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5話 買い物

 昼からやろうと思っている依頼や魔法の練習の為、俺達は買い物へと出掛ける事となった。


 まず第1に、俺達は武器屋へと足を運んだ。

 中に入ると、カン! カン! と、鉄を叩くかのような音が鳴っている。

 音のする方へ行ってみるとドアがあり、そこに張り紙がされてあった。


『御用の方は中へ、中は熱いのでお気を付けください』


 と、書かれていた。

 中に入ると鍛造場になっており、そこには長剣をハンマーで叩いてる人が見えた。その人の特徴を見ると、小さい身体に伸びた髭が見え、ドワーフっぽく見える。


「おう、らっしゃい。今はちょっと手が離せないでな、少し待っててくれ」

「分かりました、武器が欲しいので好きに見て回ってますね」

「あいよ! 買いたい武器が見つかればカウンターに置いといてくれ。終わり次第、勘定するぜ」

「分かりました」


 鍛造場から退室し、俺達は店内を見て回る。

 俺は魔法メインのようなので杖のコーナーへと向かい、比較的安めである魔力の杖って武器を手に取った。

 鑑定を使うと、この杖は魔法を使う際に魔力消費が抑えられると出たからだ。


「この杖で良さそうだな。魔法練習するなら、魔力消費を抑えられるのは効率がいい」

「うん、それで良いと思う! 私は素手で戦うから武器は要らないからね」

「分かった、なら防具だけはちゃんとしてくれよ」

「ご主人様に買ってもらうのは少し気が引けるけど……魔物を舐めたら大変な事になるのは分かってるつもり。だからお願いするね」


 少しだけ顔が曇るカエデ。魔物関連で何かあったのだろうか? 何も無ければこんな顔する筈がない。

 何があったのか聞きたくなるが、これはプライバシーな問題だ。魔物関連となればあまり良い話ではないのは確実だし、必要以上に聞かない方がいいかもしれない。


 そんなカエデを横目に杖をカウンターへ持っていくと、ドワーフの店主が武器を打ち終わったようでレジに来てくれた。


「待たせて悪かったな、この杖で良いのか?」

「はい、魔法を練習したいので!」

「あいよ、2000ノルンだ」


 2000ノルンを手渡し、杖を受け取る。


「武器のメンテが必要になったら、また来いよ」

「はい!」


 武器屋から移動し、隣にある防具屋へと向かった。


「いらっしゃいませ! ゆっくり見ていってください!」


 若く見える女性店員さんが店の奥から挨拶してくれたのだが、鍛治する際に装着するエプロン? らしき物を身に付けている。

 普通に人族に見えるが、彼女も鍛冶師なのだろう。


 そんな店員を横目に防具を見て回る。俺は魔法使いだから、鎧とかではなくコートの方が良さそうだな。


 カエデは篭手を見ている。素手で戦う系の人は、確か篭手とかガントレット辺りが防具になるんだったか。機動力の邪魔にならないように、軽いアーマー辺りも欲しがるかもしれないな。


 暫くコート類を見て回っていると、とある黒いコートに目が留まる。鑑定してみると漆黒のコートと書かれていた。

 特に付与効果等はないのだが、お尻から下の生地が左右に割れており、動きやすそうだった。

 魔法使いとはいえ動きを阻害しないのは有利に働くはずと考え、このコートにする事を決めた。黒くて目立たないのも高ポイントだった。


「よし、俺はこれにしよう」


 漆黒のコートを手に取りカエデの元へと戻ると、カエデも防具を選び終えた所だったようだ。


「私はこれにする。ご主人様、お願いします」


 鉄の篭手と鉄の胸当てを持ってきたので購入。俺とカエデの防具は合計で9000ノルンだった。


「お買い上げ、ありがとうございました!」


 防具屋を後にし、次は道具屋に到着。

 メガネを掛けた若いお兄さんがポーション整理をしていた。耳が尖って見えるので、恐らくエルフだと思われる。


「カエデ、魔物討伐に向かうのならどんなアイテムが欲しい?」

「うーんと、まずポーション系は必須かな。怪我を治す回復ポーションは絶対要るとして、ご主人様は魔法を使うって事だし魔力ポーションも必ず持っていくこと! 後は非常用として、魔除けポーションとか解毒薬もあると安心だと思う」

