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プロローグ

 どうしてこうなった。

 岩場の影から覗くと狙撃される。

 念動力でトランプカードを弾きで弾の軌道を変える、そう俺は超能力者なんだ。

 テレビでたまに出るインチキ臭い者ではなくて本物の超能力者。


 腕を見込まれて公安暗部に所属して12年、政権が変わり上司が変わってからきな臭く成ってきたとは思っていたがまさか敵国だった国と友好を結び自分が排除される事になるとは思いもしなかった。

 前上司は5年ほど前に高飛び身を隠した。


 つい先日、


「政権が戻ったので再雇用される事となったから、またよろしく。」


 と電話があったばかりだ。


 現在の上司の最後の仕事が終わった所で、国際テロリストとし敵国の軍隊と、自国の自衛隊に包囲されてしまった。


「ヒイロ、俺何か間違ったことしたかな。」


 今声をかけた髪の長い女性は、日緋色金之命ヒヒイロカネノミコト

 俺の相棒の1人で、クレボヤンスの能力者、日本語では千里眼とか予知能力者かな。

 この変な名前は一族に超能力者が発現したときに付けられる名前だとか、俺は緋色と呼んでいる。


「ん、間違ってない。」

「でも明らかに上司あせってたぞ。」


 ターゲットを航空機事故で亡き者にした後、暗殺報告をしたときの顔色が青から白に変わった。

 航空機事故を装った暗殺とは、今テレビを付けると死亡者1人の奇跡の事故と世界中のニュースで報じられている。

 俺の念動力でジャンボジェットをへし折りターゲットだけ殺害しその他の乗客は保護したからだ。


「ん、本物を殺害したから。資料は影武者がターゲットになっていた。」

「ひょっとして影武者を殺害させて俺に罪を被せる予定だったのか。」

「ん、カンザキの首を土産に高飛び。」


 この業界の上司は高飛びが好きだな。

 カンザキとは俺の名前、神咲寺男かみさきてらおの事だ、ちなみに偽名だ本名を名乗ることはもう無いだろう、発音し易いカンザキと呼ばれている。


「2人ともお話中に悪いけど突入してくるわよ。」

「アカネ何人ぐらい来る。」

「10人前後よ。」


 このポニーテールの活発そうな子は神咲茜かみさきあかね、俺の子でアカネと呼んでいる。

 俺の本当の子供ではない、養子縁組で俺の子供として小学生のときから一緒に暮らしている。

 超能力をコントロール出来なくて捨てられた気の毒な子供だ、そして本当の子供のつもりで10年育てた自慢の娘だ。


「ん、自衛隊員も混じっているから。」

「分かってる殺すなって事だろ。」


 俺は、念動力を発動して鹵獲した95式自動歩槍を空中に浮かべる。

 8挺の銃が火を噴く、自衛隊員のみ足に弾を受けて転がる。


「残りはアカネ焼け。」

「はい。」


 突っ込んでくる敵国の兵を焼き尽くす、火力高すぎだろもっと抑えてくれ。

 アカネはパイロキネシス発火能力者だ、それを10年間鍛えた、俺から言わせればまだまだ未熟だけれど。


 トランシーバー越しに話しかける。


「攻撃しないから負傷兵を収容してください。」


 同じ公僕なので殺すのも嫌なのと、対応の違い見せて不和を生む作戦だ。

 こんな事が2日続いて膠着している。


「ヒイロこれからどうするよ、俺帰ってぐっすり寝たいけど。」

「奥に移動もう直ぐ。」


 89式小銃と弾薬、水筒など必要な物を集めて奥に行く。


「ん、アカネもっと近くに寄って。」


 ヒイロとアカネが近づく、というか近すぎ。


「ちょっと近すぎないか。」

「これでいい。」


 ヒイロはティシュを丸めながら言う、鼻血か?。


『ボン』

「うお、なんだ。」


 爆発音がする。

 念動力で周囲を守る。


『ガラガラ』


「おい天井が崩落するぞ。」

「ん、大丈夫。」

「無理だってこの質量は。ぐはっ」


 ヒイロは俺の右鼻の穴にテッシュを詰め込む。

 

「服汚れるから。」


 分けのわからんことを言いやがって、天井が崩落する。


「ぐぐぐ、潰れる。」


 土圧で周囲が狭まる、ヒイロとアカネの胸が押し付けられるが楽しんでいる余裕が無い。

 念動力の出力を上げすぎて鼻血が出てきた。


「ん、カンザキ1つずつ並行処理して。」


 並行処理は俺の中では最終奥義的な技で、意識外に置いて自動処理する技だ、歩いている時に意識してなくても歩けるように、自動車の運転で意識しなくても複雑な作業が出来るのと同じように意識外に置くと念動力の処理能力が一気に増える。

 土圧を押し戻す:並行処理化、まだ出力が足りない重力をカット:並行処理化、意識が無くなりかける。

 出力の出しすぎで朦朧としながら、音振動カット:並行処理、電気カット:並行処理、電磁波カット:並行処理、光カット:並行処理・・・。


『我が次元界へ違う次元へ来ないか』

「何か声が聞こえるわ。」

「ん。」


 五月蝿いのでカット:並行処理


『ちょっと話を聞け。』カット:並行処理、『こいつ11次元の力も干渉できるのか。』カット:並行処理、『まて、これ以上は話が出来なくなる』カット:並行処理、『ザッザ、ザー、止むを、ザー、得ないザー、このまま転送』カット:並行処理


 静かになったな、真っ暗な空間で聞こえるのは3人の鼓動と呼吸音だけ心地いい。

 意識が無くなった。


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