第27話
夏休みも終わり学校が始まる
いつもと違うことは部活が終わったということと俺に彼女がいるということ
そういうわけで今桐山と一緒に学校に向かっている。
うほぉ〜、今日も可愛いな。
「もうすぐ文化祭だね。」
「え、ああ、そうだな。」
「さっきまでニヤニヤしてたけど何考えてたの?」
「えーっと、桐山のこと…」
「ふぇっ?もう…」
ちくしょー、可愛い…
朝から幸せだ!
「いつになったら私のこと葵って呼んでくれるの?」
「いやー、それはまだ恥ずかしいっていうか、なんていうか。」
燐は頭を掻きながら言葉を濁す。
それを見た葵はムスッとして、燐の鼻をつまみ、
「もうっ、早く呼んでよ。告白した夜みたいにさ、」
「分かったって、けどさ俺のことも名前で呼んでくれよ。」
「えっ?でもそれはまだ…」
葵はもじもじしながら頬を赤く染めた
そこへ燐に背後から柔らかい感触とともに衝撃が与えられ、
「あ〜ん、ダーリン♡私ともイチャイチャして下さいよ〜。」
「おい!つばさ離れろ!」
うっは〜、いい匂いだ。
ドシッ!
「いってー!」
「朝から浮気ですか!?もう知らない!」
燐をキッと睨んだ後、
葵は顔を背けるとそそくさと去って行く
「おい、葵!待て!違うから、待ってくれよ。」
葵は少し立ち止まるが、またすぐに歩き出した。
「はぁ〜、おい、つばさ、お前のせいで怒らせちまっただろ。」
「だって、それが狙いですもん。」
「おいおい、やめてくれ。」
燐はしがみつくつばさを引きずりながら校舎に向かった
─────
───
キーンコーンカーンコーン
はぁ、まだ怒ってるよな、この休み時間に謝るか
燐は自分の席を立ち、窓際にある葵の席へ向かう。
葵の周りには早苗と楓がいて、談笑している。
「葵、」
燐が呼びかけると、葵は振り返りムスッした表情を見せ、
「なあに?」
まだ怒ってる…
「あのさ、朝のことなんだけど…、」
「分かってるよ、でも、」
葵は立ち上がり、燐に抱きついた
「え?」
「浮気しちゃイヤ。」
心臓が跳ねた。
うっそ!マジか、
ドキドキしてきたーー!
「うん…するわけないだろ。でも、教室でこれはまずいんじゃないかな?」
苦笑いする燐の背後では嫉妬の鬼と化したクラスの男子が殺気を放っている。
後ろからめっちゃ嫌な気配がするんだけど…
「そうだね。控える。」
控えるって、これからもやるつもりか?
まあ俺は嬉しいが
葵も恥ずかしかったのかうつむきながら椅子に座った。
「キャーーー!葵ちゃん大胆!」
「葵、あんたいつからそんな子に…」
「おい!燐、死にたいのか?」
「くっそ!リア充め!爆発しやがれ!」
「お前は全国の男の敵だ!」
クラスの男たちが、燐に群がり燐に罵声を浴びせた。
「あーー!うるせえー!お前らも彼女ぐらい作ってみやがれ!」
『なんだとぉーー!』
うわ、さらにめんどくなった。
燐は風が通り過ぎるようにさそっそうと走り抜けて、教室の外へと出て行く、それを追うようにして他の男子が一斉に走り出した。
「あんたの彼氏も大変ね。」
「うん、」
「葵ちゃん乙女の顔してるよ?」
「ちょ、やめてよ楓ちゃん。」
乙女の顔ってどんな顔なんだろう
─────
───
よし、昼休みだ
葵と昼飯一緒に食べよ〜、
ニッシッシッシ
燐が弁当箱を手に持ち、ひらひらとスキップをしながら葵のもとへと向かう
「あっおいー!お昼一緒に食べ…」
ガラガラッ
「立花さま!」
げっ、この声は!
燐は前に進んでいたはずが、だんだんと葵から離れていく。
うそだろ、花宮さん。
「さっ、立花さま、今日もご一緒に。」
「うわー、離せー、俺は葵と食べるんだ!」
「ダメですわ!」
葵、そんな目で俺を見るな。
俺は悪くない、俺は葵と…
燐の視界から葵は消えた。
「これでよしっと、」
花宮さんは屋上へ着くと内側から鍵を閉めた
おいおい、これほとんど監禁じゃねぇか
「あのー…、花宮さん?」
「どうかしましたか?」
「いや、俺彼女いるんだけど…」
「でもまだ籍入れてませんよね?」
「それはそうだけど。」
「じゃあ、大丈夫ですわ!」
は?そんな基準なの?
結婚するまではまだ大丈夫なんだっけ?
いや、ちがうだろ!
燐をよそに花宮さんはお弁当のおかずを箸でつまんで、燐の口へと運ぶ
これをもらったら負けな気がする…
俺は耐えるぞ!
「あら、立花さま?いりませんの?」
「そういうわけじゃないんだけど…、自分で食べれるからさ。」
「では、自分で食べれないようにすれば良いのですね、」
「は?ちょっ、それは何をするおつもりで?」
「決まってますわ、腕を少々ポキンと。」
ポキンって、それ完全に折れてるよね?
花宮さんは燐の腕を掴んで、某アイスを割るように膝にぶつけて割ろうとしている。
「いや、ちょっと、待って、それは…」
「いいえ、待てませんわ。」
「いや、いや、助けてーーー!!」
バァン!!
屋上のドアが開いた
そこに立つのは長い黒髪を風に靡かせた女性
来た!ヒーローが来た
「おおいーー!」
「私の彼氏に何をしてるんですか?」
「貴女どうやって鍵を…」
「私はこれでも去年、生徒会副会長です。」
葵を鍵をポケットから取り出して見せつけた
そうだったんだ…
知らなかった。
助かったーー!
「燐!」
「はい!」
このタイミングで呼ぶ!?
「行こ。」
葵は首を傾け、ニコリと微笑んでから燐に手を差し伸べた。
燐は急いで自分のお弁当を風呂敷で包んで、葵の手を取り立ち上がる。
「ごめん、花宮さん…、俺葵が好きなんだ。」
花宮さんは地面に手をついてプルプル震えながら、
「そうですか…、でも、私負けませんわ!」
え?話聞いてた?
葵と並んで階段を降りる
「ほんと助かったよ、サンキュー葵、」
「うん、」
「それにしても副会長って意外だったわ」
そう言いわはははと笑う燐見て、葵はぷくぅと頬を膨らませて、
「去年は誰かさんはいませんでしたからねっ、」
「あ、悪い、」
「いいよ。葵って呼んでくれたから」
「んなもんこれからいくらでも言ってやるよ。葵!あおいー、あーおいっ、あおいちゃーん、」
葵はプルプルと震えて、顔にだんだんと血液が集中していき、
「もーーー!恥ずかしいから、やめてーー!」
そう言って、燐を突き飛ばした、
「うおっ!」
「あっ、」
燐は階段をとっさに飛んでなんとか着地を成功させた。
「おい、危ねえだろ。」
「ごめん…」
「可愛いから許してやろ〜。」
そう言って、わしゃわしゃと頭を撫でると、葵の顔はパァと明るくなる。
2人は教室に戻り、昼ご飯を食べた。




