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第9話:超能力者vs影使い

 次の日は街中を探索、朝の市場は人は多いが夜に比べれば静かな物だ。

 その後、夜の市場も見て回る。

 残念な事に美人吟遊詩人が持っていた魔法の絨毯は売ってなかった。

 昨日の行商の出している店もあり護衛のエルフに聞くと、もっと大きな都市に行かなければ高い魔法のアイテムをお目にかかる事は無いそうだ。

 魔法の絨毯はかなり高価なアイテムで売ってないそうだ。


 サロックの研究所を訪れる。

 天井が低いな、子供サイズだ。

 小さな椅子に腰掛けて出されたコーヒーらしき物を飲む、なぜコーヒーらしきと言うのはサイフォン器を使って抽出していたからだ。

 もっと焙煎したら美味いのにな、アカネに豆を焙煎させる。


「ちょっと苦くなったわ。」

「ん、こっちの方が好き。」

「うーん少し苦いね、わざと焦がすとは面白い飲み方だね。」


 サロックはあまり好きな味ではないようだが味は少しだけコーヒーに近づいた。

 コーヒー(らしき物)をすすりながら超能力の話をする。

 数は少ないが、こちらの世界もサイキック戦士がいるようだ。

 魔法にサイキック変な世界だな。


 能力の発現方法や、鍛え方を聞かれた。

 発現方法は、この世界の妖術師ソーサラーに非常に似ていた。

 生まれつき力を持っていたり(俺)、途中で力に気がつく(アカネ)、誰かの手ほどきを受けて目覚める(ヒイロ)。

 こんな感じだ。

 鍛え方は小さな力をコツコツ使って段々精度や威力を上げていく。

 こちらの能力者は、ある一定の経験を積むと一気にレベルが上がり次のステップに進むようだ。


「カンザキはエルフ語もまだ自由に喋れないようだね。」

「ああ、そうだ。」

「僕の秘蔵アイテムを使うから元の世界の言葉で話してくれていいよ。」


 ヘルメットを取り出し被るサロック。


「テステス、理解できますか。」 

「OK、こちらはエルフ語で返事するからよろしく。」

「エルフ村で会った吟遊詩人が持ってたのと比べるとずいぶん厳ついね。」

「彼女が持っていたアイテム全てはね、この世界での手に入れる事の出来る最高峰のアイテムと思って間違いないよ。」

「ふーん、そうなのか。」


 数時間能力の事や日本の事、この世界の事を話して昼飯の時間に成ったのでこの辺で帰ろうとすると。

 何か準備をしている。


「さあ、出かけようか。」

「何処へ?」

「領主サウザンドの所さ、昼飯をご馳走してもらおう。」

「出来るだけ早くランスに行きたいのでよろしく。」

「少しぐらい寄り道をしても良いんじゃないかな。」

「少しってどのくらいを想定してる。」

「数週間かな。」


 ここにも長寿の種族いました。

 ランスまでの船の定期便に乗せてもらう話を付けてくれると言われ行く事にした。

 ここら辺で一番大きな建物に着く、最近建てられたようだ。

 領主の豪邸というよりも、役所に見える。

 実際この地域の実務処理をする為に建てられたと説明された。

 住居兼仕事場よりも仕事場に住居スペースを作ったようだ。


 サロックは門の兵士に挨拶し中に入る。

 サウザンド卿の会見を受付の女性にすると少し待たされた後に通される。

 執事風の老紳士がサロックと話をしている。


「ごめん、カンザキ。」

「どうした何か問題か、不在なのか。」

「あいつの悪い癖が出た、たぶん腕試しされる。」


 コボルト100人切りの腕前を試したいとか。


「噂が立っているのは勝手だが、俺コボルトと殆ど戦闘してないぞ。」

「綺麗な娘さん2人がコボルトを殲滅させたなんて誰も信じないのさ。」


 やれやれ仕方ないな、元の世界でも腕試しは頻繁にされたし俺も嫌いじゃない、相手の実力も測れるので良いだろう。


「じゃあ行ってきますわ。」


 ひらひらと手を振りながらドアをノックして入った。


 中は窓が閉められて薄暗い、ランプが机の上に置いてあるだけだ。

 弱い念動力をソナーのように全方向発射する。

 机の隅にいる、どうやって隠れているのか見る事は出来なかった。

 念動力の小さな衝撃で向こうも発見されたのを感じたのか動く、机の影の中から湧き出るように出てきた。


「え、何?」


 驚きはしたが、こちらも距離を詰める。

 投げられたダガーを空中から取り出したナイフで弾きながら身構える。

 左手にも同じように空中からナイフを取り出す、簡単な手品だが小技も挟んで相手を混乱させる事が俺の戦闘方法だ。

 両手のナイフで2度切り付けるが上手くスウェーでかわされる。

 下から股間を狙う蹴りに足を乗せてバク転する、同時に空中で4本のナイフを念動力を使い発射する。


「うお!」


 サウザンドは驚きの声をあげる。

 ナイフは上下左右弧を描いて吸い込まれる様に殺到したが、サウザンドは影の中に落ちるように消える。

 空振りしたナイフは床や机に刺さった。


「キンッ」


 金属同士が打ち付ける乾いた音がする。

 首筋に光が走るのをナイフで受け止めたからだ。

 お互い動けなかった。

 俺は影から出てきたサウザンドのショートソードをナイフで受け止め、やつの背中に2本の念動力で操ったナイフを突き付けている。


「△★☆★」

「負けかな。と言っています。サウザンド彼はエルフ語しか理解できない。」


 サロックが止める。

 サウザンドがショートソードを鞘に戻すのを見て、後の空中のナイフを回収した。

 まだ隠し玉を持ってるよなこいつ、俺も全部の力を見せていないが。


「流石コボルト100人切りだな、すまない実力を知りたかった。」

「そちらも特殊な術を使ってますね。」

「影使いの職業を持っているからな、影に潜むことが出来るし影の間を瞬間移動も出来る。」


 握手を求められる。


「便利な能力ですね。」


 握手をした。


 後は昼食をしながら話をする。

 異世界人の話をした、城塞都市ランスでリク製作所の主人らしい、彼の作った武器防具を見せてくれる。

 彼から借りた武器や防具にはエルフ語でリク製作所の名前と住所が刻まれていると教えてくれた。

 エルフ語を読めないからカッコいいデザイン程度に思っていたがそんな事が書かれていたのか。

 装飾の素晴らしい装備なだけかと思っていたが。


「そんなに素晴らしい装備なんですか。」

「全部魔法の装備だ、ところで君の世界では同じ製品を大量に作れるのかな。」

「?、工場製品ならほぼ同じものを大量に生産してますが。」


 何本も同じ剣や盾を見せてくれる。


「寸分違わず同じものが50セットある。」

「うーん、よく分かりませんね。これが何か」

「この装備1セットで金貨4500枚以上の価値がある。」

「金貨1枚の価値が分かりませんが。」

「1000枚で家が建つと言えばいいかな。」


 金貨1枚は1万円ぐらいの価値らしい。


「じゃあこれ全部で。」


 驚いた、この武器防具で22億円ぐらいの価値があるのか。


「余程大きな工場が有るんですかね。」

「いや、片手まで作ったぞ。」


 どうやら、とんでもない人物と会う事になりそうだな。


「ランス行きの船に乗りたいのですが手配いただけますか。」

「いいだろう、ただ行く前に貴公の腕前を見込んでお願いしたい事がある。」


 頼まれ事をされた。

 エルフ村では1人金貨100枚もらっているが、これからの事を考えるともう少しお金に余裕が欲しいので依頼を受ける事にした。

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