剣の勇者 ソードカイザー
※この作品にはあまりにも刺激が強過ぎる残虐な描写、過激な発言が多々見られます。閲覧の際にはくれぐれもご注意を…(汗)
-この世には、二人の剣士が存在している。
-一つは悪の剣…世界に恐怖と絶望を齎す、闇にその身と心を堕とした暗黒の刃『ダークカイザー』。
-そしてもう一つは善の剣…世界に希望の光に導く、選ばれし勇者『ソードカイザー』。
-光と闇、決して交わることの無い宿命にある二人の戦いが今日も始まる…。
「いらっしゃいませ〜♪2名様ですか?」
「あ、は…はい。」
「僕達タバコは吸わないんで、席は禁煙でお願いします。」
「はーい♪こちらのお席へどうぞ♪」
-とある街にある喫茶店…ウェイトレスに案内されてる謎の二人組…しかし見た目は明らかに人間とは掛け離れていた。
-一人は額に剣の意匠がある仮面に特撮ヒーロー風の青基調のスーツに身を包み、何故か腰に剣を提げてる謎の戦士…そう、彼こそが悪の剣士・ダークカイザーと日々戦い続けてる剣の勇者・ソードカイザーなのだ!
-そしてもう一人はソードカイザーに酷似した姿をしているがその色は禍々しい黒一色に染められ、背中には鮮血の様に赤いマントを靡かせおり、同じく腰に剣を携えた戦士…そう、彼こそは善の剣士・ソードカイザーと日々戦い続けている闇の刃・ダークカイザーなのだ!
「…なあソードカイザーよ、話があるから来てやったが一体何の用なのだ?私は『組織』では色々と忙しい立場で抜け出して来るの大変だったんだからな!」
「まあまあ、そう慌てずに…甘いの好きなんでしょう?おごってあげますから、話はそのあとで♪」
「むう、スイーツか…まあいいだろう。」
-ダークカイザーはどうやらソードカイザーに呼ばれて、自分が所属している悪の組織『ブラックジェネシス』の幹部や部下達に『最近腰が悪いから病院行く』などと下手な嘘ついてまで抜け出し、此処に来たようだが、肝心のソードカイザーの目的がなんなのか未だに解らないままだった。
-敵対しているソードカイザーからの友達感覚の呼び出しに戸惑いつつも、彼の『甘味をおごる』という言葉を聞き、極度の甘党であるダークカイザーはそれに反応し諦めたかのように席に着く。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「あ、僕はチョコレートパフェで、こっちの黒い人にはジャイアントストロベリーパフェタワーツインマキシマムで。」
「なにそのサービス精神旺盛なおごりメニュー!?なんか後が完全に怖いんだけどッ!!」
-ウェイトレスが注文を聞いてきたためソードカイザーはチョコレートパフェを、ダークカイザーにはこの喫茶店自慢の超ビッグサイズのジャイアントストロベリーパフェタワーツインマキシマムを注文した…ダークカイザーはソードカイザーのあまりの太っ腹ぶりに冷や汗を滝の様に流し、不安をあらわにする。
「お待たせ致しました〜♪」
「さ、お好きなだけどうぞ♪」
「デカッ!?なにこれ!もうデカ盛りとかそんなレベルじゃないよね?むしろバカ盛りだよね!?」
-それから程なくして、ソードカイザーには通常サイズのチョコレートパフェ、ダークカイザーにはイチゴにアイスクリームに生クリーム、チョコレートにウエハース、さらには花火などでアホかと思うくらいたっぷりデコレーションされたまさにスイーツのタワーとしか言いようがないジャイアントストロベリーパフェタワービッグマキシマムがテーブルへと運ばれる、こんな豪華なものを宿敵におごられ、ダークカイザーは『やはり何か裏があるかも…』とますます不安になってきた。
「…で…モグ…話ってのは…ハフハフ…なんだ?バリバリ…」
「なんだかんだで喜んでくれて何よりです♪実はダークカイザーさんには折り入って頼みがあるんですが…」
「はて?頼み…とな?言ってみろ」
-だがしかし、それはそれ、これはこれ、ジャイアントストロベリーパフェタワービッグマキシマムを実に美味そうに頬張るダークカイザーを見てにこやかに笑うソードカイザーはいよいよ本題…ダークカイザーにある『頼み事』を聞き入れてもらえるかどうかを尋ねてみた、ダークカイザーは一応おごって貰った分の義理は返すつもりかその頼み事を意外にも聞いてくれるようだ。
「僕を組織に入れて欲しいんです♪」
「ほうほう、なるほど…組織に入りたいと…って、え?は?えっ?ええ…???」
-…今、目の前のソードカイザー(コイツ)はなんと言った…?
