奇跡の証明
この次で家族視点終わるかなと
しばらく蒼空を抱きしめながら泣いていた響は落ち着くと気になった事を蒼空に聞き始める。
「……蒼空くんは、いつから話せるようになったんだい?」
そう、まずこれが聞きたかった。
いまこの瞬間に話せるようになったわけではないのは流石にわかる。
こんなにも言葉を話せるようになるには時間が必要なはず
「…えっと…すこしまえ…かな…」
蒼空はたどたどしい言葉で返す。
少し前…合間ではあるが今は追求するのは予想と響は思う。蒼空とて全てを正確に覚えているわけではない。
「そうだったのか…蒼空くんは言葉を理解…できてるんだよな?」
質問を続ける。
蒼空は自分の言葉を理解できているのかを聞いていく。
受け答えができているので理解できてはいるのだろうが、確認のためだ。
「うん。…テレビとか……父さんたちのはなしを聞いておぼえた。」
覚えた…つまり、学習していたということなのか。
それなら話せるようになってから少ない期間でもこうして言葉を交わせるまでになれるのか…
「えっと、自分が何歳だとか…あと、どうして身体が大きくなってるのかとかは理解できてる?」
今度は自分を認識できているか聞いてみた。
蒼空が目覚めた当初、先生がしきりに気にしていた事。
「うん。わかるよ…いっぱいいっぱい寝ちゃってたんだよね僕…?」
自信無さそうにそう答える。
蒼空は自分をしっかりと認識していた。あまつさえ、眠っていたことも。
響は蒼空が話せている事に喜びを感じてはいるが同時に不安にも襲われた。
昨日まで一言も話さず、障害があると思っていた蒼空がこんなにも急に…。
さっき蒼空自身から聞いた言葉は嘘をついている感じではなかったが、全てそのまま受け入れるということはできなかった。
今こうして話をしている蒼空は、本当に昨日までの蒼空と一緒なのか…?
響は蒼空に先生を呼んでくると伝え病室を出る。
医務室に先生を呼びに行く間、響なりにどうしてこうなったのか考えたが結論はでなかった。
医務室につき先生に事情を説明すると、「いやまさかそんな事…」とにわかには信じられないような面持ちだった。
病室につき、先生は蒼空に話しかける。
蒼空が言葉を返したところで初めて先生は蒼空が話せるようになったと信じたみたいだった。
いくつかの質問をしていく先生。
蒼空が質問に答える度に先生は驚き、声を大きくしていった。
ある程度質問したところで響が我を忘れそうな先生を止めると、医務室で話がしたいと言われた。
響は蒼空に待っててねと優しく声をかけて医務室へと向かった。
ふと、病室を出た時に何かの花の匂いを響は感じたが気に留めることはなく医務室へと足を運ぶ。
医務室につくと先生は訳がわかりませんと告げた。
「申し訳ありません…医師としてしっかりと理解しなくてはいけないのですが、はっきり申しましてわかりません…」
「い、いえ…俺もまだ理解できていませんから…あの、蒼空はなんで精神年齢が年相応になってるのかっていうのは…なにか想定できてたりしませんか?」
響はそこが知りたかった。蒼空はなぜ眠っていたのに精神まで成長できていたのか?
