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第23話

〈side 燐〉


今年のインターハイは関東第二の都市神奈川


ホテルは港沿いにあり、駅からも近い好立地


俺たちは接戦を制しながら、明日に準決勝を控えている。

接戦になる程の相手なんていなかったのにな


やばいな、このままだと俺のせいで負ける…


桐山とケンカしてからずっとおかしい

熱が冷めたみたいにやる気が出ない

それでもなんとか踏ん張ってどうにかしてきたけど、そろそろそれも限界だ


なーんかどうでもよくなってきたな…


桐山のことだけでこんなにも変わってしまうなんて頭がおかしいのかもしれない


喉乾いた

自販機にでも行くか


ガシャンッ


取り出し口から缶を取り出し、近くの椅子に座って、プルタブを引っ張った

炭酸ではないので音はあまりでない

音を立てないように静かに飲んだ


窓の外に移る鬱陶しく思えるほど綺麗な夜景を眺めて、


「はぁー、そろそろ限界かな、」


低くくたびれた声で呟いた


「何が限界なんですか?」

「何がだろうな。」


驚く元気も、振り向く気も起きない


背後から腕を回された

顔が肩に乗っている


鼻翼をくすぐる甘い匂いとともに体温を感じる


「せんぱい」


夢心地のようなとろけた声で囁く


つばさか…


これが桐山だったらと思ってしまう自分が情けない


「私のこと好きになって下さいよ。」


出来ることならそうしたい

それが出来たらどれだけ楽なんだろうか


俺の恋はこんなにも重たいものなのか…


キスでもすれば好きになれるのか

でも、それでもし好きにならなかったとしたら、

そんな最低なこと出来ない


「ごめん…、俺は桐山のことが忘れられない。」

「フラれたのにですか?」

「ああ、女々しいよな、嫌いになっていいぞ。」

「どうしてなんですか」

「分からない、何かがずっと引っかかってるんだ。大事なことを見落としている気がする。」


それが何なのかがまったく分からない


「私もっと早くせんぱいに会いたかった。」


肩にポタポタと雫が落ちる


俺は泣かせたのかこんなにも純粋な子を


「ごめんな…、ありがとう。」


鼻をすする音だけが聴こえる


「せんぱい、今だけこのままでいさせて…」


涙声で呟いた


「ああ、」

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