「ソ、ソードカイザー…お、おまっ…今、なんて…?自分で何を言ってるのか…」
「はい、もちろん理解してますとも♪つまり、早い話、僕をダークカイザーさんの仲間にして欲しいってことなんですよ♪」
-ダークカイザーは聞き間違いであって欲しいと願ったが残念ながら自分の耳はまだ正常な様だ…むしろ異常なのは、ソードカイザーの予想外にも程がある頼み事の方だ。
「…はぁああああああああああああああああ!!?」
-まさか自分の宿敵が自分の所属している悪の組織に入りたがるなどと誰が想像出来たか?いや、出来ない…ダークカイザーは店内にも関わらず、思わず驚愕の絶叫を響かせた。
「?僕が何かおかしなことでも?」
「お・か・し・い・わ!!」
-不思議そうに小首を傾げるソードカイザーに当然ダークカイザーからのツッコミが入る。
「いや…いやいやいやいやいやいや、何があったのッ!?ねえ!?どういう風の吹き回し!?いやもう風通り越して嵐だよ!台風なんだけど!?」
「どうもこうも、そのままの意味ですけど…?」
「おまっ、お前!一応正義のヒーローだろが!それが何?悪の組織入りたいだぁ!?本当に何があったの?何がお前をそうさせたの!?」
-ダークカイザーのツッコミの嵐は止むことを知らない。
「何があったって…まあ、僕にも思うところがありまして、ちょっとした心境の変化ですよ。」
「バカだろお前!バ・カ・だ・ろ!!心境の変化って何!?人気アイドルがいきなり引退して田舎で農業始めちゃうくらいビックリな変化なんだけど!!」
-ダークカイザーはただただソードカイザーに翻弄されるばかりだった
-その後もダークカイザーがいくら理由を問いただしても、ソードカイザーは『心境の変化』、ただそれだけの一点張りで、何故自ら裏切り者の名を受けて正義を捨てて戦う男になりたいかという理由そのものに関しては完全にはぐらかしたという。
「んもー、心境の変化って言ってるのに〜…お固いなぁ〜」
「くどい…私が聞きたいのは『理由』であって『言い訳』ではない、お前の言ってることは正直目茶苦茶だ、ちゃんとお前の口から理由を言わない限りは信用出来ん。」
-『心境の変化』などと言い訳にはなっても、確固たる理由には決してなり得ない…言い訳は下手な嘘の表れ、理由は本心からの真実の表れ、その本心を見せない様な奴を信用出来ないのだろう、このままこのやり取りをまだ繰り返す様ならばダークカイザーはソードカイザーのブラックジェネシス加入を断るつもりだったが…。
「理由は今は言えません…ですが僕が組織に入りたいという決意は嘘じゃありません、その証拠を見せてあげしょう…一週間後、罰天堂商店街に来てください。」
「…その時に話すつもりなんだな?」
「はい。」
「…もしもそれがお前の…私を倒すための罠だとしたら?」
「信用出来ないなら、怪人でも戦闘員でも連れて来ても構いませんよ?」
「…いいだろう、待ってやる、一週間後まで…。」
-…どうやらソードカイザーにはダークカイザーを騙そうなどという気持ちはノミの毛程も無い様だ、それでもダークカイザーは用心深く、約束の一週間後を待つことに決め、本日はこれでお開きとなった…。
-時は流れ一週間後…罰天堂商店街にて。
「そ、それで我々を連れてきた訳ですか…。」
「ああ、奴が少しでも怪しい素振りを見せたら…殺れ、私が許す。」
「りょ、了解しました…。」
「「「ギーッ!!」」」
-ダークカイザーはソードカイザーに言われた通り、信用出来ないので、いつでも殺せる様に組織から怪人二名…『熱砂の毒蛇』と恐れられている蛇型怪人・クレイジースネークと『鋼鉄の暴れ牛』の異名を持つ水牛型の怪人・マッドバッファロー、そして骸骨の様な仮面と黒い軍服が特徴的な戦闘員・コマンドスケルトンを三名を連れて、罰天堂商店街へとやって来たのだ。