「私にはさっぱり…精神年齢が年相応だという可能性はわかってはいたのですが、あくまでそれだけでどうしてそうなったのかは……蒼空くんは何か言っていたりしませんでしたか…?」
そう言われて響は蒼空との会話を思い出す。何か…気になることは…
「……そうだ、夢……夢を見ていたと蒼空は言っていました。眠っていた間は夢を見ていたと。」
「夢…そうか!…いや、でもそうだとしたら……」
先生は何かに気がついたと思ったら何やらブツブツと考え始めていた。
「…野上さん、これから話すのは医学的根拠のないことですがそれを頭に入れて話を聞いてもらえませんか?」
「は、はい…」
先生は考えをまとめたのだろう。
そう一言置いてから話始めた。
「…以前、蒼空くんが脳死判定された時に脳波が何故か検出されたと話したのは覚えてらっしゃいますか?」
「はい、覚えています。たしか、夢を見ている時と同じような…」
「はい。夢を見ている時と同じ脳波が検出されていたんです。…もしかすると、蒼空くんは本当に夢を見ていたのかもしれません。」
「……え、えっと……それがなぜ今の事態につながるんですか?」
「はい。……赤ちゃん、乳幼児は本来起きている間よりも睡眠中の方が脳の働きは活発になっているんです。昼間起きている間に脳に保存された情報を睡眠中に整理して記憶し学習します。……睡眠中に赤ちゃんがよく動いたりするのは脳がその日運動したことを反復させているからなんです。」
「つまり、蒼空は眠っている間精神的に成長もしていたということですか?」
「…本来の乳幼児であればそれも考えられました。…しかし、蒼空くんには不可能な筈なんです。……睡眠時の脳内学習は通常、脳全体の70%以上を使って行われます。睡眠時に使われている副交感神経から始まって様々な機能を使いつつ学習していくんです。何故なら実際に働かせないといくら脳が高性能でも学習させることはできないんです。当然、脳のそのほとんどが死んでいた蒼空くんには到底不可能…脳波が出ていたことがまずおかしいんです。」
先生が話していることを響は少しずつ確実に理解していく。
「……ここから先は医師の考えというより、私個人の考えだと思って聞いてください。………もし、仮に霊…魂というものがこの世界には存在していたとして、蒼空くんは魂だけ生きていたのではないでしょうか…身体が眠ったと同時に魂も眠りに入り、そして魂が夢を見ていたと…すいません、こんな妄言しか…………」
先生はそう言うと頭を下げた。
「い、いえ、顔をあげてください先生…俺も、そうだったらいいなと思います。」
響は思っていたことを話始めた。
「むしろ、蒼空くんは非科学的な事ばかりでした。突然長く眠ったり、死んだと判断された筈なのに成長して、そして目覚めた。奇跡のような事ばかりです。だから、本当に魂というのはあるのかもしれないです…」
そういう響はまだ心の底で蒼空が自分の知っている蒼空ではないんじゃないかという不安があった。
しばらく話し込んでいたのか、思ったより時間が経っており二人は病室へ戻ることにした。
病室の扉を開けるとまた何かの花の匂いがした。ふわりと優しく包み込むような、そんな匂い。
蒼空はというと何やら顔を赤くしていた。
響は心配になり蒼空にかけよって声をかけるが、なんでもないよと蒼空。
念のため先生にも見てもらったが特に異常はなく次第に蒼空もいつもの表情に戻っていった。
「ね、ねぇ父さん?先生となにをはなしていたの?」
蒼空がそう響に聞いてきた。長らく待っていたせいか気になったのだろう。
「……うん。蒼空くんのことだよ。……えっとね、蒼空くんは寝ている間の事覚えてる?」
「寝てる時のこと?」
響は蒼空に詳しく聞いてみる事にした。
眠っている間のことを。この子は本当に蒼空なのか…
「なんでもいいんだ。長い間寝ていた時のこと、なにか覚えてたりしたら教えてくれないかい?」
「うん……えっと、夢を見てたような気がする。」
「夢?……どんな、夢かな?」
蒼空は寝ていた時のことを話始めた。
ゆっくりと話をしていく蒼空。
たくさんの泣き声を聞いたと。
たくさん謝られたと。
そして、手を握ってもらったと……
それを聞いて響はこの子は蒼空だとしっかりと実感した。
蒼空の話したことは眠っている間に蒼空が聞いていたことだった。
たくさん蒼空の前で泣いた
たくさん蒼空に謝った
そして、蒼空の手を握り帰ってきてくれと願った。
蒼空は夢だと言ったがそれは実際に起こっていたこと。
確に蒼空は感じてくれていたんだ。
霊や魂なんて非科学的な事でもいい。
今こうして目の前で話している蒼空がその証明をしてくれていた。
この世界には、奇跡があると
そう響に蒼空は教えてくれていた。
最近活動報告してないことに気がついた私です。
Twitterもあまり更新してなかった……
どっちかを頻繁に更新してこうとは思うのですがどっちがいいですかね?活動報告かTwitterか…
こっちがええよってのあったら教えてください!




