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友達を


「いやぁーもぅホントにビックリしたんだから」


リビングで母さんが言う。

あの後父さんに事情を説明して色々片付けた後、家族四人でリビングに集まっていた。


「それはこっちのセリフだぞ渚。蒼空くんは血まみれだし、蒼海ちゃんは鼻血垂らしながら幸せそうに目つぶってるし、渚はぶっ倒れてるし…」


「だってあんなの見たら卒倒するって!」


「俺はしなかったぞ?」


「そ、それは…そのぉ〜…」


「まぁいいけどさ。それより蒼海ちゃんはなんでずっと下向いてるんだ?」


父さん母さんが話をしている最中、蒼海ちゃんはずっと下をむいていた。


「…………さい…」


「「え?」」


「……ごめんなさいっ!!」


バッと蒼海ちゃんは顔を上げたと思ったらソファーから降り、膝をついて謝ってきた。僕の目の前に。


「えっと……どうしたの?蒼海ちゃん?」


僕は困惑しながら聞く。


「お兄ちゃんの裸見ちゃってすいませんでしたっ!」


そう言うと蒼海ちゃんは額を床につける。


「う、蒼海ちゃん落ち着いて!とりあえず頭あげて?ね?」


「……嫌いになったりしない?」


「し、しないよこんな事で!だからほら、頭上げて?」


「う、うん…」


蒼海ちゃんは恐る恐ると言った感じに頭を上げる。


「えっと……むしろ、僕の方こそごめんなさいなんだよね…。ごめんね、蒼海ちゃん。お風呂入ってたのに気づかないで入っちゃって…」


「そ、そんなっ!怒ることはあってもお兄ちゃんが謝ることなんてないよ!」


「い、いやでも妹とはいえ女の子の裸見ちゃったわけだし…それに僕の貧相な身体なんか見ちゃって気分悪かったでしょ?ごめんね本当…」


「そんなことないよお兄ちゃんっ!お兄ちゃんになら見られても怒ったりなんかしないもん!そ、それにお兄ちゃんの身体…その…綺麗だったっていうか…思い出しただけで…あっ」


蒼海ちゃんは顔を真っ赤にした。そしてまたツーっと鼻血が垂れてくる。


「う、蒼海ちゃん?!」


「て、ティッシュ!早くティッシュ!」


「はいっ!響ティッシュっ!」


父さんが急いで鼻血を止める。


「ご、ごめんなひゃい…」


蒼海ちゃんは真っ赤になりながら一言そう言った。


「と、とりあえず部屋で休んでおいたら…?」


「うん…そうしゅる…」


鼻にティッシュを詰めてるため聞き取りにくい。

蒼海ちゃんはとぼとぼと部屋に向かっていった。


「蒼海ちゃん…大丈夫かなぁ…」


「大丈夫よ蒼空くん。女の子だもの蒼海ちゃんは。」


「そう言えば、渚も俺の裸初めて見たときは同じように鼻血だしてたっけ…」


ニヤリと微笑みながら父さんは言う。


「し、しょうがないじゃない!女は好きな人の裸みたら鼻血くらい出すものなの!」


さすがにないだろと思うが、先ほどの蒼海ちゃんを見たあとだとあながち嘘でもないかもしれない。


「ていうか、本当に蒼海ちゃん気にしてないのかな…?僕、裸見ちゃったし悪いことしたよね…」


「え?別にそれは大丈夫じゃない?女の裸なんて見ようと思えばいくらでも見れるでしょ?」


キョトンとした表情の母さん。


「えぇ?だって、裸だよ?女の子の。男の子の僕ならわかるけど…」


「「えっ?!」」


「??」


母さんと父さんが声を揃えて言う。


「いやいや蒼空くん。男の子がそんなはしたない事言っちゃダメだぞ?」


「そうよ蒼空くん。女の子と男の子だったら、男の子の裸は女の子の500倍の価値はあるわよ?」


「おい渚、価値って変な事蒼空くんに教えるなよ…」


「あっ……えっと……と、兎に角!男の子がそう安安と裸なんて見せたりなんかしないんだから!蒼海ちゃんはむしろ喜んでたんじゃないかしら?大好きなお兄ちゃんの裸見れて…」


「おい…蒼空くんが気持ち悪がったらどうするんだよ…息子にセクハラなんて、洒落にならないぞ?」


「あぁまた私ったら…ごめんね、蒼空くん?」


「い、いや…僕は大丈夫だけど…」


500倍って…いくら男が少ないからってさすがに…

母さんが言うには蒼海ちゃんは気にしてないみたいだけど、落ち着いたらまた謝っておこう…。

男の裸なんて、前世だったらいくらでも…というより、変に晒して捕まる人までいたくらいなのにな…。



「そう言えば蒼空くん?今日お風呂間違えたり、なんだかボーっとしてたみたいだけど何かあった?」


心配そうに聞いてきた父さん。


「あっうん。実は…今度、友達が家に遊びに来たいって言ってるんだけど…」


「「っ?!」」


二人が驚いた表情をする。


「と、友達っ?!」


「蒼空くん友達できたのっ?!」


二人が食い入るように聞いてくる。

友達できたのって…なんだかちょっと悲しい。


「う、うん…それで、遊びに来たいらしいんだけど……いいかな?」


「……ついに、ついに来た……」


「ええ…待ちに待ったこの時が……」


「えっ?」


「夢にまで見た…息子の友達におやつの差し入れ…」


「お前の母親、めっちゃかっこいいなって呼ばれる時が…」


「あ、あのぉ………」


2人は何やらブツブツとトリップし始めた。

父さんはおやつがどうの、ゆっくりしてってねだの…

母さんは何故かキリッとした表情でそんなことないわよとかつぶやいてるし…


「えっと…だ、ダメならことわ――――」


「「ダメじゃないっ!!」」


「はいぃっ?!」


「蒼空くん!是非とも家に連れてきなさい!フルコースでおもてなしだっ!」


「新しい服買ってこないと!蒼空くんの友達に初お目見えなんだからっ!」


「えっと…じ、じゃあ今週の土曜日でもいいかな…?」


「「もちろんっ!」」


「ありがとう…」


ハイテンションの2人に引き気味の僕。

まぁ反対されないでよかった…いや、こうなるとほんとにキスしないと…


「そうだ、その友達の名前はなんていうんだい?」


「あぁそうね!聞いておかないと!」


「あ、うん。えっと…」


僕は何気なく、当たり前のように彼女の名前を告げる。


「岡部舞桜ちゃん」


ごくごく当然のように名前を告げる。


告げたあと、僕は内心しまったと思った。友達とは言ったが女の子だとは伝えてなかった。

しまったと思いながら2人の反応を見ようと顔を上げる。


視界に入ってきたのは、恐怖と驚きで埋め尽くされていた両親の表情だった。




響も渚も舞桜ちゃんに色々思うところがあるだろう…


きっかけなのか、元凶なのか…

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