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転生したトリマーがもふもふ尻尾なケモ耳娘と旅に出る  作者: ひょーう.CNP


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65話 カエデからの宣戦布告

 Aランク同士の戦いを見た俺達3人。

 2対1の1人側がタンクだったので一方的な展開にはなったものの、対処を知らない人がやれば結果は変わっていただろう。

 一方的な展開になったのは、ティナをよく知るレインとツバキが相手だったからだ。

 俺やメイラン、ソルトの内の2人でティナを攻めようとしても、あの防御を破るのは難しいと思う。


「やはり、よく知る2人が相手だと厳しいな」


 ティナは木陰へ移動し、地面に座って涼む。


「そりゃ手の内なんて筒抜けだものね。とはいえ、ツバキの魔力を奪う札か魔力消費させて解除させるくらいしか対処がないのよね、ティナのあれは」


 ティナの防御性能をよく知るレインは、その強さに呆れて肩を竦めた。

 そんな中、ツバキは闇の空間からポーションを取り出した。


「魔力ポーション、飲んで」

「あぁ、ありがとう」


 ティナはツバキから魔力回復させるポーションを受け取りがぶ飲みする。

 Aランクの2人ですら、力を解放したティナの防御を破るのは難しいようだ。

 ただ、最初の盾を吹き飛ばした辺りはとても参考になった。

 盾は正面からの衝撃には強いが、それ以外の角度からの攻撃には弱いっぽいよな。

 ツバキとレインのやっていた連携を参考に、タンクの盾を破るイメージは何となく掴めたと思う。


 それにしても、ティナの放ったあのオーラは魔力だ。仕組みは全く分からないが、あれだけくっきり見える魔力を放出して防御に使うとなれば、ティナに備わる魔力量は凄まじいと伺える。

 メイランの特訓でも、ツバキが糸に魔力を目に見えるくらい色濃く流していた、ツバキも恐らく魔力量は多いと思われる。


「そういえば昼からミツキが来てないが……」


 見渡してもいつも居る場所にミツキが居ない、ヴィーネもだ。


「昼からやりたい錬金があるって言ってたわ。来れない分、ツバキの闇の空間にポーション大量に入れてあるから大丈夫よ」


 レインがそう答えてくれた。今思えば一昨日から錬金してないだろうから、今仕事をしてるんだろうな……少し悪い事したか。


「気にしてる顔だな? だが、心配は無用だぞ。いつもこんな感じで急に錬金をやりだしたり、1日のんびりしてたりしているからな」


 ティナが言うにはいつもこんな感じなんだそうだ、それなら良かった。


「さて、次はコウガ達の番だ」

「連戦になるが大丈夫か? 休憩してもいいんだぞ?」

「ふふ、舐めるでないぞ! 体力には自信があるんだ」


 盾を持ちながら肩をグルグル回すティナ、盾の重さなど気にならないと言わんばかりだ。


「なら俺、メイラン、ソルト、それぞれの組み合わせで連戦頼むよ、あのオーラは無しで頼む」

「了解した、キツそうだが臨む所!」


 特訓は夕飯が出来上がるまで続いた。

 最初の内はティナも余裕な表情を浮かべていたが、時間が経つにつれて俺達もタンク攻略への要領が分かってきたのか、ティナを追い詰める場面が増えてティナの顔も険しくなる。

 そしておやつの時間になる頃にはティナの体力が限界になりノックダウン。

 おやつ休憩を挟んで再開する頃にはティナの体力は回復していたものの、夕飯前には再度ダウン。

 途中でレインとツバキのサポートは入っていたがきつかったようだ。


 夕飯前、クロエとカエデとシェミィが帰ってきた。


「ただいまー!」

「おかえりカエ……って、みんなドロドロじゃないか!」


 クロエは綺麗なままだったが、カエデもシェミィも土を被ったのかドロドロだった。怪我は無いようだが……一体どんな特訓してたんだろう?