「ダークカイザー様、首領が帰る時にお肉屋さんのコロッケ買って来いって行ってました」
「なるほど、つまり今夜の夕飯のおかずだな…流石は首領、素晴らしき計画だな」
「あの店のコロッケ、安くて美味いから好きっス。」
「「「コロッケ!コロッケ!キキキーッ!!」」」
-…どうやらブラックジェネシスの首領から買い物まで頼まれてたらしい…ちなみにこの商店街で自営業を営んでる大崎さん(49)が経営する肉屋『血深泥』の一個50円のコロッケは主婦や学校帰りの学生、そしてブラックジェネシスの構成員も詰め寄る程大人気商品である。
「やあ、皆さん♪お揃いで♪」
「…来たか」
「ソ、ソードカイザー!?」
「野郎…!!」
「「「キェエエエエ!!」」」
-…と、呑気に話し込んでるところでようやくソードカイザーの友達感覚な呼びかけでブラックジェネシス一同は振り向き、身構える。
「さあ…約束通り、貴様が我らブラックジェネシスに入りたいという決意の証明とやらをしてもらおうか。」
「その点に関しては御心配なく♪『準備』はもう出来てますので♪」
「「「…『準備』?」」」
「フフ♪少し歩きましょうか。」
-後にダークカイザーはソードカイザーの誘いに乗った事に激しく後悔することになる…。
-『嗚呼…今思えば、何故あの時、喫茶店で頼み事された時点で断らなかったのだろうか…?』…と。
-罰天堂商店街・東口通り。
「…おかしいな、なんでこんなに静かなんだ…?」
「人の気配が全く感じられませんよ…。」
「普段なら麻薬打ってラリッてる高校生とか不倫関係にある若妻とエロ親父が路上でセッ○スとかしてるのになぁ…」
-ダークカイザー達は不審に思った…昼間だというのに、人っ子一人いないのだ、いつもならば色んな人種が賑わうハズなのに…まるでそれが嘘みたいに、商店街全域がゴーストタウンの様に不気味な雰囲気を纏いながら静まっているのだ。
「クスクス…さあ、見えてきましたよ♪アレを御覧くださいませ♪」
「アレ…?ぐっ…!?」
「うげぇええええええ!?」
「。」
「「「ゲレロロロロロ!!」」」
-ソードカイザーが何かを指差したため、ブラックジェネシス一同が『ソレ』を見た瞬間…ダークカイザーは全身の血の気が引き顔を青褪めさせ、クレイジースネークは驚きのあまり思わず脱皮してしまい、マッドバッファローは失禁して股間を黄色い液体で濡らし、コマンドスケルトン達は嘔吐物のシャワーで汚い虹のアーチを描いた。
-ソードカイザーがブラックジェネシス達に見せた物…それは…。
-路傍にいくつも並べられた木材で出来た台(しかも桐)に…数え切れない程…まるで晒し者の如く乗せられた、力ずくで捩切られた様な痕跡がある人間の生首だったのだ…。
-しかも、その生首全てから目玉・鼻・唇・歯・耳…顔を構成する全てのパーツが刔り取られて赤い汚濁を垂れ流し、髪は一本残らず引き千切られ、顔の生皮も無理矢理剥がされた形跡があるため筋肉組織が剥き出しであり、そのせいか年齢も性別も…それどころか人間であるかどうかさえの判別など到底出来ない状態にされていたのだ。
「おまっ…こ…これ…は…げぼぉああああああああああああ!!」
「気に入ってくれましたか?ああ、知りません?その昔、江戸時代では罪人の首をこうやって晒し首に…。」
「そんなレベルじゃねーーーんだよ!!この惨状は!!どんな決意の証明だ!?やり過ぎだ!!」
-路上をゲロで汚すダークカイザーを介抱するこの鬼畜はこれだけのことをやらかしといてニコニコ笑いながら淡々と何か…証明がどうとかを語りやがったが、一同は最早それを聞くどころではなかった。
「何故だ!何故なんだ!?ソードカイザー!!何故…正義の剣士であった貴様が…何故このような鬼畜生にも劣る所業をっ…!!」
