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第21話

〈side 燐〉


決戦の金曜日


準備万端!体は絶好調。

うおぉーーー!燃えてきた!


燐は拳を握り締め燃えている。


桐山の応援もあるしね。

一昨日の帰りは可愛いかったなあ。

ちょっと、ドキッとさせられたしな。

別に好きになったわけじゃないんだからね!

だが、これで俺のシスコンの疑いは、晴れたわけだ!

わーはっはっは!


「そこの燃えてる少年!」


は?あー、どうせさつき先輩だな。


「どうしたんすか、さつき先輩。また暇っすか?」

「応援に来てやったんだぞ、少しは喜べ。」

「まじっすか?それはありがたいっす。てか何で知ってんすか?」

「葵ちゃんに聞いたからね。」

「あー、一昨日すか。」

「そそ、それに君のカッコいいとこ見たいしね。」


さつきは燐に顔を近づけ言う。

燐の顔は紅潮し、プイッと顔をそらす。


くっそぉ〜、可愛い。


「おーい、立花だっけ?女連れてよゆ〜だねぇ〜。今日はお前に恥かかしてやるよ。」

「えーと、お前、誰?」

「チッ、ムカつくやろーだぜ。お前もハンドやってたんなら知ってんだろ。南中の速川だ。さっさと諦めな。お前の出る幕はねぇ。」


悠人は挑発するように、燐を睨み付けながら言う。


いや〜、本当に知らないんだけど。

こいつすごい調子乗ってるなあ。

自信満々って感じ。

あと、雑魚キャラ臭がすごい。


「あっそ、お前なんか知らねえ。」

「強がりやがって。まあせいぜい頑張りな。」


燐は悠人の周りの人たちにも、睨まれる。

そして、悠人達は去っていく。


「なにあれ?むかつくー。燐なんでもっと言い返さないのよ。」

「別にいいじゃないっすか。それにコートの中では容赦しねぇっすから。」


燐の真剣な表情にさつきは圧倒される。


「ま、それもそうねー。じゃあさ勝ったらご褒美あげるね。だから、勝ってよね。」

「マジっすか?何っすか?」

「んー、ないしょー。」

「えー教えてくださいよ。」

「いいから、いいから、頑張れっ!りん!」


バシッ!


さつきはそう言って燐の背中を叩く。


「うっす!」


燐は去っていく。


さつきは振り返ると、沙織がいた。


「あ、見てた?」

「まぁねぇー。」

「どっから?」

「背中叩くとこ?」

「あー、さっき来たばっかなんだね。」

「うん。」

「沙織も燐を見に来た?」

「ううん、それもあるけど、一馬くんかな。」

「だよねー。」

「あと、2人がやってるところ見るの久しぶりだしね。」

「そうなの?」

「うん、2人共凄いんだから。びっくりするよ。」

「ほほー、それは楽しみだ。」

「それに、葵ちゃんいるしね。」

「だね!」


2人は笑いながら、体育館へ。



「警戒すんのは、桜木先輩だけだ。」

「悠人、本気でやれよ。」

「ああ、わーってるよ。」

「本当に立花はマークしなくていいのか?」

「まあ、前半見て考えればいいだろ。どうせ大したことない。」

「そうか、だか油断は大敵だな。」

「おう、」

「うしっ、やるか。」



「燐、調子はどうだ?」

「今まで1番燃えてますよ。」

「そうか、お前とやるのは久しぶりだな。前と同じようにいくぞ。」

「了解。一馬くんなまってないよね?」

「ったりめーだ。」


一馬はそう言って燐の頭を小突く。


「姉ちゃん見てるからって張り切りすぎんなよ。」

「ああ、お前もな。」

「は?なんで俺。」

「別に。なんとなくだ。」

「あっそ、」

「立花くん!ファイトです!」


葵が自分の両手を握り締め言う。


「おお、桐山サンキュー。」



「両チーム、整列!」


ピーッ


笛の音と共に試合が始まった。






帰り道


あ〜、疲れた〜。

久々の試合は楽しかったな。


簡潔に言うと試合は俺たちの勝利。

点数的には接戦なんだけど、内容的には俺と一馬くんの圧勝。

まあ、俺らのチームのキーパーが初心者で、ビビっちゃってたんだよね。

仕方ないけどな。


俺は一応明日の練習試合はスタメンになったわけだ、ま、ディフェンス要員だけど。


ここでちょっとだけルールの説明をしようか。

ハンドボールは試合中は選手の交代は自由、審判に報告する必要もないし、同じ人が何回も出たり入ったりできる。

そういうわけでオフェンスとディフェンスで選手の交代が出来るわけだ、まあ攻守交代の時、相手も待ってくれるわけじゃないから。

交代出来ない時もあるけどね。


「燐くんカッコよかったね!惚れ直しちゃった。」

「え、まあ、ありがとうございます。」


燐は頭を掻きながら言う。


「そういえば、ご褒美って何ですか?」

「気になる?」


さつきがニヤニヤしながら言う。


「まあ、そりゃあ」

「そうだなぁ、燐…私を好きにしていいよ…」


さつきが唇に指を当てて、顔を赤くし、恥じらうふりをして言う。


「「「はぁ!!!」」」


一緒に帰っていた沙織と一馬も驚く。


「ちょっ何言ってんすか、さつき先輩!」


とか言いつつ、それもいいかも。

あんな事やこんな事をぐふふっ、


「さつき、正気!?」

「西野、なに言ってんだよ。」

「なあに?みんなして、冗談に決まってるだろ。」


さつきは呆れるように言う。


「だよな…、あはは」

「もう、変な冗談やめてよね。」

「先輩!からかわないでくださいよ。」


さつきはケタケタ笑う。


「あはははっ、そ、そんなに本気にしてくれるとおもっ、思わなかった。燐くん、はいこれ。」


さつきは笑いながら言う。

燐が渡されたのはリストバンドだ。


一馬と沙織は呆れて先に歩く。


「先輩あるなら、最初から渡してくださいよ。」

「あー、ごめんごめん、楽しくって、つい。」


「君は本気にしてくれてもいいんだよ。」


さつきは燐の耳元で囁き、鼻歌を歌いながら、スキップで去っていく。


燐はその場を動けない。


なんだよ。小悪魔め!どこまで本気か分かんねぇ。

ちっくしょー!悔しいぞ!

マジであの人にはドキドキさせられっぱなしだ。

なんなんだよ。

まあ、嬉しいけど。


燐は笑顔で3人の後を追う。



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