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第31話


「うわ、さっぶ」


燐は白い吐息混じりにそう粒く


真冬の朝に薄着で外に出てきたからだろうか、肩を縮こませて、手を摩擦で温めながら郵便受けに手をかける。


肌にひんやりとした感触が


「ん?雪か、どうりで寒いわけだ。」


新聞を取り出すと逃げるように家の中へ

リビングでは葵と沙織が既に勉強していた

燐たちは冬休みの真っ只中だが、葵にとっては最後の追い込みの時期

模試での判定が良かったからといっても油断は出来ない


「奈津、雪降ってきたぞー」


椅子に座ってみかんを食べていた奈津がピクリと反応して、


「ほんとぉー!?積もるかな?」

「昼には積もってんじゃねえか?」

「じゃあさ、お昼から外で遊ぼ!」

「しょうがないな。いいぞ。」

「YES!」


奈津はみかんを片手にガッツポーズをし、

燐は言葉とは反対に顔は楽しみで仕方ない様子


みかんを食べ終えると奈津は窓の方へと駆けて行き、結露しているガラスに手を当て、目を輝かせて外を眺めていた、


まだまだ子供だな。


燐は肩をすくませて首を傾げる


それにしても何して遊ぼうか

雪合戦?雪だるまを作るのもいいな

ここはソリで滑るというのもなかなか…


燐が顎に手を当てて難しい表情をしていると、母が可笑しそうに笑い、それを見た燐はふてくされたように


「なんだよ、」

「ううん、なーんにも。」


─────

───


昼ご飯を食べながら


「もぐっ、りんにぃ、お昼はんぐ、何して…ん、ごっくん。」


奈津がご飯を口に含みながら話す様子に燐は苦笑いを浮かべると、


「おい、奈津、口ん中に食い物入れたまま喋んな。あと、もっとゆっくり食え。」

「そうよ、なっちゃん。行儀悪いわ。」

「はーい」


母と燐に注意され奈津は少ししょんぼりして、ご飯をゆっくり食べ始めると、沙織が


「葵ちゃんも少し遊んできたら?」

「いいんですか!?」

「うん…、燐と遊びたいでしょ?」

「はい!」

「じゃあ、さっちゃんも誘おう!」


そう言うと奈津は勢いよくご飯を口の中にかき込んで、ごちそうさまを言い終えると自分の部屋へと走って行ってしまった


「あいつ、張り切りすぎだろ。」

「燐もね、」

「え?」


燐もいつの間にか食べ終えていた、


「あれ、いつの間に。」


燐が首を傾げていると、他の3人がクスクス笑っていた。


「ごちそうさーん。」


─────

───


燐は沙織の部屋の扉を開けて、


「葵、そろそろ外行こーぜ」

「うん!」


奈津と沙織は先に外に出ているらしく、家には葵と母しかいなかった


玄関で靴紐をキュッと結んで立ち上がり、葵と一緒に出ると

そこには真っ白な景色が


「うっは、すっげえ、結構積もっぐふぉっ!」

「ひゃっ!」


顔面に冷たい感覚が


「はははは、りんにぃ、だっさぁーい!」

「葵ちゃん!燐くんの怨み!」

「おい!いきなりは無しだろ!」

「そんなの知りませぇーん。」


奈津とさつきが舌をべーっと出して燐を挑発し、

燐が2人の方へと駆け出す

直後、燐の足が滑り、尻もちをついた先にはソリが


「うわぁぁぁーーー!!」


そのまま滑っていき、雪の中へ


バフッ!


「やっほー!大成功!」


さつきと奈津はハイタッチを交わす。

沙織は呆れ顔で2人を眺め、葵はふふっと笑っていた。

燐が雪の中から顔をバサッと出して


「お前ら〜、許さんぞ、」


「「ひぇっ!」」


さつきと奈津は抱き合い、怯えた表情を見せる


「おら!これでもくらえ!」


燐は器用に両腕で雪玉をひたすら投げまくる。マシンガンのように次々ととんでくる雪玉に奈津とさつきは背を向けて逃げ出した。


「うわぁーー!ごめんなさーい!」

「ちょっ、燐くん!燐くんが投げたら本気で凶器になるからーーー!」

「知るか!」


───


「はぁ…、はぁ…、こんなもんだろ…」


白い息を吐きながら言う燐の足元には雪に埋もれた奈津とさつきの姿が


「ひっどーい、埋めなくてもいいだろ。」

「べーっだ。」


燐は無視して、葵の方を見ると葵と沙織が大きな雪玉を作っていた


雪だるまか、いいな


「やっと終わった?」

「うん、まあ時間かかった。」


葵と燐が話していると、沙織が手招きしながら


「燐!ちょっとそれ持ってこっち来て、上に乗っける。」

「おう、了解」


燐が転がして持って行き、


「よいしょっと、」

「出来た!」

「なんかでかくね?」


雪だるまは葵と同じぐらいの高さまである


「いいの、ね?」


沙織が葵に同意を求めると、葵は肯定するように大きく頷いた


「じゃあ、早速とりかかろー!」


そう言って沙織と葵は木の枝を拾ってきて、雪だるまを仕上げを加える


「「かーんせい!」」


葵と沙織の2人は顔が描かれ、腕の生えた雪だるまの前で両手を上げて、叫んだ。


「うっほーー!奈津よりでっかい!」


いつの間に脱出したんだ?


雪だるまに目を輝かせる奈津の横でさつきが顎に指をあてながら、


「うーん、これは、おっ!」


そう言って雪だるまの顔をいじり出し、


「よし!これでいい!」


他のみんながその発言の後に雪だるまを見て、頭にハテナを浮かべる


「なぁに?みんな分かんない?ほら、葵ちゃん、誰かに似てない?」

「うーん、あっ!」

「うんうん、言ってみ、」

「燐!」

「せいかーい!」

「おい、どこが似てるんだ!?」

「ふむふむ、確かにこの目の感じ…」

「本当に似てるわ、」


奈津と沙織も関心しだした

すると葵が


「りーん!」


「「「「はぁ!?」」」」


雪だるまに飛び付き、顔をスリスリしていた。


「葵?」


葵ははっとして、雪だるまから離れると顔を真っ赤にしてうつむく


「いやまあ、嬉しいんだけどさ、それなら俺に抱きついてくれれば…ぐふぉ!」


横腹に膝が…


他の3人がジト目で燐を見つめる


「えい!」

「うわぁ!」


バフッ


葵が燐に飛びかかり2人は雪のクッションに倒れた


「葵ちゃん、大胆」

「あーあ、一馬くんがいればなあ〜。」

「りんにぃ、ニヤニヤしてる…」


うっはぁ〜、冷たいのに心があったかい、

幸せ〜

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