78話 VSゴリスター
28日4~7時更新、注目度ランキング66位らしいです
どういう計算でランキングされてるんでしょうね?
何にせよ、閲覧ありがとうございます!
こういった小さな事がモチベーションUPに繋がります
「ぬん! ふん!」
ステージに向かうと、ボディビルダーがよくやるようなポーズをとっているゴリスターが待ち構えていた。
「……」
ああいうポーズって、全てに何かしらの名前があったと思うんだが……マッチョに興味はないのでほとんど知らない。
確か、サイドチェストとかそんな感じのやつあったよな? あったっけ?
「さぁ準決勝第1試合を始めたいと思います! 両者構えてください!」
ま、そんなことはどうでもいいか。まずは試合に集中しなくちゃな。
俺はナイフを取り出し、クルクルと回してから握る。
ゴリスターもポージングを止めて構えた。
防具らしい物は装備しているように見えないが、あの筋肉にも防御力がありそうだ。
それに、あの筋肉から繰り出される攻撃には注意しないとな……あの筋肉と対峙してからずっと、頭の警報が鳴っているのだ。あれはヤバいと。
拳にはメリケンサックのような物が見える、遠くからしか見ていなかったので分からなかったが、あれが武器っぽい。
「それでは始めます! レディーーーッ、GO!!!」
準決勝第1試合が始まった。
「最初から本気で行かせてもらうぞ! パーフェクトボディ! ぬんっ!!」
「!?」
筋肉が更なる膨らみを見せた、熱気のようなものも若干見える。
「ワシの一撃、とくと見るがよい! ふん!!」
ゴリスターは真っ直ぐ俺に向かって駆け出した。
「は、速い! アイスウォール!」
あの肉体からは想像も出来ないような素早さに驚き、俺はアイスウォールを発動して防御壁を作り出す。
「この程度、壁にもならぬわ!!」
ゴリスターが振り抜いた拳が、俺のアイスウォールを一撃で粉砕した。
「一撃!?」
やはりというか、やっぱりというか。
あの筋肉や今までの試合からして、攻撃力は今まで出会った人の中で1番だろう。
「身体強化! アクセルブースト!」
一撃でも貰うとやばいと感じた俺はゴリスターから距離を取って安全マーチンを取って魔法を繰り出す。
「ファイヤーアロー!」
ファイヤーアローを何十と生成して乱射する。
今までに氷、聖、雷を披露しているが、これだけでゴリスターを倒せるとは思えず、4つ目の属性である火魔法を使うことにした。
「ふっ、ぬおぉぉぉぉぉ!」
ゴリスターは火なんてものともせず、ファイヤーアローを全て殴り落とした。
「嘘だろ、熱くないのか!?」
「熱さなぞ、この肉体には無意味ッ! アースクエイク!」
ゴリスターが地面を拳で殴りつけると、地面が震えだしてうねり出す。
「おわっとっと」
思わずバランスを崩しそうになるが、ジャンプをして体勢を立て直す。
地面のうねりの頂点に着地して再度ジャンプ、狼らしくぴょんぴょんと跳ねながらアースクエイクを回避してゴリスターに詰め寄る。
「ぬぅ、やりおる!」
「アクセルブースト!」
加速して詰め寄る俺に警戒して拳を構える。
俺はナイフに風魔力を纏わせて攻撃力不足を補う。
「はあっ!」
「ぬうん!」
首を狙ったナイフと拳がかち合うが、拳のパワーに負けてナイフが弾かれた。
「ぐっ!?」
ナイフが場外へと吹き飛んでしまい、武器が残りナイフ1本になってしまった。
「あ、アクセルブースト!」
俺はアクセルブーストを発動し、ゴリスターから距離を取る。
物理攻撃に拳を合わせられてしまうと勝ち目がない。
武器はナイフ1本のみ……これを失えば魔法で攻めるしかなくなる。
「シャープネス、スピリム、ブーストマジック」
バフの3つを素早く掛ける、最悪また魔力を練る必要がありそうだ。
「ぬぅん!」
ゴリスターはまたしても地面に拳を叩きつけると、丸い岩が生成されて浮き上がる。
「ふん!」
浮き上がった岩を殴りつけて弾丸のように飛ばしてきた。
「うおわっ!」
身体を後ろに逸らしてギリギリの所で避けられた。
すぐさまバク転してすかさず体勢を立て直すと、いつの間にかゴリスターが目の前まで迫っていた。
「しまっ!」
「ぬおぉぉ!」
拳が目の前までやってくる、魔力を練り上げる暇がなくてアブソリュートフローズンが使えるかが分からないが、咄嗟に魔法をイメージして発動させる。
「アブソリュートフローズン!」
無事に魔法は発動し、氷の壁が突き出した手の前に配置された。
