第6話 全てを任されし者、その名は『希望』
現実離れした幻想的な光景が広がっている。まるで別世界に迷い込んだかのようだ。だがここは夢の世界ではない。行き先を、人生を選べなかった俺は、ただ、堕ちて行くしかなかった……わけではない。ここが最終地点。俺が目指した場所と結末である。
ザ・俺、降臨。
目の前には、無数の生き物たちが集まっている。まるで何かの集会のように、整然と並んでいる。しかし、その姿は現実離れしている。それは無数の敵、厄災が立ちはだかる。
こんなところで集会を開いていたとは、聞いていない。
どうやらこの世界は、全ての厄災を俺に押し付けたいらしい。まあ、いいだろう。俺はただのおっさ……お兄さんだ。
希望に見放され、厄災に愛された男。絶望の淵に立たされた俺に、もはや失うものなど、何も無い。これでこの世の借金もチャラだ。あとは俺に任せ、幸せな人生を送れ。
空と大地の境目が曖昧になるような、幻想的な光景の中、巨大な影が襲いかかってくる。それは現実とは思えない、悪夢のような形をして厄災が一気に襲いかかる。それに贖う武器は無い。
さあ、みんな。
家に帰ろう。
ドアの鍵は壊れている。
夜明けの光が地平線から昇ってくる。オレンジと金色が混ざり合った、希望に満ちた朝日の光が、世界を照らし始めている。
俺は、最後の言葉を叫んだ。
「I Have a Dream!」
俺の、最後の言葉だ。
・・・
夕焼けが空を染め、ゆっくりと日が沈んでいく。オレンジから紫へと変わる空は、まるで別れを惜しむように美しい。
・・・
・・・
遠くに見える山々は、静かに時を見守っている。その姿は、何千年も変わらない永遠の美しさを保っている。
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夜空には大きな月が浮かんでいる。その清らかな光が、大地を優しく照らし出している。
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月明かりが降り注ぐ中、全てが静かに、しかし確実に動いている。時間がゆっくりと流れていく。
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一輪の美しい花々が咲き誇っている。その鮮やかな色彩は、希望そのもののように輝いている。
俺の前から厄災が去っていく。俺の夢、俺の希望が、俺を救った。
俺の夢とはなんだ? そんなものが在っただろうか。ただ言ってみたかっただけだ。だが、俺だけ残して厄災は去っていった。
そうか、あの箱を開けて希望が残らなかったのは、俺自身が希望だったからか。これからは、自分を大事にしよう。
タンポポの綿毛が風に乗って舞っている。その小さな種は、どこかへと希望を運んでいく。そして、また新しい場所で希望の花を咲かせるのだろう。
俺は、最後に残った希望になった。
めでたしだ。