-ダークカイザーは仮にもこれまで幾度ともなく戦ってきた宿敵の…あまりにも突然過ぎる豹変ぶりに言葉を荒げながらその理由を問いただしたが…。
「あの…そちらの怪人の方がその…お漏らししてますが…。」
「…マッ、マッドバッファロー!?」
「うわっ!!大変だ!?しかも気を失って…!!」
「「「オゲェエエエエ!!」」」
-またもはぐらかされた…別の話題(マッドバッファローのお漏らし)で肝心の話を反らすという暴挙に出たのだ。
「大変だ、おトイレでキチンと処理した方がいいですよ!ここからすぐそばですから、さあ早く!!」
「す…すまん、な…ッ!?」
-ソードカイザーはマッドバッファローを気遣い、近場の『トイレ』に案内した…そう。
「フグゥッ…」
「ゴガ…モゴゴゴ…」
「ガグガグ…」
「「「。」」」
-路上に大勢並べられている…顔には目隠しと口枷用にギャグボールを噛まされて呻き声を上げる、全裸にラバーの拘束衣姿、四肢を切断されて達磨の様になった…『犯してください』という看板を首に提げてる『肉○器』に案内され、ブラックジェネシス達は驚き過ぎて言葉を失ったようだ。
-ちなみにこの肉○器…主に20〜10代の若い女性が中心だが、中には10歳以下の幼い少女まで…。
「さあ、好きなのどれでも選んで処理してくださいよ♪」
「どっちの意味で…?普通の意味?それとも性的な意味で?」
「深く考えるな!マッドバッファロー!!」
「「「ウケケケケケ!!」」」
「「「オンオンオンオンオン!!」」」
「おい、やめろ!戦闘員達!!性的処理すんな!!しかも幼女に!!」
-こともあろうにこのソードカイザー…だった悪魔はマッドバッファローに肉○器で『処理』をしろとおっしゃった…ちなみにコマンドスケルトン達は嬉々としてロリの肉○器で真っ先に性的処理をしていたがクレイジースネークに止められた。
-その後も、ブラックジェネシス達は悪の組織所属の自分達よりもタチが悪い悪人ぶりをまざまざと見せつけるソードカイザーの案内によって、悪夢の様な光景に彩られた商店街という名の地獄を巡る旅をさせられた…。
「「「ピチャクチャ…ハフハフ!!」」」
「「「ギャー!ギャアー!!」」」
-道端や店の壁には飛散した鮮血や臓物がベッチャリと付着し、当たり前の様に地面に転がってたりゴミ箱に入れられてる全身バラバラの死体から屍肉や目玉を貪り喰らう野良犬やカラス達。
-腹から胎児を無理矢理刔り取られ野垂れ死にする妊婦に、その妊婦から摘出され首に縄をかけられた状態で吊された胎児…。
-生前座っていたと思われるベンチごと全身が炭化するまで燃やされた老人達の焼死体…
-他にも色々あったが、説明することさえ不可能な、あまりにも凄惨かつ吐き気を催す物があり過ぎるためこの辺はカットさせて頂く。
「どうです?これで僕がブラックジェネシスに入りたい決意が解りましたか?」
「もうやめて!我々のゲロはとっくにゼロよ!!」
「戦闘員達は?」
「どうせまだ肉○器とヤッてんだろ。」
-ソードカイザーなりの誠意をこれでもかと見せつけられたダークカイザーは吐き出すゲロさえ尽き、精神的に参ってしまった…尚、いつの間にかコマンドスケルトン達がいない、相当気に入ったのか、未だに肉○器のところから離れてなかったのだ。
「解った!お前の誠意と殺る気はビシバシ伝わった!組織入りどころか余裕で幹部待遇だよ!!」
「いやいや、最後に見てもらいたいものがもう一つあるんですが…」
-ソードカイザーはそう言いながら、道端に転がる腐乱死体を避けもせずに踏ん付けながら、ダークカイザー達を最後にある場所への案内を始めた。
「これ以上ナニ見せるつもりなんだよ!お前!!」
「生きたままコンクリ詰めにされた小学生とか十字架に全裸磔にされた人々が槍で大切な部分を串刺しにされたりとか色々見たが…。」