しかし、体内の魔力がごっそり持っていかれた感覚に陥る。
「ぐうっ、身体が……」
そうしている間にアブソリュートフローズンに拳を叩きつけたゴリスター。
「なぬ!? 貫けぬか!」
アイスウォールでは耐えられなかったゴリスターの一撃も、アブソリュートフローズンなら持ち堪える事に成功した。
しかしながら、魔力を練り上げていなかった事により予想以上の魔力が根こそぎ持っていかれてガス欠状態へ。
「やばい……これは暫く封印……だな」
俺はよろめきながらも、拳を突き出し続けるゴリスターの攻撃を踏ん張って耐える。
足が少しずつ地面を抉りながら後退していく。
「くっ……」
「ぬぅぅぅぅぅ!」
ゴリスターは5回程殴るが、まだ持ち堪える。
「ならば! ワシの奥義を見るがよい!」
「!?」
ゴリスターは1度俺より離れて地面に両手の拳を叩きつける。
すると土が形を変えて、大きい拳へと変化していく。
「これを避ける奴は居っても、喰らって耐えられた奴はおらぬ! 喰らうがよい!!」
ゴリスターが自分の拳と土で形成された大きい拳2つで、俺のアブソリュートフローズンに殴りつけた。
俺にはもう、避けるという力が残っていなかったのだ。
そして、俺のアブソリュートフローズンは……一瞬の内に粉々に粉砕され、拳が俺の身体に直撃した。
「っ」
普通なら痛みで叫ぶだろう……しかし、これはその次元を超えていた。
防御力の低い俺が、攻撃力が馬鹿みたいに高い奴に本気の攻撃をもらったんだ、痛みを通り越して声を出す事すら出来ずに気を失い、場外へ弾き出される。
「こ……コウガさん!」
応援席で見ていたミツキが真っ青になってステージへと駆け込んだのだった。
俺が目を覚ましたのは、もう夜の10時だった。
ミツキの家に運ばれて、ベットに寝かされていたみたいだ。
ゆっくり顔を横に向けると、カエデがベッドの縁で頭を寝かせて寝ていた。
どうやらちゃんと目覚めたみたいだ、良かった……と思っていたのだが、寝顔が丁度見える位置だったので気付いてしまった。腫れぼったい目をしていることに。
俺は腕を動かしてカエデの頭を撫でる、するとハッとカエデが頭を上げてこちらをみた。
「ご、ご主人様!!!」
カエデに思いっきり抱き着かれた。
「良かった……目が覚めないんじゃないかって……思って……うわぁぁぁぁぁん!」
カエデは俺の胸に抱きついたまま号泣、俺は優しくその頭を撫でる。
その泣き声が聞こえたのか俺が居る部屋にミツキやメイラン達がドタバタと入ってきた。
「コウガさん! 目覚めたんですね! 何処か悪い所ありますか!? 痛みは!? 眩暈は!? 耳は聞こえますか!?」
ミツキが珍しく大慌てしている、流石に大袈裟だなと思ったが……よく考えてみれば、夕方4時過ぎから試合が開始し、そこから気を失って今夜10時……最低でも5時間半は目覚めなかった事になる。
そりゃ不安になるよな。
「主、少し落ち着く、コウガが困ってる」
慌てるミツキを制止してくれたクロエ、ほんと強い上に何も無ければ自由な子だが、こういう時は落ち着いているんだよな。
「す、すみません……」
「いや、心配かけたのはこっちだ、みんなごめん」
俺は身体を起こして頭を下げる。
「こ、コウガ殿! まだ頭は上げない方がいい! 激しく身体や頭を打ったんだ、寝ていた方がいい!」
ティナが慌てて俺をゆっくり寝かせてくれた。
「あぁ、ありがとう……俺が気絶した後の話を聞いていいか?」
「分かりました、俺が教えますね……」
話をまとめると、俺が気絶した後に医務室へ運ばれて精密検査をしたそうだ、そこでは異常なしとの事。
そして、個人戦で優勝したのはノシュタールだそうだ。
あの肉体にどうやって勝ったのか気になるが……まぁそれはいいだろう。
本来なら3位決定戦があったのだが、俺が目覚めないのと精密検査があるとの事で、明日の武闘会で最初に3位決定戦をやる事になったらしい。
対戦相手は、グリーンドラゴンのエリスタ……戦う時にブルードラゴンについて聞かないといけないな。
俺が中々目覚めなかったので、医務室からミツキの転移でそのままミツキの家まで直行し、今に至るそうだ。
ついてに、カエデは俺から離れたくないと夕飯も食べていないらしい。
「そうか……ごめんカエデ、心配かけたな」
「うっ……ひっく……ご主人様ぁ……ぐずっ」
「よしよし……」
俺はカエデの頭を撫でて落ち着かせる。
そしてカエデが落ち着いてから、ゆっくりと消化のいい夕飯をメイランより食べさせて貰うのだった。




