身体を起こし、並んで座る。
「布団ありがとう。」
「こっちこそ、夜遅くまでありがとう。」
「ああ、別に。」
「みんな起きちゃうね。」
「そうだなそろそろ戻るか。」
「うん。」
2人はそれぞれの部屋へ戻る。
3日目の朝6時頃の出来事だった。
語彙や表現が乏しい、すいません。
遠征は終わりです。