「埋められて首をノコギリで少しずつ少しずつ処刑人らしき怖い人に切り刻まれる幼稚園児とかいたのにまだあるのか!?」
-あ〜…あ〜…聞こえない、ナニも聞こえない、なんかヤバいワードが聞こえてきたが、ナニも聞こえませーん。
-場所は移動され、先程居た罰天堂商店街から歩いて十数分先にある、ソードカイザー達が暮らしている『第六天魔市』が誇る大病院・獄門天病院。
「着きました♪」
「あれ…おかしいな?目が悪くなったのかな?」
「病院って…。」
「こんな赤一色なところだったっけ?」
-『赤い』…病院はクリーンなイメージの白のハズなのに病院の外も中も全体が不自然なまでに真っ赤っかなのだ。
-皆様、御覧くださいませ♪外に見えるのは真っ二つに割られて逆さになった救急車の下敷きになる救急隊員、局部を切り取られ全裸で窓にてるてる坊主みたいに首を吊される医師やナースの死体、車椅子に座った病人が顔面にメスなどを大量に突き刺されており、花壇にはかわいらしい新生児が頭に花を植えられた状態で生き埋めにされてます♪
-中に見えるのは、手術するわけでもないのに頭と腹を切開されて脳漿と臓物全て取り除かれた入院患者、タコみたいにフニャフニャになるまで叩きに叩かれる暴行を加えられた骨折患者、無論全員死んでまーす♪
「嗚呼ァア゛アア゛アアア゛アアアア゛アアアアァアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ク…クレイジースネーク!落ち着け!!気をしっかり持つんだ!!」
「本当の意味でのクレイジーになっちゃダメだ!!」
「ゲキョーーーーーーーー!!オケ!オケケケケケケケケ!!ムッキャーーーーーーー!!アジャパーーーーー!!」
「「…クレイジースネーク…。」」
-あまりの残酷極まりない光景の連続で遂に耐えられなくなり、クレイジースネークの精神は見事に破壊され、奇声を上げ、ヨダレを撒き散らし目を充血させながら何処かへと走り去って行った…最早、ただの異常者に成り下がってしまった彼の豹変ぶりを見てダークカイザーとマッドバッファローはその姿に涙を流す…。
「我々が…我々が何をしたというんだ…。」
「この拷問は…一体、いつまで続くんだ…」
-辛うじて正気を保ってソードカイザーの地獄巡りに着いて行けてはいるが、ダークカイザーとマッドバッファローの精神がガリガリ削られまくってるのは言うまでもない、下手をしたら彼らもクレイジースネークの二の舞になりかねないだろう…今はただ、ソードカイザーに最後まで付き合うしか方法は無かった
「さあ、長い長い僕のブラックジェネシス入団決意表明ツアーもいよいよラストが近づいてきました♪ここが最後の見所DEATH♪」
-げんなりしてる二人の気持ちなど知らずにソードカイザーはそれとは正反対の、この血塗られた惨状に似つかわしくない陽気なノリで最後の見せ場…院長室へ案内した。
-獄門天病院・院長室。
-そこで見たものは…今まで見たものの中でも、最もショッキングなものだった…。
-ドアを開けた次の瞬間、バヅンッ!!…という何か堅い物が切れた音が聞こえたと同時に部屋の奥から赤い噴水が縦ではなく横向きで噴き上がり、マッドバッファローの顔面にベッタリと返り血が降りかかり、哀れ血塗れに…。
「ヒッ…!?ぎゃあああああああああ!?」
「マッドバッファロー!?まっ…待て!私をこの生き地獄に一人にしないでくれぇええええええ!!いや、割とマジで!!」
「オピョォオオオオオ!!ポポポポポポポポォオオオオオオオ…お。」
「マッドバッファロォオオオオオオオ!!」
