第19話
〈side 葵〉
只今、ハンド部内で内戦勃発です。
CIVIL WARです!
なので今体育館は、ピリピリしています。
ハンド部の体育館は大きくてコートが2つ作れる。
なんだか、
立花くん対1、2年生の構図になっていて、
私どっちを応援したらいいんだろうね。
悩んでたら、早苗ちゃんが私に立花くんのチームの方をサポートしてって言ったから、私は今、立花くんの練習してるコートにいるんだ。
一緒に帰れたりするのかな?
帰れたら、謝ろ。うん、絶対。
練習は、立花くんが指揮を取っていて、みんなに色々指導している。
その時の顔も真剣でカッコいいなあ。
立花くんが、ハンドボールしてるところは初めて見るけど、何だかとっても楽しそうで、見てる私まで楽しくなってきちゃう。
だってね、立花くん、ずっと笑顔で、練習してるんだ。
桜木先輩は私の横で見てるだけで、監督みたい。
練習しないのかな?
「先輩は、練習しないんですか?」
「ああ、今日は見ているだけかな。燐に頼まれたからね。」
「立花くんにですか?」
「そうだよ、今日は外から見とけってね。多分チームの状態を客観視してほしいんだろう。」
「そうなんですか。私も見ます!」
「ははっ、葵ちゃんは見てもよく分からないんじゃないかな?」
「あ、そうですね。」
見てて、分かること一つしかないなあ。
「立花くんなんだかとっても嬉しそうですね。」
「長いこと練習出来てなかったからね。」
「そのことなんですけど、どうしてなんですか?」
「うーん、それは燐に直接聞いてみるといいよ。」
「そうですよね。機会があれば聞いてみます。」
立花くんのこともっと知りたいなあ。
教えたくれるかな?
「いったん、休憩。」
私はみんなに水を渡してまわる。
モップは桜木先輩がやってくれるみたい。
「はい、立花くん。お水です。」
「おお、サンキュー。」
燐はいつになく表情が豊かだ。
立花くんほんとに楽しそう。
「わ、私応援しますから、勝ってくださいね。」
「ああ、ありがとう。」
ふぅー、言えた。
ちょっと、無愛想だけど、普通の対応だったから安心。
「お前、名前なんだっけ?」
「あ、私ですか?」
「おう、今お前以外いねぇだろ。あと、何回か会ってるけどお前の名前まだ知らなかったからな。」
「桐山葵です。」
「そうか。」
練習が再開する。
そういえば、名前聞かれたことなかったんだよね。
興味持ったくれたのかな?だったら嬉しいな。
部活終了後の更衣室。
「あ、ライン。さつき先輩からだ。」
『校門で待ってるから、早く来てー。(^◇^)』
なんだろう?待ってるみたいだし、急ご。
「早苗ちゃん。」
「ん?どうしたの?」
「今日、用事あるから先帰るね。」
「ん、分かったー。」
葵は急いで校門へ向かう。
「あ、来た来た、おーい!こっち、こっちー」
あ、さつき先輩だ。
「遅くなりました。どうしたんですか?」
「へへー、一緒に帰ろっか。」
「は、はい。いいですけど。えっ!」
さつきの後ろには、燐と沙織と一馬がいた。
おわぁ〜、急に緊張してきなぁ。
(葵ちゃん、チャンスだよっ。)
いきなり、ハードル高いな〜。
「さつき先輩何やってんすか、早く帰りますよ。あれ、桐山?」
「家近くだから、誘ったの。ダメ?」
「そーなんすか、まあ、別にいいっすけど。」
沙織とさつきと一馬は前を歩き、葵と燐はその後ろを歩く。
「さつき、なに企んでのよ。」
「べつにー、面白くなるかなぁって思っただけ。」
「まあ、確かにね。」
うわー、どうしよう。気まずいなあ。
まず謝ろう。頑張れ、私。
「あの、立花くん。」
「ん?なに?」
「ご、ごめんなさい!」
燐はいきなりの謝罪に足をとめる。
前の3人も気になり振り返る。
「え、なに?俺謝られるようなことしてないけど。」
「え、でもこの前、舌打ちされたし。立花くん怒ってたから。」
「あれは、桐山に怒ってたんじゃないんだけど…」
え、どういうこと?私の勘違い?
は、恥ずかしい!
穴があったら入りたい。
「そう?なの?」
「うん、あん時は普通にイライラしてただけで、誰かに怒ってたって訳じゃない。」
「よかったぁ。」
「え、桐山?」
葵は泣き出してしまう。
「りん!葵ちゃんに何したの?」
「燐くん。女の子泣かしちゃだめだろ。」
「燐、お前、ウチのマネージャー泣かすなよ。」
3人とも呆れ顔で燐に言う。
「俺何もしてないって!おい、桐山泣くなって、俺なんかした?」
葵は涙を拭きながら。
「ううん、私怒られたと思って。すっごく怖くて、でも、怒ってないって聞いたら、安心しちゃって。」
さつきと沙織は微笑みながら、葵に駆け寄り、
頭を撫でながらあやしている。
それを見ながら、燐は
「女の子って分からん。」
そう呟いた。
葵達の最寄り駅からの帰り道。
よかったあ、立花くん怒ってなかった。
でも泣いちゃって、迷惑かけたなあ。
「一馬くん、今から作戦会議しない?」
「ああ、そうだな。どこでする?」
「どこがいいかな?」
燐は顎に手をあてて考える。
「葵ちゃんも、一緒にどうかな?マネージャーなんだし。いろいろ把握しといたほうがいいと思うんだけど。」
「俺は別にいいけど。桐山はいいのか?」
「私は大丈夫です。それに作戦会議って楽しそうだし。」
「はいはーい。じゃ、私ん家だね。女子1人は危ないでしょ?」
「まあ、さつき先輩の家なら、ケーキも食えるし、そうしようか。」
「私も行く!」
「姉ちゃんもくんのかよ。」
「何よ、私だけ仲間外れなんて、悲しいじゃない。」
「じゃ、決まりねー。」
5人はさつきの家へ向かう。
更新ペースがゆっくりになるかもしれません。




