情けない
これが本来の50部となります
華奢、という言葉では足りない。
悪く言うならミイラと呼ばれても不思議ではない身体がそこにはあった。
眠ってしまう前に少しだけ腕は見えていた。それ故にある程度は想像していたのだが、それを遥かに超えてきた。
(これが、僕の体?)
素直にそう思ってしまった。信じたくなかった。これが自分の身体だと認めたくなかった。
しかし、見る事しか出来ない僕に現実は痛いほど突きつけてくる。
それは僕にとってあまりにも残酷で……だってこれじゃあ……
"男の子としての役割"が果たせないじゃないか…。
僕が絶望している中、母さんは僕の体を暖かく濡らしたタオルで拭いていく。
「んー蒼空くんタオル気持ちいいねー。早くお風呂に入れるようになるように頑張ろうね!」
そうして僕に話しかけながら母さんは僕の体を拭き終えた。
「うん!さっぱりして気持ちいいね蒼空くん!」
「ママ!つぎはわたしがやるから!」
「はいはい、蒼海ちゃんはまた明日やろうねー?」
母さんはうみちゃんをあやしながらてきぱきと僕に布団をかぶせて元の位置へと戻す。
「……それしても蒼空くん、どんどん身体が大きくなってるわよね。肉付きも良くなってきたし、動けるようになるのもあっという間かも!」
そんな言葉を母さんは発する。
肉付きが良くなった?これで?
その言葉に僕は更なる衝撃を感じた。
(僕はどれほどひどい状態だったんだ…)
今の体ですら僕自身目を覆いたくなるような状態なのに、これよりひどかったなんてそれはもう生きているとは言えないんじゃないかと思う。
(………はやく普通の状態になるようにしないと)
僕はそう心に決める。こんな身体なのに母さんは喜んでくれていたのだ。
妹だって気持ち悪がらずに抱きついて来てくれた。
父さんだってそうだった。そんな三人の為にも僕は早く良くならないと。
だって、そうじゃないと、――――――――。
※
母さん達は身体を拭いた後部屋の掃除をしていた。
掃除というよりは整理だろう。色々な服や日用品を病室にある収納棚にしまっていた。
そう言えば気がつくと病室が個室になっていた。僕がはじめに目が覚めたときは確かベッドがたくさんあったのに今は1つしかない。
(移動させられてたのに気づかないほど深く寝ちゃってたんだな…)
僕はため息をつきたくなった。
「………は…ぁ………」
自然と口からそんな音が出ていた。ため息と呼べるほどのものではない。言葉でもない。ただの音。
しかし、その音に母さんとうみちゃんは反応してみせた。
「………ねぇ?いま蒼海ちゃん何か言った?」
「…ううん。なにもいってないよ。……ねぇ?まま?」
「…うん。………うんっ!いまの!蒼空くんよっ!」
そう言って二人は僕の横に駆け寄ってくる。
その顔はとても明るく嬉しそうで、目を輝かせていた。
そんな二人に僕は、精一杯答えたかった。今すぐ伝えたい。心配かけてごめんと。
僕はもう大丈夫だよと。
「………か…………あ……」
しかし、僕に今できることはこれが限界だった。母さんと声にだそうとしたが続けて音を出せない。
なんて情けないんだ僕は。
「っ!いまっ!確かに蒼空くんが喋った!喋ったわっ!!」
「うん!うんっ!お兄ちゃんがしゃべった!」
そんな情けない僕でも二人は喜んでくれた。二人の目元はキラキラと輝いている。
僕は、自分が情けないと感じながらも二人が家族で良かったと思う。
(こんな情けないのに、喜ばれることがあるんだな……)
そんな考えがよぎると同時にまた睡魔がやってくる。
僕は喜んでいる二人の声を聞きながらまた眠りについた。
先程まで完結済みになってました……ほんとすいません。
そして指摘してくれた方ありがとうございました。
まだまだ続きますのでお付き合いよろしくおねがいします