「えへへ……ほんっっっっっっと特訓きつかったよ。でも、すっごく強くなったよ!」

「ん、2人共凄く強くなった。特にカエデは凄い伸び代だった」


 クロエは自信満々にカエデが強くなった事をアピールしていた。


「なるほど、これは個人戦が楽しみだな」

「ご主人様に成長を見てもらうの楽しみ!」


 カエデもこの特訓が充実した物になったんだな、クロエに任せて良かった。


「カエデ、シェミィ、お風呂行こ」


 クロエがカエデをお風呂に誘っていた、確かにこの状態でご飯は無理だよな。


「お風呂の準備は出来てます、カエデ様とシェミィ様もどうぞ」

「ヴィーネさんありがとうございます! シェミィ行こっか」

「にゃっ」


 クロエ、カエデ、シェミィはお風呂に入りに行った。

 その後は夕飯もミツキの家でご馳走になって、そして俺達もお風呂にも入らせてもらって、湯冷めする前に帰る事となった。


「なぁミツキ、クロエや商人に渡してある通話出来る魔道具ってまだあるのか?」

「あぁ、スマフォンですね? ありますよ! というか昼からこれ作ってたんですよ、コウガさん達に渡したくて」


 ミツキがストレージからスマフォンを4つ取り出した。

 ネーミングからしてそうだとは思ったが、よく見てみると再現度が凄い。大きさがよく知るものより小さいだけで、本当にみたまんまスマホだった。


「4つ渡しておきます、皆さんで使ってください」

「良いのか? 部品代や錬金するのにだって技術料とか……」

「要りませんよ、友人からお金を取るなんて真似は出来ません」

「しかしだな……」


 困っていると、クロエが俺の手を取ってスマフォンの所へと誘導した。


「貰っておくといい、クロもカエデと連絡したい。主がお金要らないって言ってるならそれでいい」


 クロエがそういうなら頂こうか……あまり断り過ぎたら逆に困らせるか。


「……じゃ、遠慮なくもらうぞ?」

「はい、連絡先は俺達全員分、全て中に入ってます。魔力を流して誰に繋ぎたいかイメージしすると繋がりますが、スマフォンの操作でも繋ぐ事も出来ますので両方で慣れておくといいです。ちなみに魔法袋やストレージに入れていても、連絡が来たらすぐ分かるようになってますよ」

「なるほど、了解した! ありがとうな」

「いえいえ、いつでも連絡してください」


 俺はミツキからスマフォンを貰い、一旦俺のストレージの中へ入れた。


「みんなにアイテム袋を買うから、その時に渡すぞ」

「りょーかい! クロエちゃん、また連絡するね!」

「ん、待ってる。明日からの武闘会頑張って、みんなで見に行くから」

「うん!」


 カエデとクロエがハイタッチ。


「コウガ殿、メイラン殿、ソルト殿、カエデ殿。みんなの活躍を期待しているぞ」

「私達と戦って学んだ事を活かしなさい」

「頑張って」

「コウガ様御一行のご活躍を願っています」

「あぁ、頑張ってくるよ。それじゃまた明日な」


 4人から激励を貰った。ツバキの淡白な返事の中に、ちゃんと気持ちが入ってるのも知っている。

 俺達はミツキの周りに集まって、転移の為にミツキに触れる。


「では行きますね、転移!」


 俺達はミツキの転移で宿に近い細路地まで送ってもらった。


「では皆さん、武闘会頑張ってくださいね」

「あぁ、自分達がどれだけやれるか確かめてくる」

「はい! では、また明日」

「また明日な」


 ミツキは転移で家に帰って行った。


「さ、帰るか」

「うん!」


 俺達は1日ぶりに宿屋へ戻ってきた、同じ宿に泊まってるカリオンさん達は元気だろうか?