「魔除けポーション?」


 カエデ曰く、魔除けポーションは魔物を追い払う魔法が掛けられた水らしく、野営した時に周りへ撒いておくと魔物が寄ってこなくなるらしい。


「なるほど、分かった。回復ポーション3つを2人分と、解毒薬と魔除けポーションを1つずつ買っておこう。カエデの荷物はどうする?」

「ご主人様が持ってて欲しい。前まではアイテム袋も持ってたんだけど、失くしちゃってね」


 やはり、アイテム袋がないとアイテムや素材の持ち運びが大変だよな。そう考えると、ストレージを持っててよかった。


「お客様。アイテム袋が必要なら、小で良ければ在庫がありますよ。如何ですか?」


 俺達の話をエルフの店主さんは聞いていたようで、店奥からアイテム袋を持って来てくれた。


「ついさっき入荷したばかりで、これから店に並べようとしていた物です。アイテム袋は入荷数が少なくて直ぐに売り切れるので、今が買い時です」

「お、それならカエデの分を買おうかな」


 アイテム袋を手に取ろうとした瞬間、カエデが俺の手を取って制止させた。


「カエデ?」

「ご主人様、私は奴隷だよ? しかも数日後には店に戻るのに、防具だけじゃなくてアイテム袋まで……防具は魔物討伐に必要だからアレだけど、アイテムならご主人様が持ってたらいいんだし、そこまでしなくても……」

「でも、いざって時に俺が離れた場所に居て手渡せない場合もあるだろうし、これは個人で持っておくべきだと思うぞ?」

「それは……」

「だから、ちゃんとアイテム袋を常備して欲しい。駄目か?」

「……はぁ。もう、我儘なご主人様」


 カエデは折れたようで、溜め息を吐きつつも微笑み返してくれた。


 各アイテムを購入してストレージとアイテム袋に分配して入れていく。

 これとは別にバスケットも買っておいた。持ち運びに便利な箱みたいなやつだ。


「よし、これで準備完了かな? お昼ご飯にはまだ早いし、ギルド行って依頼を受けてこようか!」

「うん、わかった」


 ギルドに向かって歩いていくと、途中で美味しそうな屋台やお店が並んでいた。

 焼串肉にパン屋にクレープ屋、ドリンク屋にドーナツ屋的な屋台が見受けられる。食材屋や肉屋さんも並んで店舗を構えていた。

 前世のクレープ的な物は、ここではクレーフ、ドーナツ的な物はドーナッツと呼ばれていた。あからさまに地球の名残りがある。


「見た目はほぼ一緒なのに若干呼び名が違うんだな、しっかり覚えておかないと。それにしても、ここまで似た食べ物があるということは、ガルムさんの言う通り転生者が広めたんだろうな。カエデは食べたことあるのか?」

「うん、あるよ! ドーナッツはおやつとして有名だし、甘くて美味しいんだよね!  ご主人様、折角時間経過の無いストレージがあるんだし、お昼ご飯とおやつも買って行きたいと思うんだけど……だめかな?」

「そうだな、折角だし買っておいて外で食べようか!」

「やった! ありがとう、ご主人様!」


 満面の笑みで喜ぶカエデ、ほんと可愛い、なでなでしたい。


 ドーナッツ屋→パン屋→肉屋→食材屋と巡って、必要材料を購入。

 前世にあったような食材と酷似したものが多かったので、あまり買い物に時間を費やす事はなかった。

 ただ、お肉だけは魔物肉が多いようで、見ただけではどのようなお肉なのかが1部だけ判断が付かなかったのは懸念点かな。鑑定スキルを使っても、ウルフ肉やクジク肉といったように魔物の名前しか分からなかった。

 まぁただ、ウルフは狼だし、クジクの肉は見た目が鳥っぽかったから、何となく分かる物だけをチョイスして購入した。

 そして最後に焼串肉を買いに来た。


「この肉って何の肉だ?」

「この地域でこの肉質見るに、ボアかワイルドボア辺りじゃないかな? あんまり詳しくないから分からないけど」


 カエデと話していると、店主から声が掛かる。


「お嬢さん正解だ! これはワイルドボアの肉だぜ」


 ワイルドボア。ボアって確かイノシシだったよな? きっと突進してくる系の魔物なんだろう。


「美味しそうだな。お昼はこれでいいか?」

「うん!」


 カエデはキラキラした目で頷いた。現地民が期待した目で見ているのなら、味は大丈夫だろうと判断。


「6本お願いします」

「6本だな? すぐに焼くから、ちょっと待ってくれ」


 お肉にタレをかけて両面焼いていくのだが、タレの良い匂いが食欲をそそる。

 そして数分も経たずに焼き上がった。


「はいよ、6本お待ち! 1200ノルンだぜ」

「ありがとうございます」


 6本を受け取り、少し離れてからストレージへ入れる。


「よし、依頼を受ける準備も出来たし、お昼ご飯も買えた。そろそろギルドに行こうか!」

「はーい!」


 ギルドに向かって、カエデと隣合って歩いていくのだった。

ご覧頂きありがとうございます。


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