-マッドバッファローは返り血とはいえ、血塗れになった自分の姿にとうとう自我が崩壊し、本当の意味で狂乱と化した…彼もまたヨダレを垂れ流し、明らかに正気ではないイッちゃった目つきになり、訳の解らない奇声を上げながらダークカイザーを置き去りにし、そのまま廊下の窓を突き破り、運悪く転落死してしまったのだ。
「うぐ…!?こ…この娘は確か…!!」
-ダークカイザーは院長室で見たモノ…部屋の真ん中にセットされたギロチンで首を落とされ絶命してる一人の人間の女性の姿に驚愕した、それもそのハズ…何故なら彼女はソードカイザーの恋人・広淫子であったからだ
「お前…まさか自分の恋人まで…。」
「はぁ?なにがですか?これがですか???これはタダのゴミですよ、ニオイもアソコも臭っせー、汚い生ゴミです」
「…なんだと!!」
-ダークカイザーはソードカイザーの明らかに死人を冒涜した様な発言に怒りが沸き上がった…ダークカイザーは別に広淫子に特別な感情などないが、他人はおろか自分の大切な人までをも平然と手にかけられるソードカイザーのこの世のどんな大罪人も真っ青な残虐行為は間違いなく許されるものではない
「この生ゴミが僕の『ブラックジェネシス』に入るキッカケになったんですよ、そういう意味では、まぁ…多少は感謝してあげましたけど、ねぇッ!」
-ソードカイザーは尋ねもしないで淡々と組織に入りたがっていた理由を語りはじめ、広淫子の生首を掴んで外へ投げ捨て、専用武器『聖天剣・ヘヴンズカリバー』から放った光の斬撃波で木っ端微塵に、さながら血の詰まった水風船が割れたのと似た様子で破裂した
「僕達は将来を誓い合った仲だった、『ブラックジェネシス』との戦いが終わった後は…どんな時も片時も離れず、共に暮らそう、そう約束したハズだったが…裏切られた。」
「…。」
「彼女には他に男がいたんですよ…この病院の患者で、しかももってあと数ヶ月足らずのくたばり損ないでしてね…。」
「……。」
「僕は正義と人々の信頼、金や多少の権力だってある…!平和になれば輝かしい未来が約束されてる!されてるのにッ!!彼女は…あのクソビッ○はそんな僕の足元にも及ばない、未来も生きてる価値も無いゴミを選びやがったッ!!」
「………!!」
「僕は彼女を問い詰め、言ってやった…『そんな死に損ない放っておけよ』って、そしたらあの腐れ×××なんて言ったと思いますか?ねぇ?『あなたには弱い人の気持ちが解らないんですか!?』『あなたはいつからそんな人になったの!?』…って…はっ?はぁっ?ハァッ!?意味解んねーよ!?超意味解んねーよ!?ワッケ解んねェしッ!?他の男作ったのを棚に上げて!!ふっざけんな!ふっざけんな!ふっざけんなァアアアッ!!」
「………ッ!!」
「僕を…オレを…オレ様を誰だと思っていやがるゥウウウウウ!?剣の勇者・ソードカイザー様だぞッ!?世の中に蔓延る悪共を力が無ェ人間共に代わって正義の名の下にブッチブチに殺しまくってやってんのによォオオオオ!?あの女を含めた他のビチグソ共が平和に暮らせるのは誰のおかげだ!?ああん!?このオレ様だろがァッ!!ソードカイザー様のおかげだろがァアアアアアアアア!!」
「……………ッ!!」
「もうあんな女のために尽くす意味も!正義として戦う意味も無ェからよォ!でもただ戦うのをやめるだけじゃシャクだからよォ!!あのヤリ○ンビッ○とくたばり損ない、そしてついでにムカついたから、クソな街の連中をまとめて全員、皆殺しにしてやったんだよ!このオレ様が!!あの世で光栄に思えってんだよ、豚が!!これだけハンパ無ェくらい殺りまくりゃあ組織に入れてくれんでしょ?なあ!?ダークカイザーさんよォ!?キヒッ…ヒヒッ…ヒャハハハハハハ!!ヒャーハッハッハッハッハッハ!!」
「…………………………ッ!!」
-剣の勇者がこれまで築き上げてきた正義のヒーロー像が崩壊してしまった瞬間である…彼の心底汚らわしい戯れ事を一言一句、終始無言で聞いてたダークカイザーは正義とは完全に掛け離れた吐き気を催す様なドス黒い邪悪をこれでもかと見せつけてくる宿敵の狂乱ぶりに一瞬だけ視界が赤く染まった様な錯覚を覚える、そして己の中で怒りを通り越して殺意を激しく爆発してしまい…。
「聞いてます?おーい、聞いてますかって?耳付いてんのか?さっきのオレの話聞いてたか!?コラァッ!だからオレ様を早く組織…に…?」
「死ね。」
「…はっ?へっ…???」
-…気づけばソードカイザーの胸を自分の武器である『堕黒剣・ヘルブリンガー』で刺し貫いていた。
「痛って…痛ってェ、痛ってェ…はい?は?は?は?おいコラ…一体、な…に…して…?」
「黙れ…もう、それ以上顎を動かすな。」
「は?は?は?なんだよ?なんなんだよ?なあ!?」
「聞こえなかったか?死ね…と、言ったのだ。」
「…は…はぁあああああああ!?テメェ!!ふざけんなよ!おい!?よせ!やめろ!やめてくれ!」
「残念だが…お前の入団はお断りだ、否、お前の様な危険分子は我が組織にすら必要無い。」
「な…なあ?冗談よせよ?はは…は…オ…オレ様が何したってんだよ?なあ?今やめてくれたならテメェの命だけは助けてやる、半殺しの全治一生で済ませてやるから…な?だから助けてくれよ?な?なぁ…頼むよ!ダークカイザー…いえ、ダークカイザー様ッ!!」
「頼む、これ以上…私を失望させないでくれ…。」
「金か?金が欲しいのか?いくらだ?いくら欲しい?なあ?そうじゃないなら女か?ならアンタ好みの女抱かせてやるからよ…へへっ…だから助け…!!」
「さらばだ、我が宿敵…ソードカイザーよ…魔剣技『ブラッド・エクスキューション』!!」
「…助、け…げ…げん…げん…げんだっばっ!?」
-罪も無い人々の命を何人も奪っとおきながら、いざ、自分の命が危なくなった途端に下手に出て無様な命乞いをするという三下丸出しな情けない行為を始めたソードカイザーに完全に見切りをつけたダークカイザーはヘルブリンガーの剣身にドス紫色の闇の闘気を込めた必殺の斬撃技『ブラッド・エクスキューション』を発動し、ソードカイザーに対して文字通り『処刑』を執行した
「…」
-最早、原型すら留めてない、さっきまでソードカイザーだった肉塊を呆然と見下ろすダークカイザーは泣いた…ただただ泣いた、泣いていた…どうしようもなく虚しい、こんな形であっさりついた決着に喜びの感情など無かった、己の心にとめどなく沸き上がる悲しみに涙が止まらなくなった
-その後、心に決して消えない深い傷を負ったダークカイザーは組織に辞表届けを出し、残りの余生を実家のスイカ畑で働くことに使っているという…
-光と影、陰と陽、善と悪…決して交わることのない二つの刃の戦いはこうして幕を閉じた
どうも皆様…まず最初に言わせてもらいます。本当にごめんなさい…
最初はギャグにするつもりがグロとバイオレンスに満ちあふれ、悪意の塊(主にソードカイザーのせい)みたいな作品になってしまい、また、書いた本人である私ですら思わず『なんてことをしたんだ』と激しい自己嫌悪に陥り、泣きそうになりました…だが今は気にしていないという(オイ)
ソードカイザーは当初はただ単に正義のヒーローでありながらも悪にも憧れてるというだけにするつもりがいつの間にかドス黒い感情が渦巻く外道に…どうしてこうなった(汗)
逆にライバルのダークカイザーは彼を成敗してしまったり…悪ってなんだろうか…
以下、作者の妄想
ソードカイザー(イメージCV:神谷浩史)
ダークカイザー(イメージCV:杉田智和)
クレイジースネーク(イメージCV:沼田祐介)
マッドバッファロー(イメージCV:小山剛志)
それではまた、どこかでお会いいたしましょう、槌鋸鮫でした