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16話 フードの人

 ーーーカエデsideーーー


「んっ……? ここは……?」


 気が付くと、知らない景色が目の前に広がっていた。

 周りは木々に囲まれていて、目の前に高さが30m程になる崖がそそり立っているのが見えている。


 自分の身体を見てみると、薄透明になって浮いているのに気付いた。

 何だか幽霊になった気分だね。


「これは……また夢っぽいね」


 ご主人様の前世を見た時と似たような感じだ。


「えっと、ここは何処だろう? 浮いてるなら上からみたら分かるかな?」


 身体が浮いていたので上に行きたいと思えば動いてくれた、意識すれば好きに動けるみたい。

 上に浮き上がって周りを見渡してみると、かなり遠目にトライデント王国が米粒より小さくとだけど見えた。

 手前付近には私の村のトーラン村が見える……全壊の状態だった。


「かなり遠目にトライデント王国、近くに私の村が見える……位置関係的に、ここは私の村から北にある山脈かな。村の状況からして、ドラゴンが村から去った後……だね」


 案外近場だったので場所把握はすぐに済んだものの、自分の村の状態を見てしまったが為に気分は良くない。


「……」


 色々複雑な想いを抱きつつも、一旦下に降りてこれからどうするか考えることにした。


「ここから夢が始まったってことは、ここで何かがあるって事だよね。この辺って何があったかな……」


 近場をウロウロしてみると、崖の麓に洞窟があった。

 何故か中が気になり、恐る恐る入ってみる。


「夢だからなのか、暗いはずの洞窟内がハッキリ見える。この奥に何かいるのかな」


 分かれ道も無いようで真っ直ぐ進んでいると、大きい図体の猫みたいな魔物が見えた。


「あれは……シェミィ!?」


 身体の大きさからして魔物状態のシェミィ、ストームキャットが眠っていた。

 本来のシェミィは、自分を背負ってトライデント王国に帰っている最中のはず。


「という事はこれ……私が村から逃げた後、シェミィと出会うまでの間の夢……って事?」


 もしかしたら、触れている対象の事に関する夢を見られる……? これが、テイマーの力?

 だけど、それだとご主人様の件でおかしい部分がある。

 ご主人様は人間だから、テイマーの力が及ぶとは思えな……いや、向こうの世界のかえでとご主人様の繋がりを考えたら、100%おかしいとは言えないかもしれない。

 かえでは犬の姿をしていた。だから、かえでであればテイマーの能力範囲内のはず……ご主人様を通して向こうのかえでと繋がったと考えたら変ではない気がした。


「ぎゃおぉぉぉぉぉぉぉ!」

「!?」


 そんな事を考えていると、外から大きい咆哮が聞こえた。

 シェミィもこの咆哮を聞いて目が覚めたのか、バッと起き上がって外へと走り出した。


「この咆哮……まさか」


 嫌な予感を感じつつも、シェミィを追い掛けるように急いで外に出る。

 すると、シェミィと全身の赤いドラゴンがいがみ合っていた。


「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!」

「にぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「赤い……ドラゴン」


 目の前に現れた赤いドラゴンに、私は見覚えがあった。

 忘れるわけがない。だって、私の村を破壊し尽くしたドラゴンは……こいつと同じ赤いドラゴンだったから。


 そのドラゴンを見ていると、左目が閉じられたままなのに気付く。


「ドラゴンのあの目……うん、間違いない。村を襲ったドラゴンだ」


 左目が閉じている理由。それは、元冒険者だった父が槍を投げて目を潰したから。

 私はその瞬間を目撃した後、父に逃げろと言われて父の従魔だったウルフに連れ去られるかのように村から脱出した。

 父の従魔に反抗して私も残ろうとしたんだけど、力が強くて逆らえなかった。

 だから、その後どうなったかは……分からない。


「……」


 あのドラゴンがここに居るってことは、父や村の男達が総出で戦って……負けたって事になる。

 胸がギュッと掴まれるような苦しさを覚えつつも、私はシェミィとドラゴンの行く末を見守る。


 いがみ合ったままの両者だったが、ドラゴンが先に動き出した。

 口から炎のブレスを吐き出すがシェミィは横に避ける。

 シェミィは隙を見てドラゴンに引っ掻くも、鱗が硬いようで深くは爪が入らなかったみたいだ。


「にぃ!」


 攻撃が通らなかったのが気に入らなかったようで、シェミィの攻撃は更に激しさを増した。

 しかし、どれも有効打になっていないように見えた。


「ストームキャットといえど、ドラゴン相手には手も足も出ないみたいだねぇ」

「!?」


 声がした方を見てみると、頭から目が隠れる直前まで深く被られたフード姿の人がドラゴンとシェミィの戦いを見ていた。


「そろそろドラゴン以外にも手駒が欲しかったんだよねぇ……おい! さっさとコイツを弱らせるんだねぇ!」


 フードの人の指示にドラゴンが従い、ストームキャットに向かって尻尾を振り回した。


「ドラゴンが……人の言う事に従っている!? どういう事!?」


 ドラゴンは最低でもBランクはある危険な魔物。同じBランクのストームキャットであるシェミィが苦戦しているのを見るに、恐らくはAランクに達しているドラゴンなのだと思われる。

 縄張りを犯せば周辺を焼き払ってしまうようなAランクのドラゴンなんぞ、テイムで使役出来るとは到底思えない。

 それこそ、そのAランクを手球に取れるような実力のあるテイマーでないと。


「本当に、このドラゴンはテイムされているの?」


 ドラゴンやシェミィは私のことが見えていないようだったので、ドラゴンにテイム紋があるかどうかくまなく探してみる。

 しかし、魔石があるであろう頭や胸付近、念の為身体全体を探してみるもテイム紋を見つけることが出来なかった。


「ない……ってことは、もしかして操られている……?」


 初めてシェミィと出会った際も、我を忘れたかのように暴れていた。

 暴れていた原因が仮に洗脳だったとすれば、解けた瞬間に大人しくなったのも納得出来る。


「もし、このドラゴンが操られているとしたら……この後、シェミィも?」


 色々考えている内にシェミィがどんどん追い詰められていき、シェミィがドラゴンの攻撃に当たってしまい倒れてしまった。


「シェミィ!」


 私の声は届かない、夢だから。

 シェミィは倒れて起き上がろうとするが、ダメージが大きかったようで起き上がれずにもがいている。


「ふふ……ようやく終わったねぇ」


 フード姿の人がシェミィに近付いていく、そして顔の目の前でしゃがみ込んだ。


「お前も俺の手駒になるんだねぇ」


 そう言いながら片手をシェミィの額にかざすと、魔力が増大したのを感じた。

 すると、シェミィはスッと立ち上がりフード姿の人を見つめるが、どういう訳か襲おうとはしない。

 それを見て頷いたフードの人は、シェミィに命令を下した。


「ふむ、何だか魔法の掛かりが悪い気がするが、一応成功したねぇ。じゃ、お前はテラー大森林を支配するんだねぇ!」

「にぃぃぃぃぃ!」


 シェミィは声を上げながら森方面へ走り去った。

 完全に意識が失われる前だったのか、悲しい顔をしていたシェミィ。

 そしてフードの人は、ドラゴンに乗って北東方面へと飛び去って姿を消した。


「操られてた……んだね、シェミィ。私達と出会う前に、こんな事があったんだね……」


 私は涙を流す。こんな事、許す訳にはいかない。


 私は決意した。ご主人様とシェミィと共に、あのフードの人を止めてみせると。

 そして……あの憎かったドラゴンを、救う事を。


 そして私は、短い睡眠から目を覚ました。

ご覧頂きありがとうございます。


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