1話 もふもふ好きなトリマーが異世界へ
プロローグから御覧ください
「……んっ、ここは……?」
目を開けて見渡すと、俺は真っ白な空間に居ることに気が付いた。
「ここは何処だ……? 俺は確か、川に流されてたはずじゃ……?」
しかし、自分の身体を見ても服が濡れている訳でもなければ怪我もないように見える。明らかに川で溺れたような状況ではないのは確かだった。
となれば、ここが何処なのか……考えられるのはただ1つ。
「天国……か。俺、死んだっぽいな……」
まだ25歳なのに、若くして死んでしまった。
まだまだやりたい事が沢山あったのになぁ……恋人を作ったり、もふもふな動物に囲まれて生活したりしたかった。
最後に触れ合った動物はかえでか……まぁ、あの子は特に俺のお気に入りだったから、最後があの子で良かった……。
「って、そうだ! かえでは!?」
俺は急いで立ち上がり、周りを見渡してかえでを探す。
しかし、どれだけ見渡してもかえでの姿はなかった。
「いない……ってことは、かえでは助かったってことだよな……?」
……いや、まだ分からないな。
今はまだ生きていたとしても、川に流された影響で体力もかなり消耗しているはずだ。
懸命に生き延びようとしたが、容態が良くならず力尽きて……ってことも考えられるよな。
「無事だといいが……」
そう願いながらふと見上げると、上から白いドレス?のような服を着た女性が降りてきた。
見た感じは普通の大人の女性に見えるのだが、存在感というか……何かのオーラのようなものを感じる。
「こんにちは、ヒムロコウガさん」
「ど、どうも……えっと、貴方は?」
「私はレア、地球を含む複数の世界を監理しています」
色々な世界を管理している神様、か。
死んだ後に神様と出会うこの展開……どっかで見た事ある。
これってよく小説とかに出てくる、異世界転生・転移ってやつでは?
……いや、決めつけは良くないな。
「俺、これからどうなるんでしょうか?」
「その先をどうするか貴方に尋ねようと思い、ここに呼び寄せたのです。動物を愛する者よ、もう一度動物たちに愛される人生を送ってみませんか? 私の世界で!」
神様のレアは、そう言いながら両手を広げて提案をしてきた。
この展開は……流石にこれはもう確定だ。
「も、もしかして……これが俗に言う、異世界転生ですか!?」
「はい、その通りです。厳密に言えば、その姿のままで行ってもらおうと考えているので転移が正しいかもしれませんが」
ビンゴ! 予想通り異世界転生・転移だ!
異世界に行って、また動物たちと触れ合えるのか……!
前の世界にも未練がないといえば嘘になるが、それよりも動物たちと触れ合えるという期待感の方が勝っている。少しわくわくしてきた。
「どのような世界なんですか? 動物に愛されるってことは動物は居るんでしょうが……もしや剣と魔法の世界だったり?」
「そうですね、その通りです。しかも、あなたの好きな獣人族が居る世界ですよ」
「……ッ」
いっやっほおおおおおおおおおおおおおおおお! 獣耳! 尻尾だああああああああああああああああ! もふもふだあああああああああああああああああああああ!
さっきまで取り乱してたのは何だったのか、表には出さないが心の中で叫んでしまっていた。
「お喜びのようでよかったです」
心の叫びを読み取られたのか、内心で発狂しながら喜んでいたのがバレてしまった。
「そんなあなたに、動物に愛される加護がある称号を贈ります。あと、向こうで暮らしていくのに役に立つスキルも付けておきますね」
レアは俺へと近付き頭に手を置くと、温かい何かが身体に流れ込んできた。
「これでスキル譲渡は終了です。異世界についたら確認しておいてくださいね」
「分かりました、色々とありがとうございます。でも、どうしてこんなに良くしてくれるんですか?」
「んーまぁ、私も動物が大好きなので、あなたの動物愛に共感できるのですよ。それが決め手です」
なるほど、要するに俺と同志か! 気が合いそうだ。
「レア様も動物が好きなんですね! 同志が居てうれしいです! いつか語り合いましょう!」
興奮のあまり、語り合う約束を提案しながら握手を求めて手を差し出す。
「……そうですね、もしいつか再会できたならいいですよ、語り合いましょう」
レアも俺の握手に応え手を握り返してくれたのだが……その時、俺達が居る空間と俺の身体が歪み始める。
「っ!? これは!?」
「……早く出発させないと、この空間とコウガさんの魂と再構築した身体の維持が難しくなりそうですね。では、これから私の管理する異世界へと『落とします』よいセカンドライフを」
「えっ、落とす? って、おわあああああっ!?」
急に転生を急ぎだしたと思えば、足元に空いた異空間へと身体が吸い込まれ、落ちていく。
「また……会いましょうね、コウガさん」
こうして、俺の異世界もふもふ生活が……今、始まる!
……のだろうか?
何だか、飛び降りしているかのような落下感を感じるのだが……?
ご覧頂きありがとうございます。