 夜遅くなってしまった為、カリオンさん達の部屋には寄らずに自室へ。


「お風呂も向こうで頂いたし、もう寝るだけね」

「そうっすね」


 メイランとソルトはベッドに転がりゆったりタイム。


「ねぇご主人様、ちょっといい?」

「ん? なんだ?」

「ちょっとこっちに……」


 カエデが手招きして、連れて行かれたのは宿の裏庭だった。

 俺とカエデは暗くなった裏庭で向かい合う。


「どうした?」

「明日から武闘会だね」

「そうだな。明日と明後日が個人戦で、明明後日が団体戦だったか」

「うん、明日か明後日……上手く行けば、ご主人様と戦う事になる。それで3つ約束して欲しい事があるの」

「約束?」


 カエデがこうして俺にお願いをしてくる事なんて今までにはなかった。

 メイランには俺と戦いたいと頼みに行ったみたいだが。


「1つ目、既に遅かったらあれだけど、私との戦いが終わるまでスキルを見ないで欲しい事。2つ目、個人戦の日はシェミィはずっと私が預かる事。そして3つ目、前にも言ったけど身内だからって手を抜かずに本気で倒しに来て欲しいこと……この3つをお願いしたいの」

「なるほど」


 1つ目は見ないようにしていたので問題ない。

 2つ目はシェミィはずっとカエデと共に行動する事。シェミィはカエデがテイムしているので問題ないが……恐らく魔力関連か? たまにシェミィから魔力を借りていたからな、個人戦前にシェミィの魔力を借りたりするのかもしれない。

 3つ目は元からそうする事にしているので大丈夫だな。


「分かった、約束しよう。シェミィの件もきっと理由があるんだろう? 構わないよ」

「ありがとう、ご主人様」


 カエデはクルっと後ろを向いてコツコツと歩いていく。

 それを見ていた俺だが、何か違和感を覚えた。


「……?」


 薄らと魔力みたいな物にカエデが包まれている……?


「私はご主人様に……いや、私はヒムロコウガに……勝ちに行くから」

「!?」


 カエデを纏っていた何かが一瞬だけ膨れ上がって形を変えた、猫の形をした物に変わって消えていった。

 まるで、あの時クロエがやったような、あの猫みたいな……。


「な……んだ、今のは」

「私からの宣戦布告だよ、驚いた?」


 いつもの雰囲気に戻ったカエデ、サプライズに成功したかのような微笑みをこぼした。


「驚いたよ、カエデがこんな事を出来るようになっていたなんて……クロエが仕込んだのか」

「うん、知らない事いっぱい教えて貰って、隠れた力をいっぱい引き出してもらったよ。この数週……いや、この2日間、厳しくて大変だったけどね」


 1日目はそれ程変化はなかったように見えたが、2日目の帰ってきた時の姿は汚れって意味で酷いものだった。

 いったい、この2日間で何があったのか……先程のカエデの姿からは計り知れない。


「こりゃ、思った以上に気を引き締めないといけないな」

「聞いた話、特殊な魔法で死ななくなるらしいから大丈夫だよ。私はね、ご主人様を守る剣になりたかったから……だから、ここまで頑張ったの。私の努力をご主人様に披露するから、楽しみにしててね」

「分かった、楽しみにしてるよ」


 カエデはこの2日間で、見違えるほど強くなって帰ってきた。

 俺を守り、そして剣になると言って……俺の為に強くなってくれた。

 ならば俺は、これに応えなくちゃ男じゃないよな。

 俺も全力でカエデを倒しにいく、俺だってこの2日間頑張ってきたんだから……それをカエデに披露する。

 色々考えていると、カエデはいつの間にか俺の顔を覗き込んでいた。


「ご主人様も、大変だったみたいだね?」

「まぁな、クロエみたいに鬼ではなかっただろうが、3人からの手解きを受けたからな」

「だと思った。楽しみだなー、ご主人様はどれだけ強くなったかなー?」

「それは明日のお楽しみだ」

「そだね!」


 お互いに笑い合う、明日と明後日は一時的にだがカエデとは敵同士だ。

 そう実感しながら、俺とカエデは自室へと帰って行ったのだった。

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