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発見


前世の記憶

思い出せる文化祭の日、僕は誰を誘おうとしたんだろう……

とても大切な人だったような気がする

ずっと前から誘おうと決めていたんだ…

でも結局………………………







目が覚める。

赤ちゃんの体にも大分慣れてきた

慣れてきたというか、限界を知った。

例えば手足


腕をあげたり足をばたつかせたりはできるが指を細かく動かしたり関節を曲げたりなんかは上手く出来ない

指を動かせてもギュッと握るくらいだ

赤ちゃんが指を握り締めるのは握りたいんじゃなくて握ることしかできないからなんだなぁと思う。


あと声。これがとてもショックでしっかり喋ることはおろか上手く発声もできない

まだ喉や舌に筋肉がついてないからなのか声量も自分で調節できない


自分でできる事と言えばお腹に力を入れ口角をあげて笑い声のような音を出すか、声量を気にせず思いっきり泣くかだ。


僕は2回目の人生なので余裕があるがこれがそのまま赤ちゃんなら確かに泣きまくるなぁとしみじみ思う。だってそれぐらいしか出来ることないんだもの

唯一良かったのは目を覚ましてからようやくしっかりと目を開いて物を見ることができたこと。これだけでかなり違う。


目を覚ましたのはいいが辺りを見渡すと同じように乳児用のベッドで眠っている赤ちゃんがいるだ

け。

灯りもついてないので夜何だろうと考える。

父と母はどこに行ったのかと頭をよぎるが眠る前の会話を思い出す。



…………あぁ、多分夫婦水入らずでよろしくやっているんだろうなと察した。



察したはいいがおかしい。

物凄く不安に襲われている。何故かわからない

記憶が正しければ少なくとも前世では16歳には達していた精神であるのにこの乳児用のベッドと灯りの消えた薄暗い室内に恐怖すら感じる


そして何より無性に父と母に会いたい……特に父親


こんな時赤ちゃんなら普通は母親ではないのか?と自分に問いかけてみるがやっぱり父親に会いたい。

父親に会って抱き抱えられたい

父親の乳が飲みたい…


絶対おかしい。自分でもそう思ってはいるのだが如何せん本能が恐怖を感じ安心感をもとめている。

赤ちゃんとはこんなにも不安定なんだかと思う。


しばらく耐えてみたが無理だ…恐怖が凄まじい…

耐えきれなくなった僕は力いっぱい泣いてみる。

するとすぐさま人が来る気配がする。


「おー起きちゃったかよしよし。お腹が空いたのかな?それともおしめかなー?お兄さんが来たから安心ですよー」


そう言いながら僕を抱き抱えたのは男性だった。

抱き抱えられた事によっていままで感じていた恐怖は嘘のようになくなり、安心感が押し寄せる。


僕は泣くのをやめると抱き抱えてくれている男性を観察する…

病院の先生…ではないな、白衣着ていないし。

看護士の人か?男の看護士で産婦人科に配属されているのは珍しいな……そう思ったとき、寝る前に確信した違和感を思い出す。


そうだ……この世界は何かおかしいんだった…男女の立場が逆になっているのか?

………いや、でも喋り方は前世での男の喋り方のまんまだし看護士の服装も女性用のスカートタイプではなく男性用のパンツスーツだ


完全に逆転しているのではなく微妙なところは前世と変わっていないのか?

そう考えを巡らせていると看護士が話しかけてくる


「おーすっかり泣きやんだ。野上さんのところの赤ちゃんはお利口さんだなぁ」


野上さん?……あ、僕の名字か。つまり僕のフルネームは野上蒼空だということか。


前世と一緒とはなにか仕組まれている様にすら感じてしまう。もしくは長い夢を見ているんじゃないかと。


「よーしよし、もう大丈夫かな?それじゃあまたベッドでお寝んねしようねー」


そう看護士が言うと僕をベッドにおろしナースステーションへ帰っていく。


………まただ。またあの恐怖心がやってきた。

どうやら赤ちゃんは抱っこされていないと寂しくて恐怖に怯えてしまうんだなぁと考えつつ、泣く。

そしてまた看護士がやってくる

抱き抱えらて泣き止む。

戻されてまた泣く。


………看護士さんごめんなさい。僕は泣きたくないんです。

ただ身体が泣いてしまうんです。

心の中で看護士さんに謝りつつ抱き抱えられ戻され泣いてを5回ほど繰り返したあと僕は眠りについていった。





その時の僕は泣くのに夢中で気づいていなかったんだ。

僕の隣のベットにいた女の赤ちゃんに

その女の赤ちゃんが僕の事をずっと見つめ続けていたことに




(待っててくれてありがとね、蒼空くん…………)




女の赤ちゃんがそんな事を思っていたともしらずに僕は眠り続けた。

あべこべの世界観とヤンデレを上手く表現していけたらなと思います

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