第17話
〈side 葵〉
同じ日の放課後
葵は早苗とボトルに水を入れに行った帰りだった。
重いな〜。結構慣れたはずなんだけどなぁ。
早苗ちゃんどうして平気な顔で持てるんだろう。
「葵、ルール覚えた?」
「ううん、全然」
「だよね〜、早く覚えたほうがいいよね。」
「うん、いちいち聞くのも申し訳ないしね。」
ん?なんだろう、体育館が騒がしいな。
「なんか、もめてない?」
「私もそんな感じの声が聞こえたよ。」
どうしたんだろう?
何かあったのかな?
2人は中へ入る。
「なんで、こいつがスタメンなんすか!?」
「それだったら俺を出してくださいよ!」
そんな声がいくつか聞こえる。
おわぁ〜、もめてるなあ。
こういうのって、体育会系っぽいなあ。
葵ちゃん、感心している場合ではないですよ。
「あの、どうしたんですか?」
早苗が先輩のマネージャーに聞く。
「あー、なんかね、今日から部活に参加した1年生を監督が次の練習試合からスタメンで使うって言い出して、他の部員が納得いかずに抗議してるみたい。」
「なんか、よくありそうな話ですね。」
「あとね、その1年生なかなかのイケメンなんだよ。」
「本当ですか!?、どこにいます?」
先輩が差した方を早苗はみる。
「あっ!あれは、ちょっと、葵。」
「なあに?」
「あそこ見て。」
葵は言われた方を見る。
「た、立花くんだぁ!やっときたんだあ。」
葵は嬉しそうにそう言うと、
「やっと?葵、やっとってどういう事?」
あ、まずい。
「葵、知ってたの?ねぇ?」
早苗は一気に捲し立てる。
「え、そ、それは…」
葵は目が泳いでいる。
どうしよう、言い逃れ出来そうにないなあ。
正直に話すしかないかぁ。
「外走ってた人なの!立花くんが、その人なの。」
「ふぅーん、なるほどね、それで落ち込んだり、喜んだりしてたのね。」
「う、うん…」
「よかったじゃない。」
よかったー。早苗ちゃん怒ってない。
「なになに、葵ちゃん。知ってる人?」
「え、まあ、一応…」
「カッコいいよね、私狙っちゃおっかなあ。」
「だ、だめですよ!先輩。」
「え、どうして?」
「えーと、それは……」
あー、私だめだなぁ。空回りしてる。
「ふふっ、葵ちゃん分かりやすいね。」
「先輩からかわないでくださいよ〜。」
「よしよし。」
先輩は葵の頭を撫でる。
「でも、これからどうるんだろうね。」
「そうね、今まで出てこなかったのも不思議だしね。」
「葵、何か知らないの?」
「私何も知らないよ。水渡しに行ってただけだもん。」
「そう、桜木先輩に聞けば分かるかな?」
「私が桜木くんに聞いてみよっか?」
「でも、教えてくれるか分からないですよ。立花くんのお姉さんに聞いても、教えてくれなかったので。」
「え、葵、お姉さんに会ったの?」
「うん。沙織先輩だよ。」
「「え、そうなの!」」
2人は目を丸くする。
「知らなかったわ、沙織に弟がいるなんて。」
「沙織先輩の弟って、なんだか納得。なんでそれを葵が知ってるの?」
「え、まあ、いろいろとね。」
「あんたも意外と行動してんのね。」
なんか勘違いされてない?
立花くんとは全然なのになあ。
今なんてむしろ最悪!
「あ、桜木くーん。」
「ん?どうした?」
「あの子についてなんだけど。」
「あー、あいつは俺の中学ん時の後輩で、沙織の弟。」
「どうして、今日から出てきたの?」
「あーそれはな、いろいろあってな。また今度詳しく話すよ。あいつもこれから大変だろうから、マネージャーからフォローしてやってくれ。」
「りょうかーい。」
一馬は監督のとこへ戻っていく。
「今、桜木先輩、沙織って言ってませんでした?」
「2人付き合ってんのよ。言ってなかったっけ?」
「えー!全然聞いてません。なんていうか、お似合いすぎて、異論なしです。」
「あはは、だよねー。」
「ちょっと葵知ってたの?」
「え、まあ、うん。」
「なんで、言ってくれないのよ。」
「言わなくてもいいかなーって…」
「いい、これからそんな重要なことは、私に報告しなさい!」
「うん、わ、わかった。」
早苗ちゃんどうして、そんな怒るの?
言わなかっただけなのに。
立花くんの入部によりこれから大変そうです。
早く謝らなきゃなぁ